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2014年6月15日 (日)

集団的自衛権行使を明確に否定する1972政府見解

安倍晋三政権は集団的自衛権行使容認の閣議決定のタイミングをワールドカップ開催に合わせてきたのだと考えられる。


日本が予選リーグで勝利を重ねて、国内が祝勝ムードに包まれるタイミングで集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行してしまうシナリオが練られてきたのだと見られる。


日本はワールドカップ一次リーグ初戦でコートジボアールに逆転負けを喫した。


残るギリシャ戦、コロンビア戦に勝利して、決勝リーグに駒を進めて欲しいと多くの国民が期待している。


背水の陣を敷いて、苦境を跳ね返すことができるか。正念場を迎える。


安倍政権は集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行したい心理状況から、ワールドカップのゆくえに強い関心を払っているだろう。


しかし、この問題は、日本の命運を左右する重大問題であるから、拙速な対応を示すべきでない。


憲法問題でもあり、政権の独断専行は許されない。

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かねてより、二つの問題が混同されていることを指摘してきた。


二つの問題とは、集団的自衛権行使そのものの是非と、集団的自衛権行使を容認する場合の手続きである。


安倍政権は集団的自衛権行使容認を正当化するために、憲法第13条の規定を活用しようとし、1972年の政府見解を利用しようとしているが、論理的に無理がある。


日本国憲法第13条の条文は次のものだ。


第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


そして、1972年政府見解は、この憲法13条の規定を踏まえて、日本の自衛権行使を肯定している。


1972年政府見解は次の記述を含んでいる。


「第13条において「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、……国政の上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」


しかし、安倍政権が1972年政府見解を基に、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更を行うことは無理がある。


なぜなら、1972年政府見解は次のことを明記しているからである。


「だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。

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そうだとすれば、わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」



安倍政権が1972年の政府見解を基に、集団的自衛権行使容認の論陣を張るのは、国民を愚弄する行為でしかない。


1972年政府見解は、自衛のための措置を、


「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認される」


ものとし、


「必要最小限度の範囲にとどまるべきもの」


としたうえで、さらに、


「わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」


としているのだ。


この1972年政府見解を基に、日本の集団的自衛権行使を容認しようというのは、まさに「頓珍漢」としか言いようがない。

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このうえで、


集団的自衛権行使容認の是非の論議と、


これまでの憲法解釈と異なる対応を政府が取る場合に取られるべき手続の論議とを、


明確に区別して論じる必要がある。


現行憲法の規定では、集団的自衛権行使を容認することはできないのであるから、集団的自衛権行使を容認するべきであるとの主張を示す政治勢力は、憲法改定の論議を提起するべきである。


集団的自衛権行使容認の是非については、その憲法改定論議のなかでしっかりと論じるべきである。

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与党のなかでは公明党が、集団的自衛権の行使を容認する場合には、憲法改定の手続きを踏むべきことを主張してきた。


その主張は真っ当なものであり、責任政党ととして、その主張を最後まできちんと貫くべきである。


安倍政権に押し切られて、主張を撤回して、現行憲法下での集団的自衛権行使を容認することに転じるなら、公明党は単なる利権追求政党であるとの批判を拭うことができなくなる。


主権者である国民は、日本国の基本法である憲法が、なし崩しで破壊されることに異議を唱えなければならない。


ワールドカップの賑わいを利用して、国の根幹に関わる問題を、不当な方法で処理しようとする安倍政権の基本姿勢を厳しく糾弾しなければならない。


また、公明党の支持者は、本当に「平和と福祉」を希求するなら、党が自民党に押し込まれて筋違いの行動を示すことを許すべきでない。


主権者は国民なのだ。国民が政治の不正を断じて許さないという、毅然とした対応を示すことが何よりも重要である。

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