庶民喰い物にするさもしい財務省シロアリ公務員
2009年に野田佳彦という名の民主党国会議員が声を張り上げて訴えた言葉ある。
テーマは、マニフェスト・消費税・天下り
である。
以下に、その主要部分を提示する。
「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。
書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。
書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。それは、マニフェストを語る資格はないというふうに、ぜひ、みなさん、思っていただきたいと思います。」
「その一丁目一番は税金の無駄使いは許さないということです。天下りを許さないわたりを許さない。それを徹底してゆきたいと思います。
消費税1%分は二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっているんです。
それなのに、シロアリを退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?
鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。
シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。
そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」
「一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。
私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。
二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。
これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。
そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。
わたりも同様であります。年金が消えたり消されたりする組織の社会保険庁の長官、トップは、やめれば多額の退職金をもらいます。六千万、七千万かもしれません。
その後にはまた、特殊法人やあるいは独立行政法人が用意されて、天下りすることができる。そこでまた高い給料、高い退職金がもらえる。また一定期間行けば、また高い給料、高い退職金がもらえる。またその後も高い給料、高い退職金がもらえる。
六回渡り歩いて、退職金だけで三億円を超えた人もおりました。
まさに、天下りをなくし、わたりをなくしていくという国民の声に全くこたえない麻生政権は、不信任に値します。」
消費税の問題を論じる前に、私たちは官僚利権=「天下りとわたり」の問題に対処すべきである。
私たちに増税の必要性を説いているのは誰か。
財務省だ。
財務省は、日本は財政危機に直面しており、消費税増税を実施しないと日本財政は破綻すると説き続けている。
そうであるなら、まず、財務省が率先垂範を示すべきだ。
江戸時代中期、出羽国米沢藩の藩政改革に取り組んだ、名君の誉れ高い上杉鷹山は大倹約令を発して、米沢藩の財政再建に取り組んだ。
藩主になった鷹山は、徹底した「コスト削減」をまず自らの身に課した。食事を質素な一汁一菜のものとし、着物を絹から木綿へ変え、自らの生活費を7分の1に削減、奥女中の数も50人から9人に減らした。
こうして自ら範を示したのち大倹約令を発表して質素倹約を推し進め、藩全体でのコスト削減に取り組むことを最優先の方針として掲げたのである。
これが為政者の行うべき行動である。
財務省が日本財政の危機を説き、国民に消費税の巨大な負担を押し付けようとするなら、その前に、まず、財務省が範を示すべきである。
野田佳彦という名の国会議員が2009年に唱えていた主張は至極正しい。正論である。
そして、重要なことは、日本の主権者国民がこの主張に同意して当時の民主党に政権を委ねたことだ。
2009年8月30日の選挙で、主権者国民は、この判断を明示したのである。
昨年12月まで存続した政権は、この民意の負託を受けた政権であった。
この政権の最後を担ったのは、野田佳彦という、2009年演説の主と同姓同名の国会議員であった。
ところが、2012年に政権を担った野田佳彦という名の国会議員、そして内閣総理大臣は、シロアリ退治にまったく手を付けぬまま、消費税大増税の法律を国会で成立させた。
「シロアリを退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?
シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。
そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」
と声を張り上げた国会議員と同姓同名の首相だったが、まったくの別人なのだと思われる。
いずれにせよ、消費税を引き上げる前にやらなければならないシロアリ退治は、いまのところ、何ひとつ行われていない。
そして、浮上した元財務次官細川興一氏の日本政策金融公庫総裁就任人事。
シロアリ退治どころか、シロアリ大繁殖である。
これが財務省の正体なのだ。
財務省は、財務省天下り御三家である、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫の業容拡大に全力で取り組んでいる。
これらの機関が入居するオフィスビルもことごとく、豪華絢爛なものに差し替えられてきた。
財務省は日本政策投資銀行の民営化を推進しているが、民営化して、天下りポストの旨みをさらに拡大させようとしている。
そして、その旨み満載の天下りポストを占有しようと企んでいる。
もう一度原点に返り、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」ことを国民が確認し、財務省の悪事を糾弾しなければならない。
続きは本日の
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植草一秀の「知られざる真実」さもしい財務省シロアリ公務員に、野田前総理が野党時代にしていた名演説を紹介しておられる。
こんなことを言っていた人間が、同一人の顔をしたままで、消費税増税法案をごり押ししてまで通したのだから、政治家が何を演説したとしても、信用できなくなってしまう。
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