安倍暴政出現の元凶=「ねじれ」国会是正が急務
国会の「ねじれ」状況の是正が強く求められている。
「ねじれ」というのは、衆議院と参議院の多数勢力が異なっていることを指すのではない。
衆院と参院の多数勢力が異なることは、政権与党の暴走を回避するうえでは、極めて有効な状況である。
衆院と参院の多数勢力が同一であることは、政治決定を速やかにさせるメリットがあるが、このメリットが生かされるための最重要の条件がある。
それは、政治権力を握る為政者が、憲政の常道を守り、自己抑制の力を備えていることである。
自己抑制力のない為政者に衆参両院の多数勢力が付与されることは、危険極まりのないことである。
ナチ党のヒトラーに全権委任法が付与されたことがその象徴的事例であるが、現在の日本もそれに類似した状況であると言える。
国会の深刻な「ねじれ」とは、主権者である国民の意思と国会議席数の関係が「ねじれ」ていることを意味する。
国会議員を選んだのは主権者国民であるのに、この「ねじれ」が生じるのは、主権者国民の多数が選挙で参政権を行使することを怠ったことが一因である。
また、選挙に際して、適正な選挙戦が行われなかったことも一因である。
本来は、選挙に際して、主要な重要争点が明確にされ、その争点についての各政党の考え方、公約が明示され、その上で主権者が吟味して投票行動を決めることが求められる。
とりわけ、原発・憲法・TPP・消費税・米軍基地などの重大問題については、徹底的な論戦が必要であり、その論戦の上に、各政党が責任ある公約を提示することが不可欠である。
ところが、こうした重要争点を明確にしたくない政治勢力が存在し、その政治勢力の支援に回るマスメディアが存在すると、この状況が成立しない。
争点を明確にしたくない政治勢力は、選挙で多数議席だけを確保して、主権者の意思に反する重要決定を強行することを考える。
これに協力するメディアは、主権者に重要問題の徹底論戦を提供せずに、主権者の関心を別のところに引き寄せて特定の政治勢力が多数議席を確保することに協力する。
こうして、特定政治勢力の多数議席が付与され、その政治勢力が主権者の意思に反する政治決定を進めてゆく。
こうして、深刻な「ねじれ」が生まれるのである。
いま、最大の争点になっていることは、憲法破壊である。
安倍晋三政権は、正規の手続きを経ずに憲法内容を改変する行為に突き進んでいる。
憲法第99条が定める憲法尊重擁護義務に反する、憲法違反行為である。
日本国憲法は、国際紛争を解決するための手段として、国権の発動たる戦争、武力の行使、武力による威嚇を、永久に放棄することを定めている。
日本が直接攻撃を受けていないのに、第三国が攻撃を受けたときに、日本が武力を行使するという、集団的自衛権の行使は、憲法の規定に反する行為であり、認められない。
これが日本国憲法の唯一の解釈である。
日本が集団的自衛権を行使できるようになるには、憲法を改定することが必要になる。
したがって、安倍晋三氏が、日本は集団的自衛権を行使できる国に変わるべきであると考えるなら、憲法改定を提案して、正規の手続きを経て憲法改定を実現する方策を考えればよいのである。
憲法を改定するためのハードルは高く設定されている。
国の基本法である憲法は、政治権力の暴走を防ぐための砦でもある。
この砦が簡単に壊されてはまずいから、憲法改定のハードルは高く設定されているのである。
しかし、それは、日本の主権者の総意で定めたルールであるから、そのルールは守る必要がある。
安倍晋三氏は、正攻法で憲法改定を提案しても、賛同を得られず、憲法改定の実現が難しいと考えているのだろう。
正規の手続きを経て憲法を改定することが難しいなら、憲法改定は実現不能なのである。
この現実を厳粛に受け止めるべきである。
ところが、安倍晋三氏は、正規の手続きを経て憲法を改定することが難しいから、正規でない、内閣が勝手に憲法解釈を変えてしまうという「暴挙」に突き進んでいるのである。
不正な事情があって検問を正規の手続きで通過することができないから、検問所を猛スピードで強行突破する行為に等しい。
劣化し尽くした政治行動である。
日本の主権者の過半数は、内閣が憲法解釈を変えて憲法の内容を改変することに反対である。
これが民意である。
ところが、国会における議席数では、主権者国民の少数派の意見である、「なしくずし改憲」を支持する政治勢力が過半数を保持している。
これが、深刻な「ねじれ」なのだ。
一刻も早い「ねじれ」の解消が必要である。
主権者国民の多数勢力が国会議席の多数勢力を保持する状況に変えなければならない。
この「ねじれ」解消に向けて、たしかな青写真を描く必要がある。
続きは本日の
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