仲井真知事が辺野古埋立申請を一蹴できない理由
仲井真弘多沖縄県知事が2006年12月の知事選で辛勝した決め手になったのは、徳洲会の全面的な選挙支援であったと伝えられている。
徳田毅議員は自由連合に所属し、2006年の沖縄知事選に立候補した糸数慶子候補の支持陣営にいた。
その徳田毅氏が知事選直前に自由連合を離脱し、仲井真弘多候補支持に回った。
徳洲会は組織的な選挙を展開したと伝えられている。
徳洲会は沖縄にも病院を保有し、これらの病院が基軸となって大規模な選挙応援が繰り広げられた。
選挙は糸数候補優位に進展したが、最後の局面で徳洲会による選挙支援が功を奏して仲井真氏が当選したと伝えられている。
この時期に世間を賑わした大きなニュースがあった。
徳洲会病院による生体腎移植の問題である。
刑事事件に発展する様相を示していたが、沖縄知事選が終了するのと同時に、潮が引くようにこの問題も報じられなくなった。
徳洲会に大きな力が加えられ、そのなかで、徳田毅氏が自由連合を離脱して仲井真氏支持に回ったと見られる。
このときの首相が安倍晋三氏である。
徳田毅氏は沖縄知事選が終了すると、直ちに自民党に入党した。
この「工作」を担当したのは自民党幹事長の中川秀直氏であったと伝えられている。
徳洲会と日本医師会は犬猿の関係にある。
徳洲会の徳田毅氏の自民党入党を医師会は嫌ったが、安倍政権がこれを押し切った。
2012年12月総選挙における徳洲会による選挙違反事案がこの時期に表面化した最大の狙いは、仲井真弘多氏に対する揺さぶりにあるというのが私の見立てである。
その見解をかねてより提示してきた。
仲井真弘多氏は2010年11月の知事選で再選を果たしたが、2006年同様、徳洲会が選挙を全面支援したと見られる。
選挙違反事案が仲井真氏に飛び火してもおかしくはない状況にあると考えられる。
2006年の安倍政権にとって、沖縄県知事選は負けることのできない選挙であった。
そこで、かなり強引な方法で仲井真氏を勝たせる手を打ったのだと思われる。
2010年の知事選では前宜野湾市長の伊波洋一氏が立候補して、辺野古移設反対を主張した。
仲井真氏を再選させるために、基地反対票を分断する候補者が擁立されたが、米国は仲井真知事の再選を最優先事項に位置付けたと思われる。
1月19日には沖縄県名護市で市長選が実施される。
辺野古基地建設反対を主張する稲嶺進氏が再選されれば、辺野古基地建設はより困難になる。
米国の指令を受けている安倍政権は、何とか、名護市長選の前に仲井真弘多氏に辺野古埋め立て許可を出させようとしている。
仲井真弘多氏は普天間飛行場の県外移設を公約に掲げて知事選に臨んでいる。
辺野古埋め立て許可を出すことは県民への裏切り行為である。
しかも、1月19日には、名護市長選が行なわれる。
地方自治の基本は地域住民の意思の尊重である。
地域のことは地域が決める。
当然のことだ。
名護市長選があるのだから、埋め立て許可の判断は名護市長選の結果を踏まえるべきことは当然だ。
ところが、仲井真氏の挙動が不審である。
仲井真氏は12月25日に安倍首相と会談し、同日にも、辺野古埋め立て許可を出す可能性がある。
これを実行したら、仲井真氏はおしまいである。
晩節を汚すとはこのことを言う。
安倍政権は米国から尻を叩かれている。
名護市長選の前に、知事から埋め立て許可を引き出せと命令されているのであると思われる。
仲井真弘多氏は徳洲会問題で揺さぶられているのだろう。
しかし、だからと言って県民に対する裏切り行為が正当化されるわけではない。
最後のカギを握るのは、沖縄県民の行動である。
政府は法外な沖縄振興策を提示しているが、振興策が実施されるなら、基地建設を認めるというのが沖縄県民の考え方であるのか。
沖縄県民の判断が問われることになる。
続きは本日の
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