12月8日GDP改定値インサイダー選挙の疑惑
12月14日の投開票日まで10日しかない。
短期決戦である。
安倍政権与党の自公は万全の選挙協力体制を敷いてこの選挙に臨む。
アベノミクスとは普通の財政金融政策を発動しただけのものであるが、2013年前半に米国長期金利上昇=ドル高のフォローの風に恵まれたために日本株価が上昇した。
前任の野田佳彦政権が財務省の増税路線に乗って超緊縮財政政策を実行していたから、日本経済と日本株価が超低迷していたことも幸いした。
しかし、安倍政権は日本経済がかすかに浮上しかかったところで、財政政策の方向を大転換した。
経済浮上誘導の政策スタンスを大転換して、政策逆噴射を実行してしまった。
その結果、日本経済は撃墜され、予定していた消費税再増税を延期せざるを得なくなった。
消費税再増税の延期は当然の対応だが、これによって安倍政権の政策逆噴射が正当化されるわけではない。
アクセル全開からブレーキ全開への政策ダッチロールで日本経済を混乱に陥れた責任を、主権者は厳しく問う必要がある。
そして、この選挙で主権者が判断しなければならないことは、日本の進路である。
原発、憲法、TPP、消費税、辺野古基地、格差
の重大問題への判断が目前に迫っている。
日本の進路を左右するこれらの問題について、主権者が誤りのない判断を示す必要があるのだ。
問題は、主権者の意思を真正面から受け止める国民政党が存在しないことだ。
しかし、だからといって多くの主権者が「該当者なし」の判断で選挙を棄権してしまうと、自公勢力の思うつぼになる。
ここは、
「帯に短し、たすきに長し」
の現状に愛想をつかすのではなく、
「ストップ安倍政権」
を実現するために、小選挙区で、安倍政権与党の自公候補に勝利する可能性のある、次世代以外の野党候補に投票を集中させる戦術を採用しなければならない。
しかしながら、多くの選挙区が候補者乱立の激戦選挙区になってしまっている。
これらの選挙区で、自公勢力が強固な選挙協力体制を敷くと、自公候補が軒並み勝利してしまう事態も発生しかねない。
主権者が情勢を見極めて、どの野党候補に投票を集中させるべきかの情勢分析と投票誘導の作業を実行する必要がある。
11月17日の7-9月期GDP統計発表で、2四半期連続のマイナス成長が示され、衝撃を与えた。
この数字が「アベノミクスの失敗」を象徴する数値として取り上げられてきた。
しかし、主権者は安倍政権がこの数値を逆利用する可能性がある点に注意が必要だ。
総選挙投票日直前になる12月8日に、7-9月期GDP統計の改定値が発表される。
改定の中心は設備投資の計数である。
法人企業統計が発表され、12月8日に発表されるGDP統計が上方修正される可能性が高まっている。
マイナス1.6%の経済成長率が、一転してプラス2%成長へと大幅上方修正される可能性がある。
しかし、仮にプラス2%程度の数値が発表されるとしても、まったく驚くにはあたらない。
7-9月期成長率はもともと、プラス2%程度の数値が予想されていたのである。
安倍政権は増税を実施する際、4-6月期はマイナス成長になるが、7-9月期以降はV字回復すると説明していた。
マイナス7%成長のあとのプラス2%成長では、とてもV字回復とは言えない。
増税で日本経済を撃墜した事実には変わりはないのである。
しかし、選挙直前に数値が大幅上方修正され、メディアがこれを大きく伝えると、人々の印象が強く影響される可能性がある。
安倍政権は、一種のインサイダー情報であるこれらのデータの内容と、その発表スケジュールの概要を統計作成当局から事前に入手していた可能性がある。
そして、これらの統計数値と、その時系列での発表スケジュールを詳細に検討したうえで、消費税再増税の延期発表、総選挙日程選定などを進めてきた可能性があるのだ。
これらの「情報操作」で、日本の主権者が自公勢力を総選挙で勝利させてしまうことは、「主権者の悲劇」と言わざるを得ない。
今次総選挙の最重要目標は。
「ストップ安倍政権」
の実現である。この基本を十分に踏まえて効果的な選挙戦術を構築しなければならない。
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