-6.8%成長どころでないGDP崩落の真実
本日、8月13日午前8時50分に2014年4-6月期のGDP速報値が発表された。
前期比年率実質GDP成長率は-6.8%で、事前予想通りの数値になった。
あまりにも衝撃的な数値である。
日本経済は正当性のない消費税大増税によって撃墜された。
日本経済新聞は「消費税増税の影響軽微」の報道キャンペーンを展開してきたが、現実は「消費税増税の影響激烈」であり、紙面において謝罪報道を展開するべきである。
経済の正確な情報を入手したいと思う市民は、日本経済新聞の購読をやめることが適切であると思われる。
本日発表のGDP統計の何がどのように衝撃的であるのか。
三つある。
第一は、国内需要の実質成長率が年率10.5%の激減を示したこと。
経済成長率は年率-6.8%だったが、外需は輸入の激減で成長率にプラスの寄与をした。国内需要は年率10.5%の激減を示したのである。
第二は、実質経済成長率が前期比で1.7%減となったが、民間在庫品増加は1.0%のプラス寄与をした。
在庫増加が成長にプラス寄与をするというのは、売れ残りを大量発生させた分だけ、生産がかさ上げされたことを意味する。
売れ残り分を差し引くと、国内需要は成長率を前期比で3.8%も押し下げた。
売れ残りの大量発生を含めて国内最終需要の落ち込みを計算すると、年率16%のマイナス成長が生じたことになる。
年率6.8%のマイナス成長と年率16%のマイナス成長との間には、イメージの大きな落差があるが、経済の実態を示すのは、在庫増の影響を取り除いた国内需要の動向であり、マイナス16%の経済墜落というのが、日本経済の真実である。
第三は、在庫増でかさ上げされている日本経済の生産水準であるが、その生産水準でさえ、前年同期比で-0.1%となったことだ。
4-6月期のGDP成長率がマイナスになった理由として、1‐3月期の駆け込み需要の反動との説明が付されるだろう。
この変化を見るには前年同期比の変化率を見るのが参考になる。
実質GDPの前年同期比は、昨年の7-9月期が+2.3%、10-12月期が+2.5%、本年1-3月期が+3.0%であったが、4-6月期は-0.1%に落ち込んだ。
駆け込み需要の反動だけではこの低落を説明できない。
経済政策運営における2014年後半の最大の焦点は、2015年度消費税再増税の判断である。
2014年度消費税増税の判断について、安倍政権は昨年8月に発表された2013年4-6月期のGDP統計を見て行うこととした。
昨年4-6月期のGDP成長率は年率+3.4%となった。
円安・株高の影響、および13兆円補正予算の効果で成長率が一時的に上振れしたのである。
年率の実質GDP成長率は7-9月期が+1.4%、10-12月期が-0.2%に再低迷した。
しかし、安倍政権は4-6月期のGDP成長率が高いとして消費税大増税を強行実施した。
この8月から12月にかけて、2015年度予算編成の時期に入る。
税収をどのように見込むかは予算編成の要である。
円滑な予算編成を行うには、2015年度増税について8月から9月の段階で判断しておく必要がある。
本日発表された4-6月期GDP統計を踏まえて2015年度増税について判断することが必要である。
本日発表の統計を見るならば、2015年度増税は先送りする以外に道はない。
消費税率の3%引上げが、激烈な影響を日本経済に与えている。
需要項目別の実質年率成長率は以下の通りである。
家計最終消費支出 -19.2%
民間住宅投資 -35.3%
民間企業設備投資 - 9.7%
財貨・サービスの輸出 - 1.8%
個人消費、住宅投資、民間設備投資が激減した。
生産活動を支えた最大の項目は在庫品増加である。つまり、大量の売れ残りを発生させた分だけ、生産活動は上振れしたのだが、この変化は「悪い兆候」である。
在庫品の積み上がりは、次期以降の生産抑制の原因になるからだ。
消費税大増税とともに日本経済は撃墜された。
この紛れもない「真実」が明らかになった。
続きは本日の
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