薄ぺらアベノミクスメッキ下は醜いアベノリスク
大義なき解散総選挙が終わるや否や、アベノミクスのメッキがはがれ始めた。
株価の急落はメッキがはがれ落ちていることの表れである。
腐敗したメディアとGPIFが選挙戦の終盤までメッキを吹き付けたが、投開票日を前にメッキがはがれ始めて、醜いアベノリスクの地肌が見え始めていたのである。
そもそもアベノミクスとは、単なる財政金融政策のことであり、しかも、これが実行されたのは1年半も前のことだ。
2013年前半は、たしかに円安と株高が進行したが、その後は大きな変化は生じていない。
2014年は消費税増税が実施されて、日本経済は逆に撃墜された。
2014年初以降、日本経済は再び景気後退局面に移行している。
街角の人々は異口同音に、
「アベノミクスの恩恵など感じたことがない」
と言う。
それもそのはずだ。
経済成長率はマイナスの状態が続き、賃金は増えないのに、物価は上がり、消費税の増税まで実施された。
「日本経済撃墜」というのが実態であり、この実態に即して選挙が実施されていたなら、安倍政権与党は大敗していたはずだ。
しかし、黒田日銀が増税決定を目論んで、無謀な追加金融緩和に突き進んだ。
GPIFは安倍政権の命を受けて、強引に株価を買い支えた。
腐敗したマスメディアは、アベノミクスがあたかも成功しているかのような誤報を垂れ流し続けた。
連戦連敗の戦況を、日本軍の勝利に次ぐ勝利の大進撃と報道して国民を騙して、国土を焦土へと導いた腐敗メディアが、同じ過ちを繰り返している。
私は『日本の奈落』(ビジネス社)
に、消費税大増税の愚を詳述した。
2015年の増税実施は日本経済を奈落の底に陥れるものであると警告した。
さすがにこの警告は受け入れられて、安倍政権は消費税再増税を延期する決断を示したが、「延期」では効果は3分の1だ。
いったん消費税増税を白紙に戻す政策対応が必要である。
拙著『日本の奈落』(ビジネス社)は選挙期間中、販売妨害の状況に直面した。
アマゾンが、拙著の販売を中断したのである。
在庫があるにもかかわらず、在庫なしの状況が続き、いまなお、販売が再開されていない。
アベノミクスという薄っぺらのメッキが剥げることを、安倍政権自身が極度に警戒していることの表れである。
この拙著について、ジャーナリストの高橋清隆氏がブログに書評を掲載下さった。改めて紹介させていただきたいが、まずはご高覧賜りたい。
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1843630.html
私は、会員制レポート『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
に、今後の金利、為替、株価の見通しを示す。
自公政権の勝利で円安・株高の宴が続くとの見方が強かったが、レポートでは、この宴は、消費税増税が「中止」なら二次会に移行するが、単なる「延期」なら、一次会で終了し、そろそろお開きになるとの見通しを示してきた。
まもなく、2015年を迎えるが、日本経済を取り巻く環境は好転していない。
また、米国ではこの12月16-17日にFOMCが開催される。
この会合に強い影響を与えると見られるのが、12月5日に発表された11月雇用統計の内容だ。
問題は雇用拡大ではなく、賃金上昇率の高さだった。
NY株式市場はFRBによる金融引き締め措置に対する警戒を徐々に強め始めている。
安倍政権が総選挙に勝ったとされるが、改めて解説するように、安倍政権に信任の投票をした主権者は全体の25%に過ぎない。
25%の民意で日本政治が支配される状況が続いている。
このまま進むと、原発、憲法、消費税、TPP、基地、格差の問題で、日本の主権者は地獄に突き落とされることになる。
安倍政権与党に信任の票を入れた人々でさえ、その最大の理由は、経済を浮上させることへの期待が強いということだった。
恐らく、この期待さえ、裏切られることになる。
メッキがきらめく宴は、年末まで持つのかとも考えられたが、やはり、メッキはメッキだ。
傷が入ると簡単に剥がれてしまうものだ。
真実の情報を入手して、2015年の経済環境に十分な警戒が求められる。
続きは本日の
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