猪瀬氏や渡辺氏の政治資金問題は実質的かつ重大
日本政治の転落は、2009年に誕生した鳩山由紀夫政権が既得権益の総攻撃を受けて破壊されたところから始まっている。
第二次大戦後、日本は新生の道を歩むはずだった。
GHQは徹底した日本民主化の方針を示した。
1947年に新しい憲法が施行され、総選挙が実施されて、片山哲内閣が樹立された。
新生日本にふさわしい門出であった。
GHQは徹底した民主化方針を示し、
財閥解体・農地解放・労働組合育成
などの諸改革を断行した。
さらに、NHKの抜本改革にも着手した。
NHKを政治権力から切り離し、民主的な組織に衣替えをさせようとした。
ところが、この「民主化」が中断され、逆に「非民主化」に舵が切られたのである。
背景は米ソ冷戦の始動である。
米国の対日占領政策の基本は「民主化」から「反共化」に転換し、「民主化」路線は「非民主化」路線に転換された。
同時に日本は「独立」の道を閉ざされ、「対米隷属」の道を進むことを強制された。
「非民主化」、「対米隷属」の路線を敷いたのが吉田茂内閣である。
吉田茂氏はまさに「対米隷属の父」である。
片山哲、芦田均、重光葵、鳩山一郎、石橋湛山など、対米隷属の路線に抵抗を示した指導者は存在したが、日本を支配し続けた米国と米国に隷属する日本人が、これらの人々を排斥した。
その流れが、60年間も維持されたのである。
2009年9月に樹立された鳩山由紀夫政権は、この歴史に終止符を打つ、画期的な意義を有する政権であった。
米国・官僚・大資本による日本支配の構造を打破すること。
これが鳩山由紀夫政権が目指した方向であった。
この政権樹立を牽引したのが、鳩山由紀夫氏と小沢一郎氏であった。
この政権が延命し、2010年7月参院選を勝利していれば、新生日本が花開いたはずである。
しかし、その道は破壊された。
米官業のトライアングルは、小沢-鳩山政権の安定化を阻止するべく、総力戦を展開した。
そのために実行したのが、人物破壊工作である。
小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏を標的とした人物破壊工作が実行された。
私に対する人物破壊工作も、基本的にこの系譜に属するものである。
小沢氏と鳩山氏に対する人物破壊工作を実行する際に、素材として用いられたのが「政治とカネ」の問題である。
鳩山由紀夫氏は、鳩山一族の財産を政治活動に投入したことに関する問題だった。
鳩山家が投入した政治資金の出処を第三者名で届けたことが問題とされた。
しかし、資金の本質は、自己資金を政治活動に投入したというものであり、「私腹を肥やす」こととは正反対の、「身銭を切る」活動が問題とされたものであった。
小沢一郎氏の問題は、まさに、重箱の隅を突くような、些末な問題であった。
未来産業研究会、新政治問題研究会という、二つの政治団体からの政治献金を事実通りに収支報告書に記載して提出したことが、「虚偽記載」だとされた事案である。
多くの政治家資金管理団体が、まったく同じ事務処理をしたが、なぜか、小沢氏の資金管理団体だけが違法行為として摘発された。
これが「西松事件」と呼ばれた事案である。
もうひとつの問題は、2004年10月に代金決済があり、2005年1月に移転登記が行われた世田谷不動産の取得に関する収支報告が2005年の報告書に記載されたことが、やはり「虚偽記載」だとされた事案である。
世間ではこの事案を「陸山会事件」と称している。
小沢氏の事務所では司法書士に確認の上、2005年の収支報告書に記載して報告したのであり、およそ違法行為とはほど遠い事案である。
しかし、メディアがこの事案を、最大級の悪質政治資金事件として大報道したために、日本政治が転覆された。
これらの謀略工作によって、小沢-鳩山政権は破壊され、その後に、既得権に寝返った菅直人政権、野田佳彦政権が樹立され、さらに、現在の安倍晋三旧政復古政権が生み出されたのである。
「日本の喪失」と言って間違いのない、大損失が生み出されたのである。
いま問題とされている、猪瀬直樹氏の「政治とカネ」の問題、渡辺喜美氏の「政治とカネ」の問題と比較して、鳩山氏や小沢氏の問題は、塵のようなものである。
猪瀬氏の問題は、限りなく「収賄」、「裏金受領」という実質的な犯罪行為と言えるものであり、渡辺氏の問題も、まだ事実関係が明かでない部分があるが、伝えられていることがらが事実とすれば、重大な巨額の「裏金受領問題」である。
日本政治が歪んでいるのは、ものごとの重大性、悪質性判断が、事実に基かず、政治的魂胆によって決定されていることによっている。
これでは、日本は暗黒の世であり続けてしまう。
続きは本日の
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