時計の針を逆戻しする安倍政権を退場させる
原爆投下から69年の歳月を経た8月6日、広島市の平和記念公園で降りしきる雨の中、午前八時から「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が営まれた。
69年前の1945年8月6日午前8時15分、米国は広島に原子爆弾リトルボーイを投下した。
世界で初めて核兵器が実戦で使われた。
罪なき非戦闘員、無実の市民が大量虐殺されたのである。
核の恐ろしさが私たち日本人の目に焼き付いた瞬間でもあった。
ジェノサイドとも呼ばれる大量虐殺が実行されたのである。
式典で広島市の松井一実市長は平和宣言を読み上げ、政府に「名実ともに平和国家の道」を歩み続けるように求め、被爆地として核兵器廃絶への積極的な取り組みを世界に訴えた。
しかし、集団的自衛権行使容認には言及せず、「日本国憲法の崇高な平和主義の下で六十九年間戦争をしなかった事実を重く受け止める必要がある」とだけ指摘した。
松井一実氏は2011年4月の市長選で、自民、公明の推薦を受けて当選した。
前任の秋葉忠利氏は社会民主党国会議員から広島市長に転じ、1999年から2011年まで市長を務めた。
2007年の平和宣言では、
「米国の時代遅れで誤った政策にははっきり「ノー」と言うべき」
と述べ、2008年の平和宣言では、
「人類の生存を最優先する(反核である)多数派の声に耳を傾ける米国新大統領が誕生することを期待」
と発言した(Wikipedia)。
敗戦から69年の時間が経過し、歴史は風化している。
安倍政権は日本国憲法第9条が禁止している集団的自衛権行使を容認する憲法破壊行為に突き進んだ。
日本は憲法で、
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
ことを定めている。
集団的自衛権の行使は、
「国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使を行うこと」
であるから、明確に憲法第9条の定めに反するものである。
憲法を破壊する人物が行政のトップに君臨するのでは、憲法が定める平和主義の道を日本が歩めるわけがない。
安倍晋三氏は平和祈念式に出席するべきでなかった。
安倍晋三氏の行動は、平和を祈念するものでなく、平和を破壊するものだからである。
核攻撃を受けた広島の市長が、安倍政権の集団的自衛権行使容認の行動を批判しないことも不当である。
平和への祈り、不戦の誓いは、いま、こうした為政者によって、踏みにじられているのである。
安倍晋三氏は日本国憲法第13条の定めに従って、集団的自衛権行使容認の閣議決定に突き進んだと説明しているが、その憲法第13条を踏みにじっているのが安倍政権自身なのだ。
日本国憲法第13条の条文はこれだ。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
安倍政権は、国民の生命、自由、幸福を追求する権利を、立法その他の国政の上で最大に尊重するため、集団的自衛権の行使を容認する必要があるのだと主張している。
「国民の生命、自由、幸福を追求する権利を、立法その他の国政の上で最大に尊重する」ことが必要なら、安倍政権はどうして原発再稼働を容認するのか。
原発で事故が起これば、福島の惨劇が繰り返される。
福島の場合、不幸中の幸いで、日本全体が壊滅する事態は避けられたが、一歩誤れば日本全体が壊滅する事態に陥っていた。
福島の事故は、地震、あるいは津波によって引き起こされた。
日本の国土面積は世界の0.25%に過ぎないが、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の2割が日本を震源地としている。日本は世界最大の地震国なのである。
いつ再び、福島のような事故が再発されるか分からない。
安倍政権は、
「世界でもっとも厳しい規制基準を設定して、この規制基準を満たした原発を再稼働させる」
としているが、この対応では、いつでも福島のような過酷事故は発生し得る。
敗戦から69年の時間が経過して、安倍政権は戦争の教訓も、核攻撃の教訓も、原発事故の教訓も、すべてを消し去ろうとしている。
この政権が日本を破壊する惧れは濃厚である。
安倍政権の一刻も早い退場を実現しなければならない。
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