日本経済改善の流れを超緊縮財政で破壊するな
拙著『日本経済撃墜-恐怖の政策逆噴射-』(ビジネス社)
の発売が開始された。

私が同書に込めたのは、経済改善のきっかけを掴みかけた日本経済の失速を回避するべきだとの思いである。
昨年11月14日の党首討論から1年の時間が経過した。
12月16日の総選挙を通じて安倍政権が誕生した。
安倍政権の下で、原発、憲法、TPP、沖縄などの問題が、主権者国民の意思に反する方向に誘導されることが警戒される。
特定秘密保護法も憲法の国民主権の根本原則に反するもので、到底容認できるものでない。
国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という、日本国憲法の根本が、なし崩しで破壊されることが、いまほど強く憂慮される局面は、これまでなかったと言える。
これが『アベノリスク-日本を融解させる7つの大罪-』(講談社)
の核心である。
だが、一方で、安倍政権の下で円安・株高・景気改善が実現したことは事実である。
安倍政権の前任にあたる菅直人政権、野田佳彦政権の経済政策運営は、基本的に財務省路線に乗ったものだった。
2011年に大震災・大津波・原発事故があった。
日本の主権者国民にとって、最優先の課題は、被災者の救援、被災地の復興、そして、日本経済の回復誘導であった。
ところが、菅政権と野田政権は、この時期に、上記の目標ではなく、巨大増税実現を最重要の目標に位置付けた。
象徴的であったのは、大震災発災直後の2011年4月14日に第一回会合が開かれた東日本大震災復興構想会議において、復興増税が示されたことだ。
財務省が大震災・大津波・原発事故発生に際してまず考えたことは、これと巨大増税実現のために利用することだった。
菅直人政権と野田佳彦政権は、この財務省路線にとっぷりと浸かった政策運営の道をひた走った。
そのために、日本経済および日本の株式市場は超低迷の状態を続けたのである。
米欧の株価推移と日本の株価推移を比較すると、この間の相違が鮮明である。
米欧で、2009年3月以降、文字通りV字形の株価回復、景気回復が実現したのに対して、日本だけが超低迷を持続したのである。
昨年11月14日の野田佳彦氏と安倍晋三氏による党首討論をきっかけに、円安と株高の大きな変化が生じたのは、安倍政権が誕生し、経済政策の基本路線を転換したからである。
増税に突き進む前に、まずは、日本経済の流れを転換することを優先した。
具体的には、財政金融政策を総動員したのである。
安倍政権は「アベノミクス」の名称で、経済政策転換をアピールしたが、その内実は財政金融政策の総動員であって、取り立てて別の名称で表現するべきものではない。
伝統的なマクロ経済政策の手法である、金融政策と財政政策を発動しただけのことであった。
安倍政権が幸運であったのは、安倍政権発足の直前に米国長期金利の波動が低下から上昇に転じていたことであった。
円ドルレートの決定メカニズムを探ってゆくと、長期的に円ドルレートが米国長期金利変動に連動していることが分かる。
米国長期金利は昨年7月に1.38%の最低値を記録して以降、上昇波動に転じた。これを背景に、円ドルレート波動が円高・ドル安から円安・ドル高に転じた。
この背景があったからこそ、昨年11月以降の円安・株高の流れが実現したわけである。
安倍政権は、金融緩和政策強化を打ち出し、同時に、13兆円補正予算の編成に進んだ。この、財政金融政策の総動員が、円安・株高とこれに連動する日本経済の改善を生み出した。
菅直人政権、野田佳彦政権の増税まっしぐら路線を修正し、日本経済の改善を優先したことは正しい選択であった。
その成果として、円安・株高・経済改善が実現したことは、正当に評価されるべきことである。
問題は、この流れが実現した現段階で、今後の政策運営の進路をどのように定めるのかという点である。
安倍政権が何よりも重視すべき目標は、改善傾向を示している日本経済の流れを維持することである。
財政再建は中期的に重要な課題であるが、経済改善の持続なくして財政再建はあり得ない。
この点で、過去に何度も重大な誤りを犯してきたのが財務省である。
安倍首相は財務省の間違った政策誘導を排除して、日本経済の改善維持に軸足を置いて政策運営を進めるべきなのである。
ところが、誠に残念なことに、安倍政権は、結局、財務省の財政再建原理主義に押し切られつつある。
安倍政権が財務省路線に押し切られることは、日本経済にとって最大の悪夢になる。
本書では、この点を詳細に分析している。
単なる予測ということではなく、日本経済の再崩落を未然に防ぐための提言の書として本書を上梓したことをご理解賜りたく思う。
続きは本日の
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