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2014年7月 5日 (土)

冤罪多発に3%可視化示した警察検察の厚顔無恥

多くの冤罪事件を生み出してきた日本の警察・検察・裁判所が、こうした汚点に鑑みて制度を見直すための論議が行われてきたはずだが、まったく見当違いの焼け太り案が提示された。


捜査と公判を見直す法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が6月30日の会合で、法務省の最終案を提示した。


取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける範囲を裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限る一方で、司法取引の導入や通信傍受の拡大など新たな捜査手法が明記された。


完全な焼け太りの提案である。


日本の警察・検察・裁判所は、日本を暗黒社会に陥れている元凶である。


日本はいまだに「前近代」に取り残されている。


小沢一郎氏裁判事件、厚労省村木厚子局長事件、足利事件、袴田事件など、検察および捜査当局の重大犯罪は枚挙に暇はない。


私も冤罪被害者の一人である。


冤罪は国家による最も残酷な犯罪である。


基本的人権は破壊する極悪犯罪である。


多くの重大犯罪が明かになっているのであり、抜本的な制度変更が求められているが、法制審議会は、検察等の重大犯罪がありながら、その身内で論議をしているから、自分たちを律する制度改正が実現しない。


泥棒に泥棒を取り締まるルール作りを任せているようなもので、もとより、実効性のある改革案など、出てくるわけがないのである。

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法制審議会は最終案を基に法務大臣に答申し、法務省は来年の通常国会で刑事訴訟法などの改正案提出を目指している。


今回の論議における最大の焦点は、取調べの可視化である。


密室で重大犯罪が行なわれている。


犯罪者は検察と警察である。


小沢一郎氏裁判事件では、石川知裕衆議院議員に対する事情聴取内容を捏造して、小沢氏が検察審査会で起訴されるような捜査報告書が作成された。


嘘八百の捜査報告書だ。


石川知裕氏が事情聴取内容を秘密録音しており、この録音データが、決定的な証拠になった。


日本政治史上、最大最悪の巨大犯罪と言ってよいが、驚くことに、検察は犯人対置を無罪放免にしたのである。


身内は重大犯罪を実行しても検挙すらしない。


政治権力の指令に基づいて、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる一方で、身内の重大犯罪者は無罪放免にする。


これが日本の警察・検察・裁判所である。


石川知裕氏が実行したのは、「取り調べ状況の可視化」だった。


録音データという、動かぬ証拠があったから、検察の巨大犯罪が明るみに出た。


小沢氏の無実も明らかにされた。


しかし、石川氏が秘密録音をせず、取調べ状況が可視化されていなかったなら、捏造された捜査報告書が「真実」としてまかり通り、小沢一郎氏の完全無罪も立証できなかったかも知れない。


石川氏による独自の「可視化」が果たした役割は限りなく大きい。

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法制審議会が提示した「可視化」は、すべての刑事事件捜査の約3%だけを「可視化」するというものである。


全面・完全可視化が求められているなかで、「3%の可視化」を打ち出すとは、日本の警察・検察・裁判所は、国民をなめ切っている。


刑事訴訟法第1条の条文を示す。


第一条  この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。


この条文に、誤記が2箇所ある。


ひとつは、


「個人の基本的人権の保障とを全うしつつ」


という部分。


日本の刑事訴訟手続きにおいては、「個人の基本的人権の保障」は存在しない。


「個人の基本的人権の保障」を実現しようとするなら、取調べ過程の全面・完全可視化に踏み切るはずだ。


その可視化は、3%しか実行しない。


97%は人権無視、3%だけ人権尊重なのだ。


もうひとつの誤記は、


「事案の真相を明らかにし」


の部分。


日本の刑事司法は、事案の真相を明らかにすることを目的としない。


警察・検察が作ったストーリーを追認するだけである。


冤罪だろうがおかまいなしだ。


とりわけ、人物破壊工作は、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる謀略である。


「事案の真相」を明らかにしたのでは、「人物破壊工作」は成り立たないのだ。


犯人である警察・検察・裁判所が会議をして、犯人を取り締まる制度変更が行われる可能性は、もともとゼロだった。


こうした日本の刑事司法の前近代性をテーマにした小説を、


『永遠のゼロ』


として小説にするのが面白いだろう。

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