偽装事件で逮捕起訴される人とされない人の相違
「偽装」が日本のトレードマークになりつつある。
料理メニューで食材偽装が発覚し、全国的な広がりを見せている。
食材偽装に手を染めた企業のなかには、業界大手、老舗企業も多く含まれている。
問題は広がりを見せているが、その内容を区分して処理することが求められる。
料理業界の通例として容認されるものと、顧客を騙して高額代金をせしめてしまう悪質なものが混在しているからである。
業界の通例として容認されてきた、悪質性の低いものまで厳罰に処する必要はないが、顧客を騙す、悪質なものについては、適正な刑事責任の追及が必要である。
刑法246条に詐欺罪の規定がある。
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
景品表示法には次の条文がある。
(不当な表示の禁止)
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
また、不正競争防止法には次の条文が置かれている。
(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
十三 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
景品表示法では罰則について、内閣総理大臣による措置命令に違反した場合に、
二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
ことを定めている。
不正競争防止法では罰則について、
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
としている。
牛肉ミンチの品質表示偽装事件で摘発されたミートホープ社(北海道)の田中稔社長は、2008年3月19日に不正競争防止法違反(虚偽表示)と詐欺の罪で懲役4年の実刑判決を受けた。
秋田県の「比内地鶏」の偽装表示事件で摘発された食肉加工製造会社「比内鶏」の藤原誠一社長は、2008年12月24日に詐欺と不正競争防止法違反の罪で懲役4年の実刑判決を受けた。
岐阜県のブランド牛「飛騨牛」の等級偽装事件で摘発された食肉卸売会社「丸明」の吉田明一社長は、2009年3月24日に不正競争防止法違反の罪で懲役1年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。
「偽装」で刑事責任を問われているケースは数多く存在する。
ところが、その一方で、偽装が行われていながら、刑事責任を問われていないケースも数多く存在する。
問題は、こうした刑事処分の相違が合理的に決定されていないことだ。
これが、日本の警察、検察の闇の核心である。
政治判断、天下りを軸とする癒着、その他の要因が大きく影響している。
今回の有名企業による「偽装」発覚は、上記の事案を含む数多くの「偽装」事件が発覚したのちに表面化したものである。
「一罰百戒」の言葉があるが、過去の「偽装」事件の現実を踏まえて、すべての企業が悪質な偽装の根絶に取り組んできていなければならなかったはずである。
そのなかで明らかになっている、悪質な偽装については、刑事責任を含めて厳しい対応が求められる。
記者会見を行い、社長が辞任すれば済むという類の話ではない。
事実を公表しただけで、責任処理を明らかにしない企業があるが、言語道断である。
しかし、いま、私たちが真剣に考えなければならない、もっと大きな問題は、政権政党による主権者との公約メニュー表示における偽装である。
この問題の重みは料理メニューの食材偽装の比ではない。
自民党は2012年12月の総選挙、2013年7月の参院選で、TPPについて、どのような約束を主権者との間で交わしたのか。
自民党は6項目の公約を明記した。
「自民党 The Fax News No.153」(2012/3/9)
には、以下のように明記されている。
続きは本日の
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