軍事属国化と経済植民地化に抗うことができるか
IWJ恒例の年末シンポジウムが12月22日、品川のTHE GRAND HALLで開催された。
多くの市民と多くのゲストが参集して、熱気あふれる討議が交わされた。
シンポジウムのテーマは
「前夜」
~取り返しのつかない軍事属国化と経済植民地化に抗うために
であった。
シンポジウムでは三つのテーマについて、ゲストがそれぞれ10分程度のプレゼンテーションを行い、そのうえで討議が行われた。
テーマ1 秘密と改憲
<スピーカー>
・梓澤和幸氏
・澤藤統一郎氏
・海渡雄一氏
テーマ2 経済植民地
<スピーカー>
・醍醐聰氏
・岩月浩二氏
・植草一秀氏
テーマ3 軍事属国化
<スピーカー>
・孫崎享氏
・国枝昌樹氏
・柳澤協二氏
・伊波洋一氏
・矢吹晋氏
このシンポジウムの直前に、
自民党憲法改正草案および現行日本国憲法の逐条解説がまとめられた
『前夜-日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』(現代書館)
が刊行された。
弁護士の梓澤和幸氏、澤藤統一郎氏、岩上安身氏の三名による、自民党憲法改正草案を読み解く、半年間にわたる12回、延べ25時間にわたっての鼎談が収録されたものである。
テーマ1では、「前夜の著者に弁護士の海渡雄一弁護士が加わり、特定秘密保護法と憲法改定論議について討議が行われた。
私はテーマ2の「経済植民地」のセッションに出演した。
東大名誉教授の醍醐聰氏と弁護士の岩月浩二氏からは、TPPに関連する具体的かつ急迫した重大な事実が数多く示された。
TPPの核心を抉る文字通りディープな事実適示が行われた。
TPPとは単なる農産品の関税交渉ではない。
グローバルに活動領域を拡大する、ひとにぎりの巨大資本が主権国家の上に立って、世界の経済市場に支配権を確立するものなのである。
ISD条項は、国家から主権を奪い去り、グローバルな巨大資本の強欲な利益追求の論理が強制力をもって市場を覆うことを可能にするものなのである。
その具体的な行動が、これから始まるのではなく、すでに大きく始動していることが鮮明に示された。
私は、「経済植民地」との視点に立って、安倍政権の現状を含めて、五つの重要事項を説明した。
1.アベノミクスの真実
2013年の日本経済のキーワードはアベノミクスである。
アベノミクスがもてはやされたのは、円安と株高が進行したからである。
そのメカニズムを明らかにした。
2.日本財政と消費税増税
安倍首相は2014年4月の消費税増税実施の方針を表明した。政府は日本財政が危機に直面していると訴える。
しかし、日本財政は危機に直面していない。その事実をデータによって明示した。
また、安倍政権が推進する財政政策運営が2014年度の日本経済に重大な脅威を与える事実を指摘した。
3.弱肉強食の推進
安倍政権が推進する経済政策の基本に、「弱肉強食の推進」が置かれている。
税制改正の基本構図には、この思想・哲学が鮮明に表れている。
また、財務省が推進する、括弧つきの「財政改革」とは、「財政健全化」とは似て非なるものである。羊頭狗肉と言ってもよい。
財務省が推進する「財政構造改革」の正体を明らかにした。
4.米国への上納金
財政が急迫していると言いながら、財務省は外貨準備運用で巨額損失を計上してきた。
4年間で50兆円という、想像を絶する巨額損失を生み出してきたのである。
ドル高でその損失が大幅に縮小しているいま、米国国債を売却して、損失回避の行動を取るべきであるが、日本政府はまったく動こうとしない。
5.日本支配戦略
米国の日本経済支配戦略の大きな流れを掴むことが必要である。
米国の対日経済支配戦略の歴史は長い。
その文脈上にいまのTPP戦略が位置付けられる。
また、米国最大の産業は産軍複合体産業であり、米国はこの利権構造のなかに日本を組み込むことを強化しつつある。
大きな戦略の図式の中に問題を捉えることが必要である。
続きは本日の
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