えん罪浦電事件国家の罠を跳ね除けた美世志会
11月1日、東京千代田区にある日比谷公会堂で、
平和運動への弾圧を許さない!
美世志会とともに
JR東労組運動の強化を目指す11・1大集会
が開催された。
会場には2000名を超える関係者が終結し、大盛況裏に集会が挙行された。
2002年11月1日。
JRの労働組合の一つ東日本旅客鉄道労働組合(略称:JR東労組)と関係者宅64カ所が家宅捜索された。
1000点以上の物品が押収され、7人の組合員が逮捕された。
JR東労組の地方の組合で、ある組合員に組合の脱退と退職を迫ったとする「強要罪」の嫌疑がかけられた。
政治権力による、平和活動を行う労働組合に対する謀略工作、でっち上げ冤罪事件であったというのが真相である。
事件の冤罪性は当初から明らかであり、2003年7月23日、「えん罪JR浦和電車区事件を支援する会」が発足した。
7名の労組組合員は警視庁本部を含む7警察署の留置場へ別々に勾留されたのち、「東京拘置所」へ移され、翌年の2003年10月10日まで長期勾留された。
逮捕から344日目までの長期にわたり勾留が続けられた。
勾留期間が344日だったこと、不当な弾圧を行う世の中に対して、平和・人権・民主主義を守り、明るい未来をつくるために、344という数字を漢字に読み替えて、(3=み=美、4=よ=世、4=し=志)美世志会の名称が付せられた。
東京地方裁判所は2007年7月17日、7名の組合員に対して、強要罪で有罪の判決を示した。
JR東日本大宮支社は、有罪とされた社員6名に対して、2007年8月30日、懲戒解雇処分を発令した。
当たり前の組合活動が「政治的な理由」から「強要罪」とでっち上げされ、会社は、当事者が無実・無罪を主張するなかで、社員に対して懲戒解雇処分を発令したのである。
一審で有罪判決を受けた6名の組合員は、即日控訴した。
係争中の裁判は、「推定無罪」が大前提であるなかで、JR東日本は犯罪が法定に確定していないなか、判決文も出ていない状況下で社内処分を強行した。
美世志会は直ちに地位保全仮処分申請を行い、同年12月25日には東京地裁が仮処分地位保全命令を出した。
ところが、JR東日本は2008年1月18日、仮処分地位保全命令を不服として異議申し立てを行った。
これを受けて美世志会は2008年4月17日に、懲戒解雇撤回を求めて民事訴訟を提起した。
政治権力による平和運動弾圧のでっち上げ冤罪事件は、刑事、民事の両面で法廷闘争に持ち込まれたのである。
刑事訴訟においては、2012年2月6日、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は浦和電車区事件の上告を棄却した。
事件が仕立て上げられてから9年有余の時間を経て、冤罪「強要罪」の有罪判決が確定することになった。
民事訴訟においては、2012年10月17日、東京地裁はJR社員2名の解雇を無効とする判決を示した。
ところが、2013年12月11日の控訴審東京高裁判決では、一審の2名の解雇無効判決が覆されるとともに、残る4名の懲戒解雇も相当という不当判決が示された。
そして、2014年10月3日、最高裁第3小法廷は、原告の上告を棄却する決定を示したのである
結局、日本の裁判所は、政治的な理由による、謀略、冤罪でっち上げ事件の本質に目を向けることなく、権力の意向を追認する判断を示したわけである。
まったくもって理不尽、不条理としか言いようがないのであるが、残念ながら、これが日本の現状、日本の現実、日本の真実である。
公安警察の捜査員は、取り調べに際して、
「平和運動は生意気だ」
「若い者はついてこない」
「組織を半分にしてやる」
と発言したそうだが、結局のところ、この目論見は達成されていない。
裁判所は不当な判決を示したが、JR東労組は「連帯」の力によって、権力による弾圧を見事に跳ね返したことになる。
私たちは裁判所の判断を相対化し、裁判所の不当で歪んだ判断とは別の次元で真実を見つめ、日本の改革、日本の世直しを進めてゆかねばならない。
日本国憲法は、平和・人権・民主主義を日本の三大原則と位置付けているが、この根本原則が危機に直面している。
安倍政権の下で、この根本原則が名実ともに破壊され、日本が「戦争と弱肉強食」の国に変質されようとしている。
この危機に、すべての日本国民が立ち上がり、闘い抜かなければならない。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第999号「権力の暴走を糾弾し連帯して闘い抜く」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 消費税再増税推進の追加金融緩和なら事態暗転 | トップページ | 歴史の退行に歯止めをかけ日本政治を再刷新する »
「反戦・哲学・思想」カテゴリの記事
- 暦に刻むべき「日本敗戦の日」(2024.09.01)
- 早田選手の知覧発言について(2024.08.15)
- 核廃絶言えない対米隷属の日本(2024.08.07)
- 藤井聡太氏が示す八冠の品格(2023.10.12)
- 国民を犬死させた戦争に負けた日(2023.09.01)