家計調査と日銀短観が示す日本経済の先行き不安
7月1日に日銀短観6月調査結果が公表された。
企業の景況感を示す業況判断DIは、3月実績、6月実績、9月見通しが、次のように示された。
大企業
製造業 +17 → +12 → +15
非製造業 +24 → +19 → +19
中小企業
製造業 +4 → +1 → +3
非製造業 +8 → +2 → ±0
日銀短観は企業に対する一種のアンケート調査で、業況判断DIは景況感について、「良い」か、「悪い」か、で回答を求め、全体100として、「良い」から「悪い」を差し引いた数値として示されるものである。
すべての回答者が「良い」と答えればDIは100になり、すべての回答者が「悪い」と答えるとDIは-100になる。
数値がプラスであれば、景況感は「良い」の部類に入り、マイナスであれば「悪い」の部類に入ることになる。
大企業の景況感は、製造業、非製造業ともに比較的良好な水準にある。
中小企業の景況感は、大企業に比べれば極めて弱いものだが、それでも数値はプラスを示しており、日本全体の景況感は比較的良好な水準にあると言ってよい。
今回調査では、4月に税率が8%に引き上げられた消費税増税の影響が、企業の業況判断等にどのように影響しているかが焦点であった。
発表数値を見る限り、消費税増税の影響は、それほど深刻な形では表れていない。
とりわけ、9月見通しでは、中小企業の非製造業を除けば、業況の改善が示されており、増税を契機に日本経済が低迷局面に回帰してしまうリスクは強く示されていない。
日本経済の先行き見通しに対する、一つの安心材料が提供された形になったが、手放しの楽観はできないと思われる。
6月28日に発表された5月の家計調査では、個人消費の激しい落ち込みが確認された。
夫婦子二人の一般世帯の実質消費水準が、前年同月比で8.0%も落ち込んだ。
89年の増税実施時、97年の税率引上げ時には見られなかった、消費の大幅な落ち込みが確認された。
衝撃的な数値の発表だった。
今回の短観にも、留意を要する重要な数値が二つ示されている。
これらを踏まえれば、日本経済の先行きに対しては、十分な警戒が求められるのであり、今後の政策対応が極めて重要になると言える。
二つの重要数値とは、企業収益見通しと、企業の設備投資計画である。
今回短観では、企業の2014年度経常利益見通しについて、次の数値が示された。
大企業 -4.6%
うち製造業 -3.0%
非製造業 -6.1%
中小企業 -4.9%
うち製造業 +0.2%
非製造業 -6.7%
他方、2014年度の設備投資計画については、次の数値が示された。
大企業 +7.4%
うち製造業 +12.7%
非製造業 +4.9%
中小企業 -19.7%
うち製造業 -5.4%
非製造業-26.0%
全規模合計 +1.7%
うち製造業 +10.1%
非製造業 -2.4%
2014年度の企業の経常利益は減益が見込まれている。
企業利益動向と密接なかかわりがある企業の設備投資は、製造業で積極的な投資計画が保持されているが、非製造業は極めて慎重である。大企業の設備投資姿勢は積極的だが、中小企業の投資姿勢は極めて慎重で、すべての規模の設備投資計画は、1.7%の伸びしか示していない。
2013年度は企業の経常利益が全産業・全規模合計で、前年度比28.4%の大幅増加を示したが、2014年度は一転して減益予想となっている。
景気動向の変化は極めて重大で、今後の経済政策スタンスによっては、景気が後退局面に移行する可能性さえ浮上するだろう。
7月4日(金)午後6時から、東京千代田区で、月刊日本主催の佐々木実氏の講演会が予定されているので、告知しておきたい。
詳しくは
http://ameblo.jp/gekkannippon/entry-11875548026.html
を参照いただきたい。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第900号「資本栄えて民滅ぶ経済政策を主権者が支持するのか」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
| 日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
| 20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
| オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
| アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
| 鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
| 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
| 消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
| 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
|
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
| 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
| 日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
| 売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
| 知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
| 消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
| 戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
| 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
|
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
| 検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
| 検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
|
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
|
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 集団的自衛権解釈改憲で際立つ御用三紙の堕落 | トップページ | 冤罪多発に3%可視化示した警察検察の厚顔無恥 »
「消費税大増税=大企業減税」カテゴリの記事
- 日本の光を闇に変えた野田首相(2022.12.26)
- すべてを疑うことから始める(2022.11.29)
- 消費税問題は選挙の道具でなく核心(2020.09.13)
- 不況下大増税強行という世紀の大失策(2020.08.01)
- 深刻化避けられない消費税大増税大不況(2020.02.27)











