翁長知事の県道管理責任問われる高江の人権侵害
この国は法治国家ではない。
このことは、
『検証・法治国家崩壊―砂川裁判と日米密約交渉』
(吉田敏浩、新原昭治、末浪靖司著、創元社)
でも明らかにされているし、
矢部宏治氏の著書
『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』
でも明らかにされている。
日本を実効支配するための細目を取り決める機関である
「日米合同委員会」
は、たとえば、1953年9月29日に、
「日本の当局は、所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえまたは、検証をおこなう権利を行使しない」
という取り決めを決定している。
日米地位協定第3条第1項には、
「合衆国は、施設および区域内において、それらの設定、運営、警護および管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」
とある。
そして、この条項の後半には、さらに驚くべき規定が盛り込まれている。
「日本国政府は、施設および区域の支持、警護および管理のための合衆国軍隊の施設および区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。」
これらは、矢部宏治氏が著書のなかで明らかにしていることであるが、
「アメリカは、軍事行動をおこなううえで必要な、在日米軍基地へアクセスするための絶対的な権利をもっている」
ということが定められている。
日本が独立を回復したというのは「見かけ上の」ことであって、米軍が日本を支配している、米国および米軍の絶対的な地位は、日本の「見かけ上の」独立後も、何も変わらずに現在に至っている。
この図式は
見せかけの取り決め
と
密約
のセットによって確保されてきた。
国民に対しては「見かけ上の」条文を提示しながら、その裏側で「密約」を結び、条文とは異なる実体が確保されてきた。
これを民主主義の破壊、法治国家の破壊と呼ばずして、何と呼ぶことができようか。
沖縄では、辺野古の米軍基地建設に対して、県民が総意で反対している。
そして、問題は辺野古基地だけではない。
東村高江で日本政府はヘリパッドの建設を強行している。
高江のヘリパッドは、1996年12月のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で、米軍北部訓練場の一部を返還する条件として、建設されることになったものであるが、地元住民は、このヘリパッドにオスプレイが配備されることを知らされていない。
騒音と生命の危険をもたらすオスプレイが配備されるなら、そもそも高江ヘリパッド建設に同意はあり得なかった。
辺野古に基地を作らせない、そして、高江にヘリパッドを作らせない、は2014年の沖縄知事選のときにも、明示された住民の要求である。
辺野古だけでなく、高江でもヘリパッド建設阻止の住民運動が展開されてきた。
このなかで、安倍政権はついに、7月22日、大規模な機動隊を投入して、反対運動の住民を強制排除する暴挙に突き進んだのである。
道路を管理しているのは沖縄県であり、国が機動隊を投入して道路上の住民を強制排除する法的根拠は存在しない。
国がみずから法治国家を崩壊する行動に突き進んでいるのである。
日米地位協定第3条第1項にある、
「日本国政府は、施設および区域の支持、警護および管理のための合衆国軍隊の施設および区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。」
という規定を用いて、国内法規に反する、そして、日本国憲法にも反する基本的人権の侵害に突き進んでいる。
「安倍政権の暴走極まれり」
という現状である。
沖縄からは、
「機動隊は今朝から県道の両側を封鎖。
200人の座り込みメンバーが閉じ込められている状態。
現場の仮設トイレの置いてあるエリアも封鎖されていて、トイレのあるダムまでは往復で6キロ以上離れているので、高齢者や女性にとっては辛い状況と思われる。
現実的にはトイレに行かせてもらえない状態。
現場の先の集落の人達も、県道の通行が出来ないため、名護まで仕事に通う人は西側を回って行くしかない。」
という悲痛な叫びが届けられている。
もはや、日本は法治国家でもなく、民主主義国家でもなく、人権尊重国家でもなくなっている。
民衆が蜂起するべき時期が近付いている。
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