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2014年8月30日 (土)

日本経済を撃墜した消費税と日本経済新聞の罪状

「消費税増税の影響軽微」のキャンペーンが嘘八百であったことが、改めて確認された。


このキャンペーンを、社を挙げて大々的に展開してきた日本経済新聞は、虚偽報道について明確な謝罪をするべきである。


日本経済新聞が「消費税増税の影響軽微」のキャンペーンを実施したのは、安倍政権に取り入るためである。


財務省による大増税路線を積極的に後押しして、安倍政権に取り入ろうとしたのである。


しかし、現実には、消費税増税の影響は激烈である。


日本経済は完全な下り坂のなかにいる。


2014年7-9月期の景気V字回復は絶望的な状況にある。


したがって、2015年10月の消費税再増税実施は適正でない。


増税凍結を早期に明示するべきである。


日本経済新聞は2014年に入り、明確な根拠がないのに、


「消費税増税の影響軽微」


の見出しを掲げる憶測報道を、一面トップに何度も掲載してきた。


企業や個人で日本経済新聞の素性を見抜けない人々は、この報道を鵜呑みにして、増税後の生産、支出計画を見誤ったことだろう。


戦前の大本営に寄り添う報道と共通するものがある。


現実には、消費税増税の影響は激烈に観測されている。


「消費税増税の影響軽微」


の報道は、完全な虚偽報道であった。

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8月29日には、日本経済の現状を知るうえで重要な二つの統計数値が発表された。


家計調査と鉱工業生産統計である。


GDPの6割は家計消費で決定される。


消費動向は経済の基調を判定するうえでの基本になる。


そして、消費税増税がもっとも強く影響するのが、この家計消費である。


日本経済新聞は消費税増税が実施されても家計消費の落ち込みは軽微で、かつ一時的なものにとどまると「力説」し続けてきた。


しかし、統計数値が示す現実=真実はまったく異なる。


消費税増税による個人消費への影響を完全に見誤ったのか、あえて、政府にすり寄るために誤報を続けてきたのか、そこは明らかでないが、少なくとも日本経済新聞が経済専門紙としては、失格であることだけは明白である。


総務省は家計調査発表資料のなかに、個人消費の動向を過去2度の消費税増税時と比較したグラフを掲載している。

   前年平均を100とした実質家計消費支出の推移(二人以上世帯)

082914

これを見ると、1989年の消費税導入時、1997年の消費税増税時と比較して、今回の増税が突出して甚大な負の影響を家計消費に与えていることがよく分かる。


過去2度のケースでは、4月に増税が実施されて消費が落ち込むが、消費支出を実質指数化した数値は6月、7月時点では、前年比100近辺にまで回復している。


ところが、今回は、4月以降、7月までの4ヵ月間連続で、前年平均を100として、95を下回り続けているのである。

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家計調査での二人以上世帯の実質消費支出は、7月に前年同月比-5・9%を記録した。


消費の激しい落ち込みが続いている。


本年に入ってからの実質消費支出の前年同月比推移は次の通りだ。


1月  +1.1%
2月  -2.5%
3月  +7.2%
4月  -4.6%
5月  -8.0%
6月  -3.0%
7月  -5.9%


消費税増税の影響が軽微であるのか、それとも甚大であるのかは明白である。


日本経済新聞はこの現状を突き付けられながら、8月30日朝刊では、


「景気回復に足踏み感」


の見出しを掲載した。


これも虚偽報道である。


「景気回復に足踏み感」というのは、景気が回復しているが、回復途上で横ばいになることを指す。


現実はまったく違う。


4月以降に家計消費は激しく落ち込み、その悪化がなお持続しているのである。


「景気後退に歯止めかからず」


の見出しを掲載するのが正しい。


安倍政権は2014年末までに2015年10月消費税再増税を最終決定することになっているが、消費税再増税を実施できる環境にはないことは明白である。


消費税増税を凍結するなら、早期に明示するべきだ。


その政策スタンスの修正が、日本経済の悪化加速を食い止める要因になる。


日本のマスメディアが財務省による情報操作活動=TPRによって歪められていることがもたらす弊害は深刻である。

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