民主-生活統一会派が野党再編の起爆剤になる
安倍晋三氏は別荘でゴルフ三昧の日々を過ごしているが、一般庶民はUターンラッシュの疲労を抜くこともできぬまま、お盆休み明けの仕事に取りかからなければならない。
日本経済は消費税増税とともに大不況に逆戻りしており、とてもゴルフ三昧の状況にはない。
広島や長崎の平和祈念式では、昨年とほぼ同じ原稿を読み上げていたが、ゴルフに費やす時間がたっぷりあるなら、式辞の推敲に充てるべきではないかとの声が聞かれるのもうなずける。
敗戦の日の追悼行事では「不戦の誓い」も聞かれなかった。
戦争が風化され、戦争を賛美する空気が醸成されていることに、心の底から危機感を感じているのは戦争を実体験した人々である。
政府は大新聞に巨大な広告費という利益を供与して、放射能汚染地域への住民強制帰還を推進している。
低線量被曝の危険性については定説が確立されていない。
低線量の被ばくを軽視するべきではないと強く主張する専門家は多数存在する。
政府が巨大な血税を投じて、偏った見解だけを流布することは適正でない。
世界最大の地震国日本における原発稼働においては、少なくとも万全の地震対策が不可欠であるが、安倍政権は不十分な地震対策しか施していない原発の再稼働を強硬に推し進める姿勢を示している。
また、沖縄では、地元住民、地元自治体が拒絶する米軍基地建設を、まさに「銃剣とブルドーザー」で強行する、野蛮な政策運営が進行している。
お盆休みが終わり、政局は2015年秋の陣に向かう。
これから年末まで、重要政治日程が目白押しである。
10月26日に福島県知事選が、11月16日に沖縄県知事選が実施される。
11月17日に7-9月期GDP統計が発表され、安倍政権は12月までに2015年度消費税増税について方針を決める。
さらに、安倍政権は鹿児島県にある九州電力川内原発の再稼働を強行しようとしている。
外交問題では北朝鮮による拉致問題解決を安倍政権が公言している。
まだ何も成果を得ていないが、北朝鮮に対する制裁措置だけは大幅に解除された。
制裁を解除して成果なしでは外交の完全敗北である。
対ロシアでは、安倍政権がプーチン大統領の訪日と北方領土問題の解決をアピールしてきたが、これを実現できるのかどうか。
大風呂敷を広げて、成果をあげられなければ、有言不実行とのそしりは免れない。
9月3日には内閣改造が実施される見込みだが、安倍政権を取り巻く風の向きはすでに逆風に転じている。
風向きの転換は昨年12月30日が起点で、より鮮明になったのは本年6月15日である。ワールドカップの試合開始時刻を無理やり日曜朝10時に変更しながら、日本勝利を実現できなかった。
風向きの転換がはっきりと示されたのである。
焦点は野党再編であるが、注目するべき大きな変化が見られ始めている。
民主党が動き始めたのである。
現在の民主党は、依然として混合物である。
悪徳民主と善良民主が混在している。
日本の民主主義確立を破壊したのが悪徳民主である。
藤井裕久、渡部恒三、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎
の悪徳10人衆が2009年の政権交代の偉業を木端微塵に破壊した。
悪徳10人衆は主権者国民の側に軸足を置く勢力ではない。
主権者国民を支配する米・官・業のトライアングルに軸足を置く勢力である。
2009年の政権交代は米官業トライアングルから主権者が、日本政治史上、初めて権力を奪取したものであったが、この主権者政権を、政権内部から破壊したのが悪徳10人衆なのである。
悪徳10人衆は鳩山政権をクーデターによって破壊して権力を強奪した。
その後、主権者との契約をことごとく破壊し尽くして、政治権力を米官業勢力の中心である自民党に奉還した。
そして、民主党から主権者勢力の中心を追い出した。追い出された本来の主力勢力が結成したのが、いまの生活の党である。
悪徳10人衆の残骸は、現在の海江田民主党においてもクーデターを挙行しようとしたが、海江田執行部が辛うじてこのクーデターを阻止した。
そして、海江田執行部が反転攻勢に進む気配を示し始めた。
野党再編には二つの道がある。ひとつは、第二自民党を創設する野党再編である。維新や次世代がこの方向を模索する。
もうひとつの道は、米官業勢力に対峙する主権者勢力の糾合である。
集団的自衛権と原発が分かりやすい対立軸になる。
集団的自衛権と原発で、安倍政権に明確に対峙する政治勢力を結集するのである。
民主党の悪徳10人衆は、潔く投降して、自公勢力に合流するべきである。
民主党が主権者勢力と米官業勢力に分裂することが、正当な野党再編の第一歩になる。
民主党の悪徳10人衆を支持する主権者勢力は一人もいない。
悪徳10人衆の残骸は、この事実をしっかりと見極めるべきである。
続きは本日の
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