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2013年11月22日 (金)

誰にでも分かる財務省推進の「財政構造改革」

私は財政構造改革に反対していない。


むしろ、財政構造改革の必要性を20年来、唱え続けている。


ところが、財務省を中心とする勢力は、私が唱える財政構造改革とは似て非なるものを財政構造改革と称して、これを推進してきた。


どこがどう違うのか。


三つの違いがある。


この違いは、財政の問題を考えるときに、とても重要なものだから、読者もしっかりと踏まえて、自分なりの判断を持ってほしい。


日本は民主主義、国民主権の国だから、重要な決定をする権限は国民にある。


ただ、国民が直接、さまざまな問題を決めるわけにはいかないから、国民は選挙で代表者を選び、この代表者が国民に代わって、さまざまなことを決める。


これが議会制民主主義である。


日本の場合、この議会で多数勢力が政権を作り、実際の行政はこの政権が担う。


その際、国民の代表者が直接、行政を担うわけにはいかないから、公務員を雇って公務員に行政の仕事を担わせている。


これが官僚である。


つまり、官僚は国民の代表者から作られる政権の指揮下に置かれる、全体の奉仕者=公僕である。


主権者や議員や政権の上に立つものでない。


この当たり前の基本をわきまえていない官僚が少なくない。


これが、日本行政の最大の問題、「がん」である。

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話を本題に戻す。


三つの問題とは、


第一に、官僚利権、政治家利権を切るか切らないか。


財政構造改革の基本の基本は、無駄な政府支出を切ることだ。


その際、まず考察の対象にするべきものは、官僚利権、政治家利権である。


これを切るのか、切らないのか。


全面的な意見対立がある。


第二に、社会保障制度を拡充するのかしないのか。


一方には、社会保障制度を拡充するべきだとの強い意見がある。


しかし、他方に、社会保障支出こそ、削減すべき政府支出の中核であるとする意見がある。


真っ向から対立している。


第三に、国民に負担の増加を求める際、どのような方法でこれを求めるか。


能力に応じた負担を求めるべきだとの考えがある一方で、そうではなく、基本的にはすべての人にできるだけ均等な負担を求めるべきだとの意見がある。


均等な負担というのは、お金持ちには極めて軽い負担になるが、お金持ちではない人には、とても過酷な負担になる。


なかには、その負担で、生きてゆくことさえ難しくなる人が出てくるかもしれない。


それでも、均等な負担を求める人は、それはそれでよいのだという。


この世は「弱肉強食」の世の中なのだから、力の弱い者が消滅するのは当然のことなのだと彼らは主張する。


財務省が推進している「財政構造改革」というのは、この三つの論点に当てはめると、次のようなものになる。


1.官僚利権、政治家利権は切らない。温存する。できれば、さらに拡大する。


2.社会保障制度は徹底的に切り込む。高齢化が進んで、社会保障財政がひっ迫するのだから、社会保障支出を切り込むことは当然だと主張する。


3.負担は原則として、均等な負担にする。金持ちだからといって、大きな負担を求めない。貧乏人だからといって、負担を軽くすることはしない。貧乏な人が均等な負担で生きてゆけなくなることは仕方のないことだ。


これが、財務省が推進している「財政構造改革」の基本的な考え方だ。


表面的には、はっきりとこう言うことは少ないが、提示している政策をわかりやすく読み解くとこうなる。

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これに対して私が提唱する財政構造改革は正反対だ。


1.官僚利権と政治家利権をまず徹底的に切る。これを切ることが財政構造改革の出発点だ。野田佳彦氏が言っていた「シロアリ退治」=「天下りと渡りの根絶」こそ、財政構造改革の出発点である


2.社会保障制度は必要十分に、しっかりと拡充する。


世の中には、さまざまな理由で厳しい状況に置かれている人が多数存在する。


本人が怠けて、怠惰であるなら話は別だが、そうではなく、やむを得ぬ事情で厳しい状況に置かれている人に対しては、政府が責任をもって、最低限の生活水準を保証する。


これが近現代国家の最重要の役割だ。


3.負担を求める基本に「能力に応じた負担」を位置付ける。


能力の高い人に負担を求めなければ、世の中は回らない。


他者のために負担をしたくないという人は、日本から出てゆけばよい。


日本はそんな人間の集まりではないはずだ。


苦しいときにはお互いさま。余裕のある人が多く負担して、皆で支え合うというのが日本社会の良いところのはずだ。

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私は、日本財政の収支が悪化し、債務残高が脹れ上がっている現状を、中期的に是正するべきだと考えている。


そのために財政構造改革を実行しなければならないと思っている。


ただ、その時、方法としては、上記の基本を踏まえるべきだと考える。


以下に、その具体的方策を提示しよう。

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