« FRBイエレン議長が示唆する金融市場の落とし穴 | トップページ | 黒田氏の日銀総裁起用が間違いだったわけ »

2014年8月26日 (火)

「個体側の脆弱性」と言い放つ東電の真摯な対応

2011年7月に東京電力福島第1原発事故で避難していた福島県川俣町の渡辺はま子さんが焼身自殺したことについて、遺族が東電に計約9100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地方裁判所の潮見直之裁判長は8月26日、東電に約4900万円の賠償を命じる判決を示した。


遺族は焼身自殺の原因は、渡辺さんが「避難生活で精神的に追い詰められ、うつ状態になったため」として東電の責任を追及した。


安倍晋三政権は原発を再稼働させるべきではないとの主権者の多数意見を無視して原発再稼働の方針を示して暴走を続けているが、この政権の暴走に対する風向きが明らかに変化しつつある。

人気ブログランキングへ

5月21日には、福井地方裁判所の樋口英明裁判長が、関西電力大飯原発の運転を停止する命令を示した。


福島事故は地震と津波を原因として発生しており、原発の安全性は、少なくとも地震と津波に対する万全の対策を講じなければ確保されない。


地震に対する備えとしては、日本国内で発生し得る自身の揺れの強さに耐えるものでなければならないことは当然である。


その際、ひとつの目安になるのは、2008年の岩手宮城内陸地震で観測された4000ガルの地震動である。

 

これは、あくまでも最低ラインではあるが、2008年にこの水準の地震動が観測されているのだから、原発は最低でも4000ガルの地震動に耐える設計になっていることが必要不可欠だ。


誰にでも分かる、誰にでも理解できる理屈である。


ところが、日本の原発の耐震基準はこの地震動に耐えるものにさえなっていない。


原子力規制委員会は規制基準を定めて、原発の現実が規制基準を充足するものであるかどうかを審査する機能を担っているが、その規制基準が原発の安全を確保するものになっていないなら、お話にならない。


原子力規制委員会の田中俊一委員長が、原発が規制基準をクリアしても、


「原発が安全だとは言っていない」


と述べているのは当然のことであるが、そうであるなら、田中氏は原発の規制基準を変更することを実行するべきである。


安倍政権が大地震の頻発地帯に立地する鹿児島県の九州電力川内原発をわずか620ガルの基準地震動で再稼働させようとしているのは、言語道断である。

人気ブログランキングへ

7月13日には、滋賀県知事選で安倍政権が擁立した元経産官僚の候補者が落選した。


知事選の最大の争点は脱原発の是非であった。


政府の御用新聞に堕落しているのが読売、産経、日経の三紙である。


安倍政権の集団的自衛権行使容認の閣議決定について、賛辞を示した全国紙がこの三紙である。


地方紙では、北国新聞(石川)、福島民友新聞(福島)、富山新聞(富山)以外の各紙は閣議決定を糾弾する社説を掲載した。


読売、産経、日経の突出ぶりがよく分かる。


その一角を占める日本経済新聞が実施した世論調査でさえ、原発再稼働に反対の世論が過半数を占めている。


日経新聞とテレビ東京が8月22~24日に実施した世論調査では、原発再稼働について、


再稼働を進めるべきだ   32%


再稼働を進めるべきでない 56%


の結果が示された。


普通の新聞なら、見出しは、


原発「再稼働進めるべきでない」56%


とするだろうが、さすがは日経新聞である。見出しは、


原発「再稼働進めて」32%


とした。不思議な新聞である。

人気ブログランキングへ

今日判決が示された、渡辺さんの原発事故後の自殺に東京電力の責任があるかを争う裁判の第3回口頭弁論において、東電は驚くべき口頭弁論を行った。


東電代理人は、


「個体側の脆弱(ぜいじゃく)性も影響していると考えられるから、考慮した上で相当因果関係の有無を判断すべき」


と主張したのである。


渡辺さんの弱さが自殺の原因だと主張し、その渡辺さんの弱さを、


「個体側の脆弱性」


と表現した。


東京電力はテレビ朝日の取材に対して、


「真摯に対応してまいりたい」とコメントしたが、口頭弁論での言い回しは、原発事故被害者の気持ちを逆なでするものでしかない。


慇懃無礼という言葉があるが、「真摯に」と言葉の上でだけ述べて、心のなかでは、被害者を単なる「個体」としか見ていないのだ。


人として見ることもなく、個人として見ることもない、単なる物質。それが「個体」である。

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第945号「経済合理性に反する原発利用の推進」
でご購読下さい。

『アベノリスク』(講談社)
動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。

2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射-

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う!

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下

価格:2,100円 通常配送無料

出版社:早川書房
amazonで詳細を確認する

アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ)

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く

価格:1,785円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

消費税増税 「乱」は終わらない 消費税増税 「乱」は終わらない

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:同時代社
amazonで詳細を確認する

国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す!

価格:1,000円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:青志社
amazonで詳細を確認する

日本の独立 日本の独立

価格:1,800円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

売国者たちの末路 売国者たちの末路

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

知られざる真実―勾留地にて― 知られざる真実―勾留地にて―

価格:1,890円 通常配送無料

出版社:イプシロン出版企画
amazonで詳細を確認する

消費税のカラクリ 消費税のカラクリ

価格:756円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

戦後史の正体 戦後史の正体

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:創元社
amazonで詳細を確認する

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土

価格:798円 通常配送無料

出版社:筑摩書房
amazonで詳細を確認する

日米同盟の正体~迷走する安全保障 日米同盟の正体~迷走する安全保障

価格:798円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

検察崩壊 失われた正義 検察崩壊 失われた正義

価格:1,365円 通常配送無料

出版社:毎日新聞社
amazonで詳細を確認する

検察の罠 検察の罠

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

「主権者」は誰か――原発事故から考える 「主権者」は誰か――原発事故から考える

価格:525円 通常配送無料

出版社:岩波書店
amazonで詳細を確認する

原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:鹿砦社
amazonで詳細を確認する

« FRBイエレン議長が示唆する金融市場の落とし穴 | トップページ | 黒田氏の日銀総裁起用が間違いだったわけ »

原発再稼働」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「個体側の脆弱性」と言い放つ東電の真摯な対応:

« FRBイエレン議長が示唆する金融市場の落とし穴 | トップページ | 黒田氏の日銀総裁起用が間違いだったわけ »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ