細川元首相叩きに血眼の読売・産経が示す狼狽ぶり
2月9日に実施される東京都知事選に細川護煕(もりひろ)元首相が名乗りを挙げて、もっとも狼狽しているのはマスメディアである。
とりわけ、読売、産経の狼狽ぶりは痛々しささえ感じさせるものだ。
御用コメンテーターの代表格となっている後藤謙次氏などは、ワイドショーのスタジオに、首相を辞任した際の挨拶状まで持参する熱の入れようだ。
60にして政治の世界から身を引く考えを有していたと書かれていることをもって、変節だと非難するのである。
裏読みすれば、それほど都知事選が重要であるということになる。
また、自公が支持する舛添要一氏の当選に黄信号が灯っていることを示すものである。
メディアが狼狽するのは、都知事選で首都東京の主権者が「原発ゼロ」の評決を示す場合、2014年の原発再稼働シナリオが深刻な打撃を受けるからだ。
メディアは盛んに、都知事選で原発政策を争点にすることがおかしいと述べるが、では聞こう。
都知事選以外のどの機会に主権者は原発についての判断を示す機会が与えられるのかと。
全国レベルの国政選挙が2016年夏まで行われないとすると、主権者国民は、いつ、どのように、原発についての判断を表明できるのか。
国家権力を握った安倍晋三氏が、思いのままに、暴走するのをただ眺めてみるしかなくなるのではないか。
2012年12月の総選挙、2013年7月の参院選で、原発問題は争点にされなかった。
本来は、原発、憲法、TPP、消費税、辺野古の五大問題を明確な争点にして、主権者がこの五大問題に対する判断を示す機会としてこの国政選挙を活用するべきだった。
それを妨害したのがメディアである。
メディアは、「アベノミクス」だの、「景気」だの、「ねじれ」だのと絶叫して、日本国民にとって本当に重要な五つのテーマを争点にすることを妨害した。
主権者がこの五つの問題に正面から向き合えば、
原発ゼロ
憲法改悪阻止、
TPP不参加、
消費税増税撤回
辺野古基地建設拒絶
の判断を下す可能性が極めて高かった。
この判断が示されぬように、どうでもよいテーマを争点だと喧伝(けんでん)し、安倍政権が衆参両院で過半数議席を占有するように、情報を誘導したのである。
この経緯の延長上に現在がある。
突然、猪瀬氏が辞任を迫られた。
その都知事選に、細川護煕氏が出馬する意向を示し、小泉純一郎氏が支持勢力として名乗りを挙げた。
昨日付のメルマガ第766号
「小泉元首相原発ゼロ主張の裏事情」
に記したように、小泉氏が突然、原発ゼロを掲げ、都知事選で安倍政権に対して真正面から対立することになった理由は、下世話なことにあると思われる。
しかし、白いネコでも黒いネコでもネズミを捕るネコは良いネコだとすれば、日本の主権者国民は、今回の事態の転回を奇貨として受け止め、これを「ストップ安倍政権」の第一歩として活用することを考えるべきだ。
安倍政権は主権者の意思など無関係に、ただひたすら、自分の利益のために、原発推進を強硬に実行してゆく構えである。
マスメディアは都知事選は原発政策の是非を問う機会ではないと主張するが、この機会を活用しなければ、安倍政権が主権者の意思を無視して、原発推進に突進することは日を見るよりも明らかなのである。
こうなると、今度の都知事選は、首都東京の主権者の叡智が問われる選挙ということになる。
東京都民のメディアリテラシーが問われる選挙になる。
メディアリテラシーとは、メディアが流布する情報の本当とウソ、真贋(しんがん)を見分けて、正しい判断を下す能力のことである。
読売、産経に代表される、既得権御用の新聞は、懸命に原発ゼロ陣営を叩く報道を繰り広げるだろう。
その情報に接するときに、それらの情報は、日本の既得権が東京都民による原発ゼロの評決を、心底から恐れていることの証しだと読み取ることが大事なのだ。
そして、主権者の視点で、日本は原発ゼロの方向に進むべきだと判断するなら、迷うことなく、原発ゼロを主張する候補者に、清き一票を投じるべきである。
主権者の判断が正しく選挙結果に反映されるためには、原発ゼロを提唱する候補者は一本化される必要がある。
細川氏と宇都宮氏が話し合い、一人が副知事候補に回るかたちで、候補者一本化を実現するべきだ。
その際、最後のハードルは、首都東京の主権者がメディアの情報工作を見破り、その工作に乗らずに、正しい判断を示すことになる。
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