アベノミクス実態は景気悪化賃金減少物価高大増税
日本経済の動向について、正しい情報が伝えられていない。
大本営発表では、
景気は良くなり、
賃金が上昇し、
物価上昇率が上がり、
デフレから脱却しつつある。
とされている。
しかし、経済統計を見る限り、これらの説明は正しくない。
まずは、日本の経済成長率。
年率表示の実質GDP成長率を見ると、
2012年1-3月期以降の推移は以下の通り。
+3.5 -1.7 -3.2 +0.1
+4.5 +4.1 +0.9 +0.7
昨年の1-3月期、4-6月期だけは成長率が高かったが、昨年後半以降は失速している。
昨年前半の成長率が高くなったのは、株価が上昇した影響と、13兆円の補正予算発動の影響だ。
日本経済はすでに息切れ状態である。
賃金が増えていると言われるが、これも間違いである。
毎月勤労統計という統計がある。
この統計のなかに、全産業ベースの現金給与総額という統計がある。
残業代もボーナスも、すべて含んだ労働者の所得状況が分かる。
2013年の現金給与総額は月平均で31万4054円となり、3年連続の減少を示した。
その後に発表された
2014年1月の現金給与総額は前年同月比-0.2%
となった。
安倍晋三氏は、しばしば賃金が増加していると発言するが、労働者の所得状況を示す代表的な経済指標で見る限り、この発言はウソである。
所得は依然として減少している。
日銀の黒田東彦総裁はデフレからの脱却が成功しつつあると発言するが、これもまゆつば物である。
消費者物価指数を「食料及びエネルギーを除く総合」という区分で見ると、
前年比上昇率は、
2011年▲1.0% 2012年▲0.6%
2013年▲0.2%
の下落を示してきた。
直近の数値では
2014年1月+0.7%
である。
たしかに前年比マイナスから前年比プラスに転じているが、2%の上昇には遠い。
インフレ率が上昇したのは円安に伴うもので、円安が止まれば、インフレ率の上昇も止まる。
そして、そもそも、「インフレが良い」という判断が誤りである。
インフレは債務者に利得を、債権者に損失を与える。
つまり、借金をしている人に利得を与え、預金をしている人に損失を与えるものなのだ。
一般に企業が借金をしており、個人は預金をしている。
通常の労働者は賃金で暮らし、わずかばかりの預金を保持している。
日本経済の現状は、賃金が減り、物価が上がっているというもので、普通の労働者にとっては、踏んだり蹴ったりなのである。
どこの誰が「インフレは良いことだ」などと決めたのか。
インフレよりは物価がやや下がる緩やかなデフレの方がはるかに暮らしやすい。
そして、極めつけは消費税の大増税だ。
すでにメルマガには書いたが、ある大手ドラッグストアのチェーンが、3月中に5000円以上の買い物をした客に、4月から9月まで、3%引きで商品を変えるパスポートの配布を始めたという。
つまり、消費税増税分の値引きを半年間実施するという販促を開始したというのだ。
零細事業者は、これに対抗するには、増税分の値引きを行わざるを得ない。
この零細事業者に何が起こるのかは明白である。
消費税の増税を、自腹を切って払うことになるのだ。
これが、消費税制度の致命的欠陥、根本的な欠陥である。
消費税増税を負担するのは消費者ではない。
零細事業者が負担することになる。
日銀の黒田東彦氏は消費税増税後も日本経済は回復を続けるとの見解を表明したが、いい加減なことを言うべきでない。
黒田氏は日銀に天下りしたいまも、財務省の職員として仕事をしている。
これも根本的、致命的な誤りである。
続きは本日の
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