「国民の生活が最悪」のアベノミクス
7-9月期GDP改定値が発表された。
法人企業統計で設備投資が大幅な伸びを記録したにもかかわらず、実質GDP前期比年率成長率は速報値の-1.6%から-1.9%に下方修正された。
改定値でマイナスからプラスへの上方改定が画策されていると想定したが、実際はそうではなかった。
改定値が下方修正されたのは、もともと、速報値段階で設備投資計数が過大推計されていたためであると考えられる。
11月17日発表の速報値では、本来、実質GDP成長率がさらに大きなマイナスを記録したはずなのである。
それを隠蔽して過大推計した。
その結果、本来上昇修正されるはずの12月8日の改定値で、逆に下方修正されたのである。
11月17日に、より大幅なマイナス成長数値が発表されていれば、アベノミクスの失敗がより鮮明になる。
そこで、これを粉飾する過大推計が提示されたのではないだろうか。
いずれにしても、重要なことは、アベノミクスが失敗しているという現実が、より明瞭になったことである。
安倍首相は賃金が増えていると強弁するが、賃金が増えたのは、本年7月の1ヵ月だけだ。
なぜ7月の賃金が増えたのかというと、7月に支払われたボーナスが増えたからだ。
2012年以降の日本で観測されているのは、企業収益の大幅増加だ。
ボーナスは企業収益に連動する。
生産の結果得られる果実は、資本と労働のいずれかに分配される。
現実に生じているのは資本の分配だけが突出して拡大し、労働への分配はほとんど増えていないことだ。
その例外になるのがボーナスで、企業利益の拡大のほんの一部がボーナスで労働者に分配されるのだ。
しかし、8月以降の統計を見ると、労働への分配は一気にしぼみ、労働への分配が拡大していないことが分かる。
毎月勤労統計という統計が、現金給与総額というデータを発表している。
労働者の給与について、所定内給与、所定外給与、ボーナスのデータを公表している。現金給与総額はこれらの合計値で、1人当たりの数値として発表されている。
現金給与総額の前年比伸び率は、本年7月だけが高く、前年比+2.4%の伸びを記録した。
しかし、本年10月の伸び率は前年比+0.5%にまで低下している。
消費者物価上昇率は、本年7月が+3.3%で、10月は+2.9%だった。
所得の伸びから物価上昇率を差し引いた、実質伸び率は、
7月が -0.9%
10月が -2.4%
である。
消費税増税による消費者物価上昇率押上げ効果が、前年比1.9%程度あると考えられる。
この影響を除去すると、現金給与総額の実質増減率は、
7月が +1.0%
10月が -0.5%
となる。
つまり、消費税増税の影響を除けば、7月だけは実質所得が小幅プラスになったが、プラスになったのは、たったひと月、7月だけの話なのだ。
この数値でさえ、消費税増税の影響を加味すればマイナスになってしまう。
10月は、消費税増税の影響もいれると、現金給与総額は前年比で2.4%も減少しているのである。
アベノミクスで庶民の生活は浮上していない。
庶民の生活は転落の一途を辿っているのだ。
安倍政権は雇用情勢が改善していると主張するが、政権発足前に比べて、正規労働者の数は22万人も減っている。増えているのは非正規労働者ばかりなのである。
有効求人倍率が1倍を超えたことが強調されるが、正規労働者の有効求人倍率は0.6倍水準に低迷しており、前月比ベースではなお悪化を示しているのである。
アベノミクスは、一般庶民に消費税大増税で重税を課す一方、大企業には法人税減税で税金を免除する方針を示す。
「インフレ誘導」が提唱されてきているが、もともと「インフレ誘導」は労働者の実質賃金を引き下げることを目的とする政策なのである。
デフレの時代でも、企業は名目賃金を切り下げることは難しい。
「賃上げ」はできても「賃下げ」の実現は難しいからである。
デフレの時代に名目賃金が横ばいで推移すると、実質賃金は上昇してしまう。
企業は苦しくなる。
だからこそ、インフレが求められたのである。
インフレになり、企業が名目賃金を横ばいに据え置くと、実質賃金はインフレ分だけ下がる。
つまり、実質賃金を切り下げることが可能になる。
この点に着目して、インフレ誘導が行なわれているのである。
したがって、「インフレ誘導」を掲げる政策とは、実は「実質賃金切り下げ誘導」を意味する政策なのである。
それが、いままさに現実に広がっている。
「やがて実質賃金も増加に転じる」
というのは「真っ赤なウソ」である。
もともとインフレ誘導は、実質賃金を切り下げるために提案、実行されてきた政策であることを国民は知らなければならない。
安倍政権の経済政策=アベノミクスで、庶民は転落され続けることになる。
労働者を転落させて、資本の利益だけを増大させる。これがアベノミクスの本質なのである。
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