民意無視の安倍政権暴走は沖縄独立をもたらす
英国の一角を占めるスコットランドで、この9月18日に、スコットランドの英国からの独立の是非を問う住民投票が行われる。
9月に入ってから実施された世論調査では、賛成と反対が拮抗する結果や、賛成が反対を上回る結果が示されている。
18日に行われる住民投票は英国のほか英連邦や欧州連合加盟国の国籍がある16歳以上のスコットランド居住者約400万人が有権者となる。
スコットランドの人口は昨年6月末時点で推定約532万人。
住民投票は、独立に賛成か反対かの二者択一制で実施され、賛成票が有効投票の半数以上になると独立が確定する。
この場合には、その後の英政府との交渉を経て2016年3月から独立することになる。
2007年5月のスコットランド議会選挙で、完全な主権国家としてスコットランドを英国から独立させることを目指す「スコットランド民族党」が第一党になった。
それまでの与党であった労働党と1議席の差で民族党が第一党となり、スコットランド独立の夢が現実味を帯び始めた。
金融市場ではスコットランド独立の可能性、および英国のキャメロン政権の弱体化の可能性を警戒する動きが広がり始めている。
英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドの4つの地域が統合されて構築されている、一種の連邦国家である。
しかし、政治、経済の中心はイングランドが握っており、イングランドの影響力が圧倒している。
英国内での地域間の峻別は鮮烈であり、イングランド中心主義が極めて根強い。
イングランド人は
I’m an English.
と発言して、英国の他の地域の民族ではないことを強調することも多い。
スコットランド独立の気運が高まっている背景として、社会のあり方に対する価値観の相違が存在することを指摘できる。
かつての英国は、「ゆりかごから墓場まで」の言葉が象徴するように、社会保障制度の充実を国是とする国であった。
18世紀の産業革命以降、自由主義の経済政策で資本主義的発展を遂げた英国であるが、その英国が、19世紀、20世紀と時代を経るにつれて、自由主義経済、資本主義経済の限界と弊害を認識するに至ったのである。
基本的人権の分野では
自由権を18世紀的基本権
参政権を19世紀的基本権
生存権を20世紀的基本権
と呼ぶことがある。
経済政策運営においては、とりわけ1929年に始まる世界大恐慌をひとつの契機として、自由主義の経済学の限界と弊害が認識され、ケインズ経済学が脚光を浴びる局面を迎えた。
自由主義の流れ、資本主義の流れには大きな修正の力が加えられていったのである。
その延長上に唱えられた、理想の社会の姿が福祉国家である。
社会を構成するすべての個人の、最低限度の生活水準を、国家が十分に保障することが望ましい社会の姿である。
社会を構成する鎖の輪のもっとも弱い部分をいかに強くするか。これが社会の強さを測る尺度である。
といった考え方が登場したのである。
こうした、福祉国家を追求する思潮の流れのなかで、英国もその先頭を走る国家となったのだ。
ところが、1980年ころを境に、こうした「福祉国家」に対する批判と、見直しの気運が急速に広がった。
米国のレーガン大統領、英国のサッチャー首相、そして、日本の中曽根首相が、福祉国家見直しの旗手として登場した。
英国では福祉国家を目指す政策が、英国人の勤労意欲と企業家精神を削ぎ落とし、いわゆる「英国病」を生んだとの批判が一世を風靡したのである。
「鉄の女」とも称されるサッチャー首相は、英国を「福祉国家」を代表する国から、「新自由主義」を代表する国へと、大転換を図ったのだ。
今回のスコットランドの独立を目指す運動は、サッチャリズムに代表される「反福祉国家」の政治路線に対する、「福祉国家」への回帰を求めるスコットランド社会民主主義の政治路線の挑戦と表現することもできるものである。
英国のキャメロン首相は、仮に、住民投票でスコットランド独立が否決されたとしても、僅差での否決となれば、英国の保守党による政治支配に大きな脅威になるわけで、英国政治に対する「揺らぎ」は避けられない。
ウクライナのクリミアでは、住民投票によりクリミアの独立が達成された。
日本でも、沖縄県では、日本政府から蹂躙され続けるなら、独立の道を選択するとの声が、大きな声として広がりを示し始めている。
沖縄では、辺野古海岸を域内に有する名護市の市民が、市長選でも、市議選でも、米軍基地建設拒否の意思を明示している。
この住民の意思を踏みにじって政府が米軍基地建設を強行するということになれば、沖縄の人々が日本からの独立を真剣に検討し始めておかしくない。
スコットランドやクリミアでの運動が日本にも波及する可能性は十分に考えられるのだ。
続きは本日の
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