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2014年3月27日 (木)

冤罪より残忍な国家犯罪はこの世に存在しない

「国家にしかできない犯罪、それは戦争と冤罪である」


これは、弁護士の故後藤昌次郎氏が遺された言葉である。


国民を殺し殺される状況へ追いやる戦争


やってもいない罪をきせる冤罪


これが国家によるもっとも重大な犯罪である。


日本は第二次大戦後、戦争を放棄する国に生まれ変わったが、安倍晋三政権がいま、日本を、戦争を創作し、戦争を実行する国に改変しようとしている。


冤罪もまた国家によるもっとも重大な犯罪である。


基本的人権の尊重が近代憲法の根幹に据えられてきた。


冤罪の抑止は、そのなかで、中心的な位置を占めてきた金科玉条である。

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いまから200年以上も前に定められたフランス人権宣言。


1789年に制定されたフランス人権宣言に、冤罪を防ぐための根本原則が定められている。


第7条(適法手続きと身体の安全)
何人も、法律が定めた場合で、かつ、法律が定めた形式によらなければ、訴追され、逮捕され、または拘禁されない。


第8条(罪刑法定主義)
法律は、厳格かつ明白に必要な刑罰でなければ定めてはならない。何人も、犯行に先立って設定され、公布され、かつ、適法に適用された法律によらなければ処罰されない。


第9条(無罪の推定)
何人も、有罪と宣告されるまでは無罪と推定される。ゆえに、逮捕が不可欠と判断された場合でも、その身柄の確保にとって不必要に厳しい強制は、すべて、法律によって厳重に抑止されなければならない。


適法手続き、罪刑法定主義、無罪推定の原則、などの根本原則が定められている。


日本国憲法にもこの考え方が取り入れられたが、日本の警察・検察・裁判所の現実は、これとは異なるものである。


刑事訴訟法第336条は犯罪の証明について次のように定めている。


(無罪の判決)
336条被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。


また、日本国憲法には次の規定が置かれている。


第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。


第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
○2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
○3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

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袴田事件の再審開始決定が示された。


1966年6月に発生した強盗殺人放火事件。


味噌製造会社専務宅が放火され、焼け跡から一家4人の他殺死体が発見された。


この年の8月18日に、味噌製造会社従業員で従業員寮に居住していた、元プロボクサーの袴田巌氏が強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕された。


袴田氏は頑強に否認していたが、勾留起源3日前に自白。


9月9日に静岡地検が起訴した。


1968年9月11日に地裁で死刑判決が示され、最高裁でも上告が棄却され、1980年11月19日に死刑が確定した。


袴田氏は逮捕の日から48年にわたり拘束され続けてきた。


この事案について、静岡地裁が本日3月27日、再審開始を決定する判断を示した。


検察が特別抗告すれば、再審開始決定は効力を発揮しない。


検察は地裁の再審開始決定を受け入れるべきである。

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警察が取調べで行ったことは拷問だった。


「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」サイト


http://www.h3.dion.ne.jp/~hakamada/jiken.html


に掲載されている袴田巌氏の獄中書簡の一部を転載させていただく。


「……殺しても病気で死んだと報告すればそれまでだ、といっておどし罵声をあびせ棍棒で殴った。そして、連日二人一組になり三人一組のときもあった。


午前、午後、晩から一一時、引続いて午前二時まで交替で蹴ったり殴った。


それが取調べであった。


……息子よ、……必ず証明してあげよう。お前のチャンは決して人を殺していないし、一番それをよく知っているのが警察であって、一番申し訳なく思っているのが裁判官であることを。


チャンはこの鉄鎖を断ち切ってお前のいる所に帰っていくよ。」


(一九八三年二月八日)

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警察は証拠を捏造して、無実の袴田氏を殺人犯人にでっちあげた。


その犯罪によって、無実の市民が、死刑判決を受け、48年間も獄につながれてきた。


これ以上の凶悪犯罪は世の中に存在しない。


重罰に処せられるべきは、冤罪という重大犯罪に手を染めた警察・検察・裁判所の関係者の側である。

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