重大研究不正疑惑に小保方氏は会見で見解示すべき
山梨大学の若山照彦教授が6月16日、記者会見を行った。
私は本ブログ、メルマガに若山教授の記者会見により、問題の本質が明らかになることを主張し続けてきた。
そして、実際に、若山教授の記者会見で、STAP細胞問題の本質がほぼ明らかになった。
すでに理研の外部有識者による改革委員会が6月12日に開いた会見で、委員はこの問題を、
「世界の3大不正の一つ」
として
「教科書になる」
などと発言していた。
本ブログ、メルマガでも、若山教授が小保方氏から渡された細胞が由来するマウスが、若山教授が提供したマウスとは異なる者であったことが明らかになる場合には、「犯罪的なねつ造」問題に発展すると指摘してきた。
若山教授は本日の記者会見で次の事実を明らかにした。
小保方晴子氏から「STAP細胞」だとして渡された細胞を第三者機関に解析を依頼した結果、若山教授の研究室のマウスではなかったことが判明したのである。
小保方氏は別の細胞を、若山氏から提供されたマウスの細胞から作製した「STAP細胞」だとして、若山教授に渡していたことになる。
NHK報道によれば、
「理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが使っていた研究所内の冷凍庫から「ES」と書かれたラベルを貼った容器が見つかり、中の細胞を分析したところ、共同研究者の若山教授の研究室で保存されていたSTAP細胞を培養したものだとする細胞と遺伝子の特徴が一致したとする分析結果がまとまっていたことが分かった」
ということである。
「理化学研究所の関係者によりますと、分析結果をまとめたのは、小保方リーダーが所属する神戸市の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの研究者らのグループで、
センター内にある小保方リーダーらが使っていた冷凍庫の中から「ES」と書かれたラベルを貼った容器が見つかり、中にあった細胞の遺伝子を詳しく分析した。
その結果、この細胞には15番目の染色体に緑色の光を出す遺伝子が入っている特徴のあることが分かった。
共同研究者の若山照彦山梨大学教授は、小保方リーダーが作製したSTAP細胞を培養したものだとする細胞を分析した結果、緑色の光を出す遺伝子が、15番染色体に組み込まれていたが、
これは、これまで若山教授の研究室で小保方リーダーがSTAP細胞の作製に使っていたマウスの細胞とは特徴が異なることが分かったと発表した。」
現段階では、誰が真実を語っていて、誰が真実を語っていないかを客観的に証明することが完了していないため、「立証の成立」までは至っていないが、外堀と内堀は、ほぼ埋められたと言って過言でないだろう。
「STAP細胞」ではなく「ES細胞」が用いられた疑いが極めて高くなりつつある。
利権の外部有識者による改革委員会が、
「世界の3大不正の一つ」
と表現したが、恐るべき不正事案の発覚になる可能性が高まっているのである。
ハフィントンポスト記事
は、研究者の倫理観を研究している信州大学特任教授の市川家国氏の見解として、
「STAP論文問題では様々な不正が同時に行われている点を挙げ、
2002年にアメリカで起こった「超電導研究不正(シェーン事件)」
や、
2005年に韓国で起った「ES細胞捏造(ファン・ウソク事件)」
と並び、三大不正事件の一つであると断言。
「3つの事件のなかでも一番がSTAP細胞論文の問題で、これから教科書的に扱われることになる」
と述べた」
ことを伝えている。
問題発覚当初は、画像の切り貼りや、他論文からの文章の無断転載などの、形式的な問題に焦点が当てられた。
これだけでも重大な問題ではあるが、意図的な研究のねつ造とは明らかに一線を画するものであった。
小保方氏に対する評価についても、擁護派と批判派が分かれるなどの対応が見られたが、仮に、小保方氏が別の細胞を、STAP細胞だとして若山教授に渡していたということになると、小保方氏を擁護する余地は完全に消滅する。
それほどまでに、重大な、まさに「犯罪的なねつ造事案」に発展することになる。
上記のハフィントンポスト記事では、市川家国氏が、
「これから若い人が論文を発表するときに、『理研』や『JAPAN』と名前がつくだけで疑われるとなると、国益に反する」
「教科書になったときに、理研が確実に真実を明らかにしなかったことが、日本として問題だ」
と述べたことを紹介している。
本ブログ、メルマガで指摘してきたように、若山教授は保存してある細胞の遺伝子分析を専門家に依頼した段階で、問題の本質を正確に把握していたと考えられ、理研にもその見解は伝えられていた可能性が高いと思われる。
単なる形式的な論文不正ではなく、研究全体が粉飾されたねつ造研究であるという、より悪質な犯罪的ねつ造事案であるとの疑いは、早い段階で存在したと考えられるのだ。
ところが、これまでの理研の対応を見ると、問題の本質を明らかにしないまま、単なる形式的な論文不正問題として、幕引きを図ろうとしたように見えてならない。
その隠蔽体質、責任逃れの体質が極めて重大であると言わざるを得ない。
理研は責任をもってすべての真相を明らかにする必要がある。
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