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2014年11月 1日 (土)

えん罪浦電事件国家の罠を跳ね除けた美世志会

11月1日、東京千代田区にある日比谷公会堂で、


平和運動への弾圧を許さない!
美世志会とともに
JR東労組運動の強化を目指す11・1大集会


が開催された。


会場には2000名を超える関係者が終結し、大盛況裏に集会が挙行された。


2002年11月1日。


JRの労働組合の一つ東日本旅客鉄道労働組合(略称:JR東労組)と関係者宅64カ所が家宅捜索された。


1000点以上の物品が押収され、7人の組合員が逮捕された。


JR東労組の地方の組合で、ある組合員に組合の脱退と退職を迫ったとする「強要罪」の嫌疑がかけられた。

政治権力による、平和活動を行う労働組合に対する謀略工作、でっち上げ冤罪事件であったというのが真相である。


事件の冤罪性は当初から明らかであり、2003年7月23日、「えん罪JR浦和電車区事件を支援する会」が発足した。


7名の労組組合員は警視庁本部を含む7警察署の留置場へ別々に勾留されたのち、「東京拘置所」へ移され、翌年の2003年10月10日まで長期勾留された。


逮捕から344日目までの長期にわたり勾留が続けられた。


勾留期間が344日だったこと、不当な弾圧を行う世の中に対して、平和・人権・民主主義を守り、明るい未来をつくるために、344という数字を漢字に読み替えて、(3=み=美、4=よ=世、4=し=志)美世志会の名称が付せられた。

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東京地方裁判所は2007年7月17日、7名の組合員に対して、強要罪で有罪の判決を示した。


JR東日本大宮支社は、有罪とされた社員6名に対して、2007年8月30日、懲戒解雇処分を発令した。


当たり前の組合活動が「政治的な理由」から「強要罪」とでっち上げされ、会社は、当事者が無実・無罪を主張するなかで、社員に対して懲戒解雇処分を発令したのである。


一審で有罪判決を受けた6名の組合員は、即日控訴した。


係争中の裁判は、「推定無罪」が大前提であるなかで、JR東日本は犯罪が法定に確定していないなか、判決文も出ていない状況下で社内処分を強行した。


美世志会は直ちに地位保全仮処分申請を行い、同年12月25日には東京地裁が仮処分地位保全命令を出した。


ところが、JR東日本は2008年1月18日、仮処分地位保全命令を不服として異議申し立てを行った。


これを受けて美世志会は2008年4月17日に、懲戒解雇撤回を求めて民事訴訟を提起した。


政治権力による平和運動弾圧のでっち上げ冤罪事件は、刑事、民事の両面で法廷闘争に持ち込まれたのである。

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刑事訴訟においては、2012年2月6日、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は浦和電車区事件の上告を棄却した。


事件が仕立て上げられてから9年有余の時間を経て、冤罪「強要罪」の有罪判決が確定することになった。


民事訴訟においては、2012年10月17日、東京地裁はJR社員2名の解雇を無効とする判決を示した。


ところが、2013年12月11日の控訴審東京高裁判決では、一審の2名の解雇無効判決が覆されるとともに、残る4名の懲戒解雇も相当という不当判決が示された。


そして、2014年10月3日、最高裁第3小法廷は、原告の上告を棄却する決定を示したのである


結局、日本の裁判所は、政治的な理由による、謀略、冤罪でっち上げ事件の本質に目を向けることなく、権力の意向を追認する判断を示したわけである。


まったくもって理不尽、不条理としか言いようがないのであるが、残念ながら、これが日本の現状、日本の現実、日本の真実である。

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公安警察の捜査員は、取り調べに際して、


「平和運動は生意気だ」


「若い者はついてこない」


「組織を半分にしてやる」


と発言したそうだが、結局のところ、この目論見は達成されていない。


裁判所は不当な判決を示したが、JR東労組は「連帯」の力によって、権力による弾圧を見事に跳ね返したことになる。


私たちは裁判所の判断を相対化し、裁判所の不当で歪んだ判断とは別の次元で真実を見つめ、日本の改革、日本の世直しを進めてゆかねばならない。


日本国憲法は、平和・人権・民主主義を日本の三大原則と位置付けているが、この根本原則が危機に直面している。


安倍政権の下で、この根本原則が名実ともに破壊され、日本が「戦争と弱肉強食」の国に変質されようとしている。


この危機に、すべての日本国民が立ち上がり、闘い抜かなければならない。

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