福島市民の賢明な選択と主権者政治活動の重要性
11月17日に投開票された福島県福島市長選で、無所属新人の小林香氏が、四選を目指した無所属現職で自民と社民が推薦した瀬戸孝則氏と共産党公認の新人である山田裕氏を大差で破って初当選を果たした。投票率は49.10%(前回38.18%)だった。
小林香氏は元環境省東北地方環境事務所長。
国会では自民党が圧倒的多数を占有して、独断専行で国政を運営しているが、日本の主権者国民の目は、次第に厳しさを増している。
安倍自民党は昨年12月の総選挙、本年7月の参院選に勝利して衆参ねじれを解消したが、主権者国民の多数が安倍自民党を直接的に支持したのではないことに留意する必要がある。
選挙の投票率は5割程度と、主権者の半分しか投票所に足を運んでいない。
投票所に足を運んだ主権者の、約半分が自民、公明の与党勢力に投票した結果として、衆参両院での与党多数の状況がもたらされたが、主権者全体から見ると、約4分の1程度の主権者しか与党勢力に投票していないことになる。
4分の1の民意で国政を支配してしまうことは、民主主義の原理からすれば、はなはだ危険な状況である。
いま、日本には重大な政治問題が数多く山積している。
私は、原発、憲法、TPP、消費税、沖縄を五大問題であると捉えている。
また、経済政策全体の基本方向として、弱肉強食奨励=「奪い合う社会」を目指すのか、それとも共生社会=「分かち合う社会」を目指すのか、という選択が重要であると考える。
これらの問題は主権者である国民の選択に委ねられるべき問題であり、本来は国政選挙の際に、これらの問題が十分に論議されて主権者国民が判断を下す必要がある。
ところが、現実には、選挙の際に争点が意図的にすり替えられ、これらの重要問題は十分に論議されなかった。
意図的に争点をすり替えた主体はマスメディアである。
マスメディアが自公勢力、あるいは、みんな・維新などの、対米従属勢力に国会で多数議席を占有させるための情報誘導を行ったのである。
このために、主要問題に対する主権者国民の意思が国政に反映される状況が生み出されていないのである。
これに対して、地方の首長選においては、それぞれの地域の主要な争点が必然的に選挙争点になる。
それぞれの地域の主権者は、それぞれの地域の主要問題について考察し、その結果としての判断を首長選挙に託すことになる。
自公勢力は国政においては多数議席を占有しているが、地方の首長選挙においては、必ずしも勝利を収めていない。
地方の首長選挙では、安倍政権に対峙する政治勢力が相次いで勝利を収めている。
沖縄では、7月の参院選でも、安倍政権に対峙する勢力が勝利した。
安倍政権支持勢力と安倍政権に対峙する勢力が一騎打ちの選挙になったが、後者が前者を打ち負かしたのである。
来年1月には沖縄県名護市長選が実施される。12月には沖縄県知事選が実施される。
名護市の辺野古海岸を破壊して巨大な米軍基地を建設することについて、名護市民および沖縄県民の判断が問われる。
主権者は誤りのない判断を示さなければならない。
安倍政権は福島の原発事故は完全にコントロールされているとしたが、現実には原発事故は収束していない。
原発事故はいまなお進行しているのである。
IOC総会で、福島の問題が質問された際、福島は東京から250キロ離れているから東京は大丈夫だとのコメントが発せられたが、このコメントは、東京は大丈夫だが福島はだめだという意味を含んでいた。
福島県では放射線量が高く、多くの市民が自主避難をしている。
しかし、自主避難は巨大な経済的負担を伴う。
このために、多くの市民が放射能の恐怖におびえながら、いまなお、現地に居住しているのである。
こうした現状に対して、政府の対応はあまりにも杜撰である。
しかも、福島の問題を放置しながら、さらに日本における原発利用の推進を図っている。
福島県民こそ、現在の安倍政権の基本方針に対して、明確にNOの意思を突きつける必要があると感じられる。
ところが、国政選挙においては、自公勢力が勢力を維持した。
このこと自体が、もう一度見直されてしかるべきである。
福島市長選挙では、福島市民の現状に対する批判の声が噴出した。
その結果として、現職市長がダブルスコアで市民派の候補に惨敗したのである。
主権者が問題を真剣に考察して積極的に行動すれば、政治の状況を変えることができることが立証されたわけだ。
今後を考えるうえで、極めて重要な示唆を与えている。
続きは本日の
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