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2014年5月29日 (木)

原発の安全確保意味しない規制委員会の安全審査

アベノリスクの本質は安倍政権が衆参両院で与党過半数勢力を確保して暴走することである。


衆参両院で過半数勢力を確保しても、民主主義を健全に機能させるために必須の行動原理=少数意見の尊重を重視するなら政治の劣化を防ぐことができる。


しかし、政権が「数の論理」を振り回し、「数の力」で強引に重要事項を独断専行で決定してしまえば、政治の劣化は避けられない。


政権が国民の多数の支持によって成り立っているなら、政権の独断専行も一定の正当性を持つだろう。


しかし、安倍政権の場合、国政選挙の際に自公の与党勢力を直接支持した国民は、全有権者の4分の1程度に過ぎない。


4分の1の国民にしか支えられていない政権が独断専行で重要事項を決定してしまうことは正当性に欠くと言わざるを得ない。

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世論調査では脱原発を求める国民が圧倒的に多い。


時事通信社が5月に実施した世論調査では、国内の原発について、


「徐々に減らし、将来的にはなくすべきだ」が 49.3%


「なるべく早くなくすべきだ」が 24.7%


「直ちになくすべきだ」が 10.3%


だった。この三つの回答を示した比率は84・3%に達した。


日本の主権者は明確に脱原発の判断を有している。


ところが、安倍政権は4月11日にエネルギー基本計画を閣議決定した。


エネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた。主権者の大半が脱原発の判断を有しているなかで、安倍政権は原発を積極推進する考えを明確に打ち出したわけだ。


上記の時事世論調査では、


「原発を重要な電源として活用を続けるべきだ」は 12.7%


にとどまった。


主権者の判断と遊離した政策を安倍政権は強引に推進している。

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原発の再稼働についても時事世論調査では、


反対が48.7%、賛成が41.3%だった。


この数値を見ると賛成の比率が非常に高いが、ここには、回答者の誤解がある。


それは、この設問が、


「原子力規制委員会の安全審査に合格した原発を再稼働させる政府方針」


についての是非を問うかたちになっているからだ。


回答者である国民は、


「原子力規制委員会の安全審査に合格した原発」


の表現を見て、「安全性が確認された原発」であると勘違いしてしまう。


「安全性が確認された原発」なら、再稼働させてもよいのではないかと勘違いしてしまうのだ。


何が勘違いであるのかと言うと、


「原子力規制委員会の安全審査に合格した原発」



「安全性が確認された原発」


とは異なることだ。世論調査の回答者の多くが、両者を同一視して回答してしまっていると思われるが、両者はまったく異なるものである。

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原子力規制委員会は設定された基準に適合するのかどうかを審査するのであって、原発の「安全」を確約するものでない。


「原子力規制委員会の安全審査」を調査回答者は「原発の安全性を確認する審査」と思ってしまうが、そうではないのである。


もっとも分かりやすいのが、基準地震動である。


福井地裁は5月21日に大飯原発運転差し止め訴訟で、大飯原発の運転差し止めを命ずる判決を示した。


その根拠として、福井地裁は極めて重要な事項を摘示した。


判決文から該当部分を取り出す。


「我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものである。


岩手宮城内陸地震は大飯(およびすべての原発立地地点)でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震である。


この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎない。


(よって)1260ガルを超える地震は大飯原発(およびすべての原発立地地点)に到来する危険がある。」


(括弧内は筆者補充部分)

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原子力規制委員会の「安全審査」とは、あくまで設定された規制基準をクリアすることを審査するものであって、その規制基準が十分であることを前提とするものでない。


したがって、世論調査の質問は、


「原子力規制委員会の安全審査に合格した原発」


ではなく、


「原子力規制委員会の審査に合格した原発」


の再稼働を認めるかどうか、に変える必要があるのだ。


原子力規制委員会の審査基準は、原発の絶対安全を確保するものでない。


いつでも発生し得る地震動すら前提とされていないのである。


こうした重大問題についてすら、安倍政権が衆参両院で過半数勢力を確保しているということだけで、国民が望まない方向で決定、運用されてしまうのである。


本当に深刻なリスク=アベノリスクが日本を覆い尽くしている。

原子力規制委員会では、さらに重大な事態が発生している。

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