「安倍政権打倒」求める主権者の大きなうねり
8月23日の中日新聞=東京新聞『こちら特報部』が、
「安倍政権打倒デモ全国に広がる」
と題する特集記事を掲載した。
小見出しには
「自民一強 怒りの受け皿なし」
と記された。
日本政治の深刻な問題は
「ねじれ」
である。
「ねじれ」とは、日本の主権者の意思と永田町の議席分布が「ねじれ」ていることだ。
安倍政権与党は衆参両院で過半数議席を占有していることから、横暴な政治運営を展開している。
日本の命運を分かつような重大問題について、十分な議論を積み上げ、主権者の同意を得てものごとを決するという、丁寧な政治運営がなされていない。
衆参両院で過半数議席を占有していれば、数の力で押し切って構わない、との驕りが鮮明に浮かび上がる。
「国民主権」の大原則を踏まえれば、国民にとって死活的に重要な問題について、「数の力」で押し切るのではなく、時間をかけた十分な論議と、国民の合意形成を丁寧に実現することが何よりも重要である。
ところが、安倍晋三氏にはその丁寧さがまったく見られない。
そもそも、日本の主権者の多数が安倍政権を支持してきたわけでない。
2012年12月の総選挙でも、2013年の参院選でも、安倍政権与党に投票した主権者は、主権者全体の4分の1にしか過ぎない。
4分の1の主権者の意思にしか支えられていないのが安倍政権の実体である。
しかし、安倍政権与党は衆参両院の過半数議席を占有してしまった。
このために、主権者の4分の1しか賛同しない政策が強行決定されつつある。
原発、憲法、TPP、消費税、沖縄基地
という五大問題が横たわっている。
この五大問題が、主権者の4分の1に過ぎない者しか賛成しないなかで強引に決定されているのだ。
7月1日の閣議決定は、まさに暴挙である。
憲法が明確に禁止していることを、一内閣が、閣議で容認するという、言語道断の蛮行が実行された。
憲法をないがしろにする暴挙が白昼堂々と実行されたのである。
次に焦点が当たるのが原発である。
福島の事故がどれだけの苦難を主権者に与えているのか。
いまなお、福島の原子炉建屋には、誰一人、普通に近づけないのである。
日本の国土の一部が「死の土地」に転じさせられたのである。
これからも、日本では地震と津波が発生する。
そのたびに、日本の原発は危機に晒される。
そして、何よりも重要なことは、地震と津波に対する十分な対応がなされぬまま、原発再稼働が強行されようとしていることだ。
この問題についても、主権者の過半数が再稼働に反対の意思を表明している。
日本政治を立て直さねばならないのだが、最大の問題は中日新聞が示したように、
「怒りの受け皿なし」
という点にある。
主権者の意思を踏まえれば、
憲法のなしくずし改憲を絶対に阻止し、
原発の再稼働を認めない
消費税の再増税を凍結する
沖縄に新たに米軍基地を作らない
ことを明示する主権者の意思を反映する
「たしかな野党」
が必要である。
民主党の海江田代表が解釈改憲反対、脱原発、消費税増税阻止の方向で生活や社民党と統一会派結成に向けて動き出したことは評価できる。
民主党内には自民党補完勢力が潜伏しており、この隠れ自民勢力は、「たしかな野党」の方針に与(くみ)できないはずである。
民主党は早期に分裂するべきである。
そのうえで、主権者の意思をしっかりと受け止める「たしかな野党」を再生するべきだ。
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