安倍政権官邸のNHK恫喝フライデー報道の深層
『週刊フライデー』が7月11日発売の最新号で、
「安倍官邸がNHKを“土下座”させた一部始終」
と題する記事を掲載した。
7月3日に放送された『クローズアップ現代』での放送内容に安倍官邸がクレームをつけてNHKが謝罪したという内容である。
NHKは
「みなさまのNHK」
でなく、
「あべさまのNHK」
になっている。
この番組が取り上げたのは、安倍政権による集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更、すなわち安倍政権による「なしくずし改憲」強行である。
本ブログ、メルマガで取り上げてきているように、日本の主権者国民の多数は、安倍政権の対応に反対している。
安倍政権が「なしくずし改憲」強行の暴挙に突き進んだ直後の共同通信社世論調査では、以下の結果が示された。
問5 日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、日本が攻撃されたとみなして一緒に反撃する「集団的自衛権」について、政府はこれまで「憲法解釈上、行使できない」としてきましたが、安倍内閣は憲法解釈を変更して行使を容認する閣議決定をしました。あなたはこの行使容認に首相に賛成ですか、反対ですか。
賛成 34・6%
反対 54.4%
分からない・無回答 11.0%
問6 安倍内閣は集団的自衛権の行使容認にあたり、憲法改正ではなく、憲法解釈の変更で対応しました。あなたは、この対応が妥当だったと思いますか、思いませんか。
妥当だったと思う 31.7%
妥当だったとは思わない 60.0%
分からない・無回答 8.3%
問8 閣議決定では「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などと限定して集団的自衛権行使を容認しています。一方で、一度行使を容認すれば歯止めがかからないとの懸念も指摘されています。あなたは、どう思いますか。
行使容認の範囲が広がる恐れはない 19.0%
行使容認の範囲が広がる恐れはある 73.9%
分からない・無回答 7.1%
問9 安倍晋三首相が政府、与党の検討を指示してから約1カ月半で集団的自衛権行使容認が閣議決定されました。あなたは検討が十分に尽くされたと思いますか。
十分に尽くされた 12.6%
十分に尽くされていない 82.1%
分からない・無回答 5.3%
問10 公明党は当初、集団的自衛権の行使容認に慎重でしたが、最終的に行使容認に転換しました。あなたは、この公明党の姿勢をどう思いますか。
納得できる 24.4%
納得できない 65.6%
分からない・無回答 10.0%
この世論調査が、日本の主権者国民の考えをかなり的確に示している。
安倍政権の暴走・暴挙は明白である。
7月13日投開票日を迎える滋賀県知事選では、安倍政権与党が推薦する候補者を必ず落選させる必要がある。
クローズアップ現代には、安倍政権の官房長官である菅義偉氏が出演した。
番組では、集団的自衛権行使についての、これまでの政府見解が説明され、それが、今回、安倍政権によってどのように変更されたのかが解説された。
その上で、スタジオでキャスターの国谷裕子氏と政治部記者の原聖樹氏が菅義偉氏に質問した。
その内容の全体を、NHKサイトで確認できる。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3525.html
番組における集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更の説明は中立公正で、スタジオでのやり取りも標準的なものであった。
しかし、この内容について、安倍晋三首相官邸が激怒したというのだ。
どのようなやりとりがあったのかを客観的に確認することはできないから、断定は避けるが、容易に想像がつく。
安倍政権官邸としては、政府の完全御用番組を制作させたつもりだったのだろう。
しかし、現場に、それに抗う空気がまだ残っていたということだろう。
解説委員の島田敏男氏やニュースウォッチ9の大越健介氏が担当していれば、完全御用番組にしたと思われるが、クローズアップ現代は、標準的な、常識の線に沿う番組編成を行った。
これに菅義偉氏が激怒したということなのだろう。
しかし、激怒や土下座の場面を客観的に確認できなければ、安倍首相官邸は記事内容を否定するだろう。
そこを追及しても、なかなか効果は上がらない。
しかし、この記事に示される図式そのものは、現在の安倍政権とNHKの関係を如実に物語るものであると判断される。
NHKが私物化されているという、極めて重大な事態が発生しているのだ。
その私物化の中心にいる人物が、安倍晋三氏と菅義偉氏なのである。
続きは本日の
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