金融専門誌バロンズが「日本版財政の絶壁」を警告
2014年度の日本版「財政の絶壁」問題を指摘してきたのは、これまで私以外には誰もいなかった。
9月17日に、参議院議員会館会議室において、消費税増税に反対する緊急アピールの記者会見を行った際、2014年度の日本版「財政の絶壁」問題についての見解を示した。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/2014-7030.html
会見には、東京新聞、北海道新聞、読売新聞の記者が出席した。
東京新聞の記者には、日本版「財政の絶壁」問題を、「こちら特報部」で取り上げてもらうことを提案しても良かったと思っている。
実際には、そのような具体的提案は行わなかったのだが、これまで、日本のメディアは、日本版「財政の絶壁」問題をまったく取り上げていない。
国会でも議論されず、この問題を指摘するエコノミストも寡聞にして耳にしたことがない。
拙著『日本経済撃墜-恐怖の政策逆噴射-』(ビジネス社)
の主題は、日本版「財政の絶壁」問題である。
2014年度のデフレ財政政策の規模はGDP比3%を突破する。
2013年の米国経済最大の問題は、「財政の崖」問題だった。
米国財政収支をGDP比3%規模で圧縮する政策が提示されていた。
米国経済が「財政の崖」を飛び下りたなら、2013年の米国経済は大不況に転落していたはずだ。
米国は「財政の崖」を飛び下りることを回避した。
財政赤字削減の規模をGDP比1.5%に抑制したのである。
その結果、米国経済は大不況に転落せずに済んだ。
だが、日本は異なる。
このまま進むと、日本は2014年度に「財政の絶壁」を転落する。
どのような悲劇が待ち受けるのか。
この問題を知りたい人は、ぜひ拙著『日本経済撃墜』をご高覧賜りたい。
ダウ・ジョーンズ社が刊行する週刊金融専門誌である「バロンズ」は米国の金融専門家では知らぬ者がいない情報媒体である。
同誌のサイトには、
「投資家のバイブルとも称されるバロンズは、金融市場や投資動向などに関するあらゆる情報を満載した週刊金融専門紙です。情報の網羅性と先見性に定評があり、1921年に創刊されて以来、機関投資家から企業の経営層、運用額の大きい個人投資家まで、資本市場に影響力の持つ人達の必読紙として高く評価されてきました。」
と記述されている。
このバロンズ誌日本版の12月10日号トップに、
「アベノミクスと財政の崖」
と題する記事が掲載された。
私が指摘してきた警告を初めてメディアが取り上げたものである。
正当な経済分析を行なえば、当然に浮上する巨大な経済問題なのだが、これまでは、私以外、誰一人として、この問題を取り上げてこなかったのだ。
これは、1997年度に日本経済が崩落したときもまったく同じだった。
私は、1996年の年初から、1997年度増税問題を最重要問題として指摘し続けていた。
96年6月25日に橋本政権が消費税率2%引上げの方針を閣議決定したときに、これを契機に事態が暗転すると指摘した。
日本の株価が22,666円から12,879円にまで暴落した、その起点になったのが、1996年6月25日の閣議決定だった。
株価は6月26日を境に暴落に突き進んだのである。
この過程で、株価が目に見えてはっきり急落したのは1996年末から1997年初であった。
NHK『クローズアップ現代』が1997年1月13日に、「検証株価急落」のタイトルで問題を報じた。
私は、NHKのVTR取材で、橋本政権が進める超緊縮財政政策=デフレ財政政策が株価下落の主因であることを、懇切丁寧に説明した。
しかし、番組を見ると、私の発言の主要部分がすべてカットされていた。
番組は、橋本政権が財政再建に向けて「構造改革」に注力している中で、族議員が跳梁跋扈して整備新幹線建設に向けて調査費が計上されたことが株価急落をもたらしたと結論付けるものになっていた。
97年2月に出演したNHK日曜討論でも、経済企画庁の吉富勝氏が私の指摘を全面否定して、大増税でも日本経済悪化は生じないと力説した。
私は、不良債権の規模が実態としては100兆円規模で存在することを指摘し、この金融問題があるなかでの超緊縮財政の危険性を訴えた。
ところが、吉富氏はそんなバカげた話をするようでは話にならないと発言した。
後に大蔵省は日本の不良債権が100兆円規模で存在することを認めるようになった。しかし、97年2月時点では、不良債権規模が20兆円台であるとの過小発表を続けていたのである。
「バロンズ」誌が日本版「財政の崖」問題を取り上げたことで、日本国内でも認識が変化する必要がある。
しかし、バロンズ誌は、
「日本が来年の4月に起こる財政の崖に突き進んでいる。しかし、紺の背広の自民党議員には日本経済をその崖から回避させるような操作はできないであろう。」
と結論付けている。
私の主張をベースにしたものであるのかどうかは分からないが、私の警告を後追いする記事になっている。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第739号「巨大な暗雲が迫りくる2014年度の日本経済」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社
|
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社
|
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房
|
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社
|
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社
|
|
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:同時代社 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:祥伝社 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:青志社 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:祥伝社 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:創元社 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 出版社:筑摩書房 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 出版社:講談社 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 出版社:毎日新聞社 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 出版社:岩波書店 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:鹿砦社 |
« 猪瀬知事が辞任し安倍内閣支持率が急落し続ける | トップページ | 安倍政権が加速するNHK完全支配と受信料強制徴収 »
「経済政策」カテゴリの記事
- インフレを渇望する財務省(2025.02.05)
- インフレ誘導が間違っている理由(2025.01.11)
- 日本経済衰退主因の政策運営(2024.06.18)
- 政府は保有米国債全額売却すべし(2024.06.02)
- 国の長期債務1000兆円超の意味(2022.05.10)
« 猪瀬知事が辞任し安倍内閣支持率が急落し続ける | トップページ | 安倍政権が加速するNHK完全支配と受信料強制徴収 »