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2013年10月 6日 (日)

原発事故適正責任処理で東電の法的整理は不可避

日本経済新聞は9月25、26日の「経済教室」欄で、


「東電をどうすべきか」


のテーマで二人の学者による寄稿文を掲載した。


一橋大学教授山内弘隆氏、中央大学教授安念潤司氏による寄稿である。


9月28日付メルマガ記事


「東電法的整理否定の論拠を何ひとつ示せぬ日経新聞」


http://foomii.com/00050


に記述したように、日経新聞がこの特集記事を掲載したのは、東電の法的整理を避けるためである。


東電を法的整理させる必要があると考える専門家が多数である。


日経新聞が公正なスタンスで問題を論じるなら、賛否両論を掲載するはずである。


ところが、法的整理に反対する論者だけを登場させて、「東電をどうすべきか」を考察している。


堕落した日本経済新聞の現状を如実に示している。

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しかし、日経新聞が経済教室欄に掲載した二つの主張は、いずれも説得力がまったくない。


山内弘隆氏は、東電を法的整理することによって経営者と株主の責任が明確になり、東電のバランスシートの改善を通じて企業再建が容易になることを認めている。


また、損害賠償についても、更生法が適用され、支援機構による資金提供が続けば、賠償等の作業が中断されることもないことを認めている。


その一方で、山内氏は東電の法的整理を行うべきでない正当な理由を示さない。


山内氏は社債市場が混乱すると指摘するが、社債市場は債務不履行を可能性として否定していない。状況によっては債務不履行も発生する。


市場参加者はそれらのリスクが存在することを踏まえている。


企業が破綻する状況に追い込まれれば、社債の一部が債務不履行になることはあり得るが、そのときに市場が混乱するから債務不履行にはしないという理屈は成り立ちようがない。


およそ資本市場の本質を理解していない妄言と言わざるを得ない。


安念氏は、原賠法が定める事業者の損害賠償責任について、「異常に巨大な天災地変による場合はこの限りにあらず」と定めていることを指摘し、福島原発事故の原因になった地震、津波がこれに該当する可能性を指摘する。


また、「異常に巨大な天災地変」の定義についての、「関東大震災の3倍ほどの規模」、「人類がかつて経験したことがないような天災地変」などの例示について、


「茶飲み話の類」


だと一蹴する。


しかし、「人類がかつて経験したことがないような天災地変」などの定義は、原賠法の損害賠償責任免責の基準に関して国会論議が行われた際の政府答弁等でしめされたものであり、これを「茶飲み話の類」と評価するのは間違っている。


「茶飲み話の類」というのは、安念氏の主張のように精緻さを欠いた論議に対する批評表現である。

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原賠法は原子力事故を引き起こした場合、事故を発生させた事業者が損害賠償責任を負うことを定めている。


例外として、「社会動乱による場合」と「異常に巨大な天災地変による場合」を例示している。


しかし、福島原発事故の原因となったと見られる地震、津波は、過去に発生したことのある規模のものであり、異常に巨大な天災地変にはあたらない。


とりわけ重大であるのは、独立行政法人産業技術総合研究所が過去の地震・津波を専門的な見地から調査、研究し、その結果として、福島の津波対策が不十分であると再三警告してきた事実が存在することだ。


東電と国は、産総研の警告を無視して、津波対策を怠ってきたのである。


それだけではない。


国会でも、地震発生時の原発の電源喪失のリスクが的確に指摘されてきたのである。


共産党衆議院議員の吉井英勝氏は、2006年12月に、質問主意書を内閣に送付し、内閣がこれに対して答弁しているのだ。


吉井議員が質問主意書を送付した相手が安倍晋三氏である。


当時の内閣総理大臣であった安倍晋三氏が、この質問主意書に答弁を示した。


内閣総理大臣安倍晋三の名で、


「衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書」


と題する答弁書が送付された。


http://goo.gl/aRIIa


ここに、重大な事実が記録されている。

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質問と答弁を合わせて掲載させていただく。


まずは、吉井氏の質問主意書を紹介する。


「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」


政府は、巨大地震に伴って発生する津波被害の中で、引き波による海水水位の低下で原子炉の冷却水も、停止時の核燃料棒の崩壊熱を除去する機器冷却系も取水できなくなる原発が存在することを認めた。


巨大な地震の発生によって、原発の機器を作動させる電源が喪失する場合の問題も大きい。


さらに新規の原発で始められようとしている核燃料棒が短時間なら膜沸騰に包まれて冷却が不十分な状態が生じる原発でも設置許可しようとする動きが見られる。


また安全基準を満たしているかどうかの判断に関わる測定データの相次ぐ偽造や虚偽報告に日本の原発の信頼性が損なわれている。


原発が本来的にもっている危険から住民の安全を守るためには、こうしたことの解明が必要である。


よって、次のとおり質問する。

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