もし裏金受領の主が猪瀬氏でなく小沢氏だったら
東京都の猪瀬直樹知事が徳田毅衆院議員から5000万円の現金を受領した問題をこのまま放置してはならない。
三井環氏が代表を務める市民連帯の会が猪瀬直樹氏らを刑事告発して、これが受理されたから、今後、捜査が行われることになる。
猪瀬直樹氏が東京都の副知事職にあったときに、医療法人徳洲会グループは東京都内に開設した老人保健施設に、東京都が約7億5千万円の補助金を支出している。
徳洲会グループは東京都内に総合病院として東京西徳洲会病院(昭島市)を運営しているが、さらに、2012年5月にグループ傘下の特定医療法人「沖縄徳洲会」が老人保健施設「武蔵野徳洲苑」(西東京市)を開設した。
武蔵野徳洲苑は、沖縄徳洲会が西東京市に設立を申請し、都が近隣所在の施設数などを考慮して150床を認可し、2010~11年度の2年間に建設された。
東京都は工事額全額の7億4970万円の補助金を支出した。
徳洲会は東京都から巨額の補助金を受領した実績のある医療法人である。
猪瀬氏が副知事時代に徳洲会に対する老人保健施設開設認可および東京都からの補助金支出に関わっていたのかどうか、徹底的に調べる必要がある。
東京都には「都職員服務紀律」がある。
「都職員服務紀律」は1943年に制定された。
服務規律は、職務上の「利害関係者」からの利益供与を禁じている。
毎日新聞は、都人事課の見解として、
1.借金も利益供与とみなされること、
2.職責の大きさや職務への影響、あるいは信用失墜の度合いなどを踏まえて処分の程度が決まること、
を報じている。
猪瀬氏が副知事時代に、東京都は徳洲会に対して、老人保健施設の開設を認可し、建設費を補助金として支出している。
その猪瀬氏が都知事選出馬に際して、5000万円の金を徳洲会から受領したことは、利害関係者からの借金などを禁じた「都職員服務紀律」に違反する行為である疑いが強い。
違反した職員は懲戒免職などの懲戒処分の対象になる。
猪瀬氏の場合、すでに一般の職員を退職しているため、東京都は処分の対象から外れているとしているが、猪瀬氏は現在、東京都知事の職位にあり、猪瀬氏が利害関係者から5000万円もの資金を受領しておきながら、これを隠蔽していたことの責任が追及されるのは必定である。
徳洲会グループは、現在、昭島市の「東京西徳洲会病院」と西東京市の介護老人保健施設「武蔵野徳洲苑」を保有する。
前者は2005年開設、後者は2012年5月に開設された。
東京都は前者の「東京西徳洲会病院」に、2008年度以降、救急事業や医師勤務環境改善事業などで1億4676万円の補助金や委託料を支払ったことが伝えられている。
後者の「武蔵野徳洲苑」には、2010年度からの3年間で8億1387万円が補助金等の名目で支払われている。
さらに、徳洲会は2015年には西東京市に新病院がオープン予定であるがこの新病院の開設許可は東京都が2012年10月に出したものである。
東京都は紀律のほかに「懲戒処分の指針」で、一般職員が利害関係者から利益供与を受けた場合に懲戒処分にすることを定めている。
毎日新聞報道によると、
2002年に、都発注の電気工事で知り合った業者から99万円を無利息で借りた主税局主事が懲戒免職の処分
2011年に、かつて指導・監督する立場だった福祉施設の関係者に50万円の借金を申し込んだ主事が停職3カ月の処分
を受けている。
主権者は冷静に現実を見つめる必要がある。
2009年から2012年にかけて、日本を席捲した、小沢一郎民主党元代表に対する人物破壊工作の嵐の状況を思い起こす必要がある。
小沢氏が裏金を受領したかのような報道が、嵐のように展開された。
検察は、不当な強制捜査を繰り返し、あげくの果てには、捜査報告書のでっちあげにまで手を染めて、小沢氏を不当に刑事被告人の立場に陥れたが、結局、何ひとつ犯罪を発見することはできなかった。
小沢一郎氏は不当に人権を侵害され、日本政治は不当な政治謀略工作によって転覆されてしまった。
その延長上に、いまの、危険極まりない、安倍晋三暴政が出現したのである。
この人物破壊工作の嵐のなかで、もし、小沢氏が建設会社から5000万円の金を受領したことが明らかにされたなら、メディアはこれをどのように取り扱っただろうか。
先々の生活不安があり、政治とは無関係に生活資金を借り入れたと説明して、それで済ませたであろうか。
つまり、日本の世の中は、根腐れを起こしているのだ。
根幹が腐ってしまっている。
警察・検察・裁判所制度の透明性、公正性、正当性は、民主主義社会の根幹を為す。
だからこそ、1789年に制定されたフランス人権宣言には、これらに関する諸規定が明示されているのだ。
続きは本日の
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