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2014年3月13日 (木)

STAP細胞作製事案の何がどう問題であるのか

全聾の作曲家=現代のベートーベンのキャッチコピーで人気を博してきた人物が、実は全聾ではなく、しかも、作曲をしていなかった事実が明るみに出た。


出版業界ではゴーストライターの存在は公然の秘密であり、過去の事実として、芸能人が自身の名前で出版した著書を実際には執筆していなかったことをカミングアウトしたこともある。


著名人で小説を執筆して出版したが、実は、本人ではない、ゴーストライターが執筆していたことが暴露された事例もある。


経済関係の著書でも、私が知っている、ある高名な人物は、少人数の会合で、自分の名前で出版する著書が年に十数冊もあるが、自分では書いていないことを公然と話していた。


ゴーストライターが書き上げた著作を読んで、「なかなかいいね、こんなことは私も知らなかったよ」とのコメントをあっけらかんと話していた。


私はゴーストライターの使用にはいままで一度も応じたことがないが、著作の世界では、ゴーストライターの使用が公然と広がっているのだと思われる。


著名な人物の著作が、年間に数十冊も出てくれば、物理的にこれらの著作を一人で書き上げることは不可能で、図書を購入する側は、図書制作の裏側を推察するしかないだろう。


ただし、自分で執筆していないのに、あたかも自分が執筆したかのようなコメントを発したり、取材に対して、虚偽のストーリーを語って、自分の著作物であると装うことは、明らかに「偽装」であって、望ましいものではない。


最終的には、執筆者の人間性、人格に帰属することで、音楽の愛好者、著書の購読者は、著作者の人格を正確に見抜く識別眼を備えることが重要である。

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独立行政法人理化学研究所の小保方晴子氏をユニットリーダーとする研究者がSTAP細胞作製に成功したとの論文を発表したのが1月29日である。


この発表から、まだ2ヵ月も経っていないが、このビッグニュースが泥まみれになっている。


小保方氏の博士論文に他の研究機関が公表している文章が、引用元を記載せずに、大量に転載されているとの指摘が浮上している。


博士学位取得のための論文であるから、付与された学位の正統性に直結する問題になる。


これはこれで、今後、大きな問題に発展することになるだろう。


しかし、この問題を考察するに際しては、二つのことを切り分ける必要がある。


何よりも重要なことは、STAP細胞の作製に成功したのか否かの事実認定である。


論文執筆上の技術的な問題が存在しても、STAP細胞の作製に成功したことが事実であるなら、それは、科学技術上の大きな功績になる。


つまり、この問題の核心は、第一にSTAP細胞作製という研究成果が真実であるのかどうかということになる。


iPS細胞では、読売新聞が2012年10月11日に、ハーバード大学客員講師の森口尚史氏がiPS細胞を使った世界初の臨床応用として心筋移植手術を実施したことが分かったと朝刊一面で大きく報道した。


ところが、2日後の10月13日、この件をスクープ報道した読売新聞は「森口氏の説明は虚偽で、それに基づいた一連の記事は誤報」である旨のおわび記事を掲載した。


つまり、iPS細胞を使った世界初の臨床応用という事実は存在しないことが明らかになった。


この意味で、今回の問題でもっとも重要なことは、STAP細胞の作製そのものが事実であるのかどうかという点である。

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第二の問題は、小保方晴子氏の個人的な問題である。


学術の世界におけるルールが存在する。


学位の取得、学位の授与には、客観的で公正なルールが厳正に適用されなければならない。


大学、大学院、研究所においては、客観的なルールが厳正に適用される必要がある。


なぜなら、研究成果、学位等に対する信頼が失墜するからである。


私も大学の教員として、学位の取得等に関与したことがあるが、現実の世界においては、「厳正」、「公正」から離れた現実が存在する。


しょせんは人間の為すことであり、ルーズな運用は、至るところに存在しているように思われる。


しかし、その「ルーズ」な運用が野放図に放置されるなら、学術的な信用は崩壊する。


極めて不透明で、陰湿な、魑魅魍魎の世界に陥ってしまうだろう。


現実に「博士」の学位を取得した者のなかに、まったくその学位に該当しない人物が含まれていることは厳然たる事実である。


したがって、私たちは学位を評価する際に、こうした現実の実情を十分に勘案して、割り引く必要がある。

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今回のSTAP細胞騒動においては、まず、上記の二点がクリアにされる必要があるが、それ以外にも、二つの点に留意して今後の動向を見守る必要がある。


第一は、今回の論文の共同執筆者の背後に、金銭的な利益相反問題が存在しないかどうかについての精査である。


第二は、政府の総合科学技術会議が進めている「特定国立研究開発法人(仮称)」選定との関わりである。

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