« 鹿児島補選で原発再稼働阻止の主権者連合構築を | トップページ | 株価急落の主因は『日本経済撃墜』にあり »

2014年4月10日 (木)

小保方氏会見が浮き彫りにした杜撰理研内部調査

独立行政法人理化学研究所の小保方晴子氏ユニットリーダーが記者会見を開いた。


小保方氏の主張は3点。


1.論文作成過程に多くの不備があり、関係者に迷惑をかけた。


2.しかし、論文の不備は不正行為ではなく、捏造と判定した理化学研究所の調査結果は誤りである。


3.STAP細胞作製は真実であり、論文を撤回する考えはない。


要約するとこうなるだろう。


佐村河内守氏の記者会見にも共通することは、


「謝罪」会見


であるのか、


「抗議」会見


であるのかが明確でないことだ。


「謝罪」と「抗議」の両面があるのだと理解はできるが、その区分と、責任の取り方が極めて不明確である。


論文作成上の諸問題が明らかになっているが、学術論文作成上のルールが存在するから、そのルールに照らして、適正な責任の取り方が示される必要がある。


「捏造」の定義に該当するのかどうかの論議があるにせよ、論文作成上の「不備」に対する責任の示し方が不十分である点は否めない。

人気ブログランキングへ

しかし、これらの問題は国民レベルからすれば本質的に重大な問題ではない。


研究者である小保方晴子氏の研究者としての適性にかかる問題で、重要ではあるが、基本的には個人の属する問題である。


国民レベルでの重大問題は、STAP細胞の作製とその万能性についての結論の真偽である。


小保方氏はSTAP細胞の作製に200回以上成功していて、第三者の成功事例もあると主張した。


この発言が真実で、その、真に作製されたSTAP細胞の万能性が若山氏によって明らかにされたとの研究成果が真実であるなら、当初の発表通り、研究成果は重要な価値を有するものになるはずである。


問題の核心はこの点にあり、この点について、小保方氏は明確な見解を表示したことになる。


しかし、その論拠が正しいことは客観的にまったく証明されなかった。


論文作成上の不備の問題を離れて、STAP細胞作製の事実、STAP細胞の万能性の事実が、小保方氏の発言の通りだとすれば、研究成果の価値は維持されるが、小保方氏の発言が、この部分で事実に反するなら、小保方氏の主張は根底から否定されることになる。

人気ブログランキングへ

この経緯を見て明らかなことがひとつある。


独立行政法人理化学研究所の対応がお話にならないほど、拙劣であることだ。


小保方氏はSTAP細胞作製の証拠を保存していると主張した。


理化学研究所は調査の段階で、小保方氏から十分に事情を聴取し、確認できる問題については、すべての確認を行うべきであった。


ところが、小保方氏の発言から推察されることは、理化学研究所と小保方氏の論議が、ほぼ皆無に近いというものである。


小保方氏の発言が真実であるのかどうかの確認を取ることができないから、これは、あくまでも小保方氏の発言を基にした判断であるが、仮に、小保方氏の発言が、この部分において真実だとすれば、理化学研究所は、この期間にいったい何をしていたのかとの疑問が浮上する。

人気ブログランキングへ

山梨大学の若山教授は、小保方氏から提供された細胞がSTAP細胞であるとの前提で、その細胞の万能性を確認する作業を実施したが、小保方氏から提供された細胞がSTAP細胞であったのかどうかについて、疑義が生じたことから、論文の撤回を提案したと報道されている。


理化学研究所は、若山教授が万能性の検証を行った、保存されているSTAP細胞とされている細胞を検証して、これらがES細胞等ではない、小保方氏が作成したSTAP細胞であることを確認する作業を行なえばよいはずである。


ところが、理化学研究所はこのような基本の調査すら行っているように見えない。


また、小保方氏は小保方氏以外の第三者がSTAP細胞作製に成功したと発言したが、理化学研究所は小保方氏からの事情聴取で、このような発言さえ得ていないのであるか。

人気ブログランキングへ

記者会見には多数の報道関係者が集まった。


世界的にも注目された記者会見になったはずである。


ところが、肝心の当事者である理化学研究所が、真剣な対応をまったく示していないのだ。


論文の共同執筆者が同席して、時間を尽くして共同記者会見を開催するべきではないのか。

人気ブログランキングへ

理化学研究所には、現在でも巨大な血税が注ぎ込まれている。


さらに安倍政権は、この理化学研究所を特定国立研究開発法人に指定して、さらに巨額の血税を投入する方針を示していた。


STAP細胞問題が拡大して、特定法人指定は先送りされることになるが、この問題発覚後の理化学研究所の対応ぶりは、この法人のガバナンス能力の欠如、組織管理能力の欠如を露呈するものである。


この問題の核心は小保方氏の個人問題から理化学研究所の問題対応能力の欠如に主眼を移すべきである。

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第835号「STAP細胞問題核心は理化学研究所の怠慢にある」
でご購読下さい。

『アベノリスク』(講談社)
動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。

 2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射-

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う!

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下

価格:2,100円 通常配送無料

出版社:早川書房
amazonで詳細を確認する

アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ)

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く

価格:1,785円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

消費税増税 「乱」は終わらない 消費税増税 「乱」は終わらない

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:同時代社
amazonで詳細を確認する

国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す!

価格:1,000円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:青志社
amazonで詳細を確認する

日本の独立 日本の独立

価格:1,800円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

売国者たちの末路 売国者たちの末路

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

知られざる真実―勾留地にて― 知られざる真実―勾留地にて―

価格:1,890円 通常配送無料

出版社:イプシロン出版企画
amazonで詳細を確認する

消費税のカラクリ 消費税のカラクリ

価格:756円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

戦後史の正体 戦後史の正体

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:創元社
amazonで詳細を確認する

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土

価格:798円 通常配送無料

出版社:筑摩書房
amazonで詳細を確認する

日米同盟の正体~迷走する安全保障 日米同盟の正体~迷走する安全保障

価格:798円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

検察崩壊 失われた正義 検察崩壊 失われた正義

価格:1,365円 通常配送無料

出版社:毎日新聞社
amazonで詳細を確認する

検察の罠 検察の罠

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

「主権者」は誰か――原発事故から考える 「主権者」は誰か――原発事故から考える

価格:525円 通常配送無料

出版社:岩波書店
amazonで詳細を確認する

原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:鹿砦社
amazonで詳細を確認する

« 鹿児島補選で原発再稼働阻止の主権者連合構築を | トップページ | 株価急落の主因は『日本経済撃墜』にあり »

STAP細胞」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小保方氏会見が浮き彫りにした杜撰理研内部調査:

» 小保方氏に白黒つけたがるのは何故? [棒に怒る日本人]
世間は小保方さん騒動で盛り上がってる。小保方さんを信じる信じないはメディアによっ [続きを読む]

» 誰かネイチャー読んだ? [棒に怒る日本人]
小保方さん問題はそろそろ飽きてきたのと、放っておけば良いと言い続けた手前、これ以 [続きを読む]

« 鹿児島補選で原発再稼働阻止の主権者連合構築を | トップページ | 株価急落の主因は『日本経済撃墜』にあり »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2025年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ