放射能汚染を放置する国でオリンピックは妥当か
9月はすべての流れを決める月になる。
9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスでIOC総会が開かれる。
9月5日には、ロシアのサンクトペテルブルクで、G20サミットが開催され、安倍晋三首相が出席するが、安倍氏は会議の途中でG20サミットを退席する。
地球の反対側のブエノスアイレスのIOC総会に出席するためだ。
2011年3月11日の大地震・大津波・原発事故から2年半の時間が経過する。
原子炉はメルトダウンし、巨大な放射能燃料棒は原子炉から漏出してしまった。
燃料を冷やすために膨大な冷却水が用いられてきているが、そのすべてが放射能汚染水に変化した。
この放射能汚染水の処理を誤れば、重大な放射能汚染水による被害が広がることになる。
この汚染水対策を2年半おざなりにしてきたために、東電福島第一原発は新たな「国際原子力事業評価尺度レベル3(重大な異常事象)」に該当する重大な放射能事故を引き起こした。
高濃度の放射能汚染水が海洋に廃棄され、地下水脈と結合しているのだ。
原発事故から2年半、適切な対応を取らずに、新たに「国際原子力事業評価尺度レベル3(重大な異常事象)」に該当する重大な放射能事故を引き起こした日本で、オリンピックをやりたいと考える人々が、果たしてどの程度存在するか。
安倍氏は各国外交で、日本の主権者国民の血税をばらまき、IOC総会での投票を誘導する「買収工作」を続けてきたが、その効果で、2020年東京オリンピック開催をもぎ取ることが出来るのか。
思慮深い日本国民の多くは、東京でオリンピックを開催することをまったく望んでいない。
オリンピックは巨大な利権事業であり、この利権に群がる人々が、オリンピック招致に血道を上げているのである。
9月は、とりわけ経済・金融市場において重要な月になる。
9月6日、米国の8月雇用統計が発表される。
この統計が、米国の金融緩和政策縮小を判定する最重要経済指標になる。
9月17-18日にかけて、FOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。
金融市場は、このFOMCでFRBによる証券買入れ縮小が決定されるのかどうかを、固唾を呑んで見守っている。
9月9日、日本の2013年4-6月期GDP改定値が発表される。
8月12日に発表された速報値では、4-6月期の実質GDP前期比年率成長率は2.6%だった。
消費税増税を強行実施するために、2013年4-6月期のGDP成長率は人為的にかさ上げされてきた。
「アベノミクス期待効果」による、日本長期金利低下=円安=日本株高による景気押し上げ効果が最大に観測されると見られるのが4-6月期だ。
13兆円の補正予算も、4-6月期のGDP成長率を押し上げるために編成された。
本当は、年率5%、あるいは年率8%程度の高い成長率統計の発表を狙っていたはずだ。
ところが、ふたを開けてみると、たったの2.6%成長。
表向きは平成を装っているが、実体は数字の低さが波紋を呼んでいる。
安倍氏は増税先送りを示唆し続けているが、この期に及んで、増税を当初案通りに実施するならば、市場は反乱を示すだろう。
財務省は、増税実現のために、ウソの情報を流布している。
ウソの情報とは、増税を先送りすると、債券が売られ、円が買われ、株が売られるというものだ。
この話を示し合わせたかのように発言する人が多いが、その理由は、彼らが示し合わせているからだ。
背後にいるのは財務省。
財務省の指令で、
「増税を先送りすると債券安・ドル安・日本株安が生じる」
とのストーリーが流布されている。
真実は恐らく違う。
増税を決めれば、日本株価は下落するはずである。
安倍氏は、増税を先送りすることを決断して、増税先送りを示唆したのか。
ここが何よりも重要だ。
増税先送りをすでに決断しているなら、これまでのやり方に大きな問題はない。市場が失望することはない。
しかし、増税先送りを決断していないのに、増税先送りを示唆したのなら、政治家としての力量はゼロと言わざるを得ない。
増税先送りを期待させて増税を実施することは、増税先送りの期待をまったく与えずに増税を実施するより、はるかに好感度が低い。
甘利明経財相は、10月7日のAPEC総会までに増税問題を決断するとしているが、実質的な決定は9月に行われることになるだろう。
いまや、世界経済の動向を語る際に、中国経済を見落とすことはできない。
中国は世界第二位の経済大国なのである。
この中国の経済動向を見るために、もっとも中止されている指標がHSBCの発表する製造業のPMI指数である。
PMI指数とは、製造業の購買担当者指数のことだ。
続きは本日の
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