ISD条項付きTPPへの参加は自民党公約違反
日米など12カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が、オーストラリアのシドニーで開かれている。
米国では11月4日に中間選挙が実施される。
現在、米国議会の過半数は、下院では共和党が、上院では民主党が抑えている。
中間選挙の結果、下院の共和党過半数は不変と見られるが、上院の民主党過半数は維持されるかどうか微妙な情勢である。
上下両院の過半数を共和党が確保することになると、民主党のオバマ大統領の政策運営は困難を極めることになる。
政権の弱体化=レームダック化が進行すると警戒されている。
ただし、TPPに関しては、共和党が議会多数勢力になる場合の方が加速しやすいとも指摘されている。
オバマ政権がTPPを推進するには、議会が大統領に対してTPA(貿易促進権限)を付与することが必要であるが、民主党よりは共和党の方が、TPA付与に積極的であると見られているからだ。
しかし、ティーパーティーグループなどの共和党右派はTPPに反対の立場を表明しており、話は単純ではない。
11月には中国の北京でAPEC首脳会談が開催される。
オバマ政権は議会からTPAを付与されていないが、11月にもTPP大筋合意成立を成果としてアピールしたいとの意向を有していると考えらられる。
問題は、日本のTPP参加である。
もともと、TPPは日本を引き入れるために仕組まれた構想であると考えられる。
TPPが発足した当初は、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4ヵ国で始めたものだが、2008年に米国がTPPに関与し始めて以降は、米国が主導し、米国が日本を引き入れることを目的に活動が拡大されてきたものである。
米国は日本市場を収奪の対象としている。
古くは、ブッシュ=父政権時代の1989年から93年にかけて、SII(日米構造協議)と呼ばれる対日交渉が実施された。
日本の諸制度、諸規制を変革するための交渉であった。
「日本異質論」が強く唱えられた時代である。
1993年にクリントン政権が発足すると、SIIは停止されて、
「結果重視主義」
「数値目標」
などが提示されるようになった。
同時に始動したのが、悪名高い
「年次改革要望書」
である。
米国政府が日本政府に対して、内政干渉の文書を提出し、日本政府がその内政干渉に敬意を払うという、一種の「土下座外交」が展開されてきたのである。
2009年に発足した鳩山政権が、年次改革要望書に終止符を打った。
しかし、米国が日本市場収奪をあきらめたわけではない。
実は、年次改革要望書の中止と米国のTPP参画が、表裏をなしているのである。
米国は日本との二ヵ国交渉で日本市場を改変するのには限界があると判断した。
小泉政権時代に、米国は巨大な収奪を加速させたが、日本国内で「売国政策」に対する反発が強まったのも事実である。
日本政府をひざまずかせて、米国が上から命令する図式で日本市場を収奪するのには限界があると判断したのだと考えられる。
このなかで、米国が構築した謀略の構想がTPPなのだと判断できる。
日本を何としてもTPPの枠組みに組み入れてしまう。
これさえ実現すれば、日本市場の完全収奪が可能になる。
そのカギを握っているのがISD条項である。
ISD条項こそ、日本収奪の決め手=核心なのだ。
沖縄の辺野古米軍基地建設で言えば、「埋立申請承認」に該当する。
ISD条項は、国家主権を奪う恐るべき威力を有する規定なのである。
だからこそ、日本のTPP交渉参加についての論議で、専門家が一致して最重要視したのが、このISD条項なのである。
そして、重要なことは、2012年の総選挙において、自民党が、ISD条項について、主権者の前に公約を明記したことだ。
自民党が提示した6項目の公約がある。
その5番目がISD条項に関する公約である。
「5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。」
この公約がある以上、ISD条項を含むTPPに日本は参加できない。
TPP交渉が行われているが、日本にとっての「核心」を明らかにして、ISD条項を含むTPPへの日本の参加はあり得ないことを、直ちに明言するべきである。
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