日本政治を暗黒時代に逆戻りさせる安倍政権
経団連が会員企業に政治献金を訴える方針を固めたことが報じられている。
経団連は2009年10月に政治献金を中止した。
この方針を5年で廃棄する。
現在の経団連会長は、本年6月に就任した東レの榊原定征(さだゆき)氏である。
榊原氏は「政治と経済は車の両輪」としたうえで政治との連携強化を掲げ、安倍晋三政権との関係の修復・強化を加速させている。
「政策をカネで買う」行動が再び大手を振ってまかり通ることになる。
2009年9月の政権交代実現から、まもなく5年の歳月が流れる。
日本政治刷新の偉業は、日本の既得権勢力の死に物狂いの巻き返し工作により破壊され、時計の針は大きく逆戻しされた。
日本は一気に戦前の大日本帝国憲法下の時代に引き戻されつつある。
拙著『日本の真実』(飛鳥新社)
をぜひご高覧賜りたいが、日本政治を支配してきた三勢力は、
米・官・業
のトライアングルである。
憲法が定める建前上の支配者は国民であるが、現実には、米官業トライアングルが日本政治を支配し続けてきた。
2009年9月に樹立された鳩山由紀夫政権は、この、既得権益が支配する日本政治の構造を根本から刷新しようとした。
米国による支配を断ち切る。
官僚による支配を断ち切る。
そして、大資本による支配を断ち切る。
この大改革が提唱され、推進されたのだ。
題目だけではなかった。
米官業による支配を断ち切るための具体策が明示された。
その具体策が政権公約に高められたのである。
米国の支配を断ち切る象徴として明示されたのが、沖縄・普天間飛行場の移設先を県外、国外に求めることであった。
米国の言いなりになり、米国に隷従する日本が続く限り、真の日本の独立はない。
政治家は米国に隷従していれば安泰である。
米国はひれ伏す者を保護するからである。
しかし、政治家がこの行動を続ける限り、日本の真の独立はない。
米国にひれ伏すとは、すなわち、自分の利益を優先することである。
自分の利益のために政治に携わる者ばかりでは、国は廃れるのみである。
米国に対しても言うべきことを言うという、独立国としての矜持を持つ者が国の政治を司らなければ、日本が真の独立を果たすことはできない。
鳩山政権は米国に対しても日本の主張を堂々と展開する、新たな姿勢を鮮明に示したのである。
官僚による支配を断ち切るために明示された方針は、
「シロアリの根絶」
だった。
財務省は、
「シロアリ退治なき消費税増税」
を求めるが、鳩山政権がその行く手を阻んだ。
「シロアリ退治なき消費税増税を認めない」
ことを明示し、まずは、シロアリを根絶することを公約に明示したのである。
そして、この方針を誰よりも声高く宣言したのが、野田佳彦という名の人物だった。
そして、大資本による日本政治支配の構図を根本から是正する、決定的に重要な政策方針が明示された。
企業団体献金全面禁止の方針である。
民主党が明確にこの方針を示したのは、2009年3月のことだ。
当時の代表である小沢一郎氏が、この方針を明示し、これを政権公約に盛り込んだのである。
「政治とカネ」の問題が大きく取り上げれらたが、「政治とカネ」問題の本丸が、まさにこの企業献金の問題だったのである。
爾来、5年の歳月が流れた。
既得権勢力は日本政治を転覆し、再び、既得権勢力が日本政治を完全支配する状況が構築された。
そして、大資本がカネの力で日本政治を支配する行動が、いよいよ大手を振って復活を遂げるのである。
口を開けば「政治とカネ」と騒ぎ立てていた日本のマスメディアが、この問題について、「政治とカネ」の問題として騒ぎ立てないところに、日本のマスメディアのいかがわしさが鮮明に浮かび上がっている。
続きは本日の
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