年中行事化する震災報道に欠落している重大問題
大地震・大津波・原発爆発事故から3度目の3月11日が来た。
NHKをはじめ、震災特集を朝から晩まで流している。
新聞も同じだ、
これらの報道に接して、白々しさを感じるのは私だけだろうか。
彼らは年中行事としてこれらの報道を繰り広げているだけに過ぎない。
春と夏には高校野球を伝え、奇数の月には大相撲。
国会会期中は国会中継。
大晦日には紅白歌合戦。
年をまたいでゆく年くる年。
そして3月11日前後には震災特集を報道する。
震災で2万人の方が亡くなり、いまだに26万7000人の人々が避難生活を強いられている。
そして、何よりも深刻な問題は放射能汚染である。
低線量放射線の危険性について、さまざまな論議があるが、高線量放射線の危険については論議の余地がない。
原発が事故を引き起こせば高線量放射線がまき散らされる。
そして、大地が修復不能の状態に陥る。
間違いなく「大地の死」をもたらすものである。
いまだに原発周辺地域の農林水産物に対する消費者の忌避行動は続いている。
政府はこれらの農林水産物を忌避する消費者を糾弾するが、この姿勢を正しいと言い切れるのか。
福島原発からまき散らされた放射性物質の拡散地域は、驚くほどの広域にわたっている。
原発北西部の放射線汚染が極めて深刻であるが、原発で汚染された地域は原発北西地域にとどまらない。
放射能被ばくで特に警戒が必要なのが内部被ばくである。
放射線で汚染された食物を摂取した場合の内部被ばくが警戒されている。
とりわけ、乳幼児、若年層は放射能汚染に対する抵抗力が低い。
被ばくによる健康被害が発生しやすいのである。
こうしたことから、消費者が放射能に汚染された農林水産物に対して、極度の警戒姿勢を取るのは当然のことである。
原発周辺地域の農林水産業者は甚大な被害を蒙っている。
この被害について、政府やメディアはしばしば「風評被害」の言葉を用いる。
「風評被害」の言葉は、放射能汚染を警戒する消費者が風説を流布しているとの意味を込めている。
消費者の間違った、正しくない「風説の流布」によって、原発周辺地域の農林水産業者が被害を蒙っているとの「主張」が、この「風評被害」の言葉に込められた意味なのである。
つまり、原発周辺地域の農林水産物を忌避する消費者が「被害」の「加害者」であるという図式で説明がなされているのである。
この図式が歪んでいることは、少し考えればすぐに分かることだ。
原発周辺地域の農林水産業者が被害者であることは間違いないが、消費者が「加害者」であるとの図式は、ものごとの本質から目をそらさせる「トリック」、「偽装」である。
加害者は言うまでもない。
原発事故を引き起こした当事者である東電であり、国である。
原発事故は東電と国によって引き起こされた「人災」である。
福島原発については、津波対策の不備が再三指摘されてきた。
東北地方で過去に発生した地震により、高い津波が発生してきたことが確認され、福島原発の津波対策が不十分であることが指摘されてきた。
それにもかかわらず、国と東電は適切な津波対策を講じてこなかった。
そのために原発事故が引き起こされたのである。
原発周辺地域の農林水産物が消費者に忌避される原因を生み出したのは東電と国であり、消費者は加害者でなく、被害者の一部である。
私たちは、メディアの報道によって本質を見誤らされているのだ。
震災から丸3年の恒例行事の報道が白々しいのは、3年前の大惨事で最も深刻な問題を引き起こしている放射能、原発の問題に正面から向き合うことなしに、3周年報道を展開していることに原因がある。
地震と津波は、悲惨な被害をもたらしたが、これはあくまでも天災であり、人類の歴史上、繰り返されてきた大自然の営みによる影響である。
もちろん、祈りと鎮魂は必要で尊いものだが、この問題と原発問題を明確に区別して捉えることが必要だ。
原発事故は「人災」であり、私たちは、二度とこのような惨事を引き起こさないために、何をするべきかを論じるべきなのである。
3周年報道から欠落しているのがこの視点なのである。
安倍政権が推進する原発再稼働について、深く考察することなしに、3周年報道を大々的に報道しても、意味はほとんどない。
被災者に対する救援、支援、被災地の復興はもちろん大事だが、その一方で、原発事故を二度と引き起こさないための方策を考察しないことに最大の問題がある。
続きは本日の
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