金融市場を読み解く鍵は米経済とFRB議長人事
米国の7月雇用統計が発表された。
非農業部門の雇用者数増加は16.2万人。
市場の事前予想18万人をやや下回った。
同時に5月、6月の雇用者数増加が2.6万人ずつ下方修正された。
失業率は6月の7.6%から7.4%に低下した。
雇用者数の増加が事前予想を下回ったことで、米国景気回復のペースが緩んだと判断され、米ドルは小幅下落した。
NYダウは、統計発表後に小幅下落したが、終値では前日比30.3ドル高の15,658ドルに上昇し、2日連続で史上最高値を更新した。
依然として、米国経済は世界経済の中心である。
日本では、「アベノミクス」がもてはやされてきたが、「アベノミクス効果」はすでに出尽くしており、金融市場の焦点は米国経済金融情勢に移っている。
私は『金利・為替・株価大躍動』(ビジネス社)
に金融市場変動のメカニズムを記述した。
また、『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
には、中短期の経済金融変動予測を記述してきている。
参院選が終了し、為替が円高に振れ、日経平均株価が7月23日から29日にかけて1100円も下落して悲観論が台頭したが、私は異なる見方を示してきた。
その基軸にある判断は、米国の趨勢を見る視点だ。
日本株価の変動をもっとも強く規定しているのは、円ドルレートである。
そして、円ドルレート変動をもっとも強く規定しているのは、米国長期金利である。
米国長期金利変動は、米国経済の基調と米国金融政策の方向を反映して変動している。
米国経済と米国金融政策の基調をどのように判断するのかが、金融市場の変動を先読みするうえで、いま、一番大事なことがらなのである。
昨年11月から本年4月までの半年間だけ、特殊な要因が強く影響した。
それは、日本の長期金利が米国長期金利に連動せず、独自の動きを示したためである。
日本の長期金利は、昨年11月から本年4月にかけて急低下した。
「アベノミクス」が金融緩和政策の強化を提示し、これが日本の長期金利を大幅に低下させたのだ。
その結果、米国金利要因ではなく、日本金利要因で為替レートが大きく変動した。
急激な円安・ドル高が発生した最大の要因が日本長期金利の急低下だった。
この円安が日本株価上昇を生んだ。
「アベノミクス効果」によって、円安と株高が生じたのである。
この部分は「アベノミクス」の成功部分であるが、残念ながら、この効果はすでに出尽くしになっているのである。
なぜなら、日銀が金融緩和政策を現実に決定した4月4日以降、日本の長期金利は低下するどころか、反転上昇しているからである。
参院選の直前、6月13日から7月18日にかけて、日本株価が急反発したのは、「アベノミクス効果」ではなく「米国金利上昇効果」によるものだった。
安倍晋三氏は、非常に微妙なところで、米国金融変動に助けられて参院選を乗り切ったのである。
参院選が終わって、為替は小幅円高に回帰し、これに連動して日本株価が反落した。
しかし、私は、円安・日本株価上昇の基調はまだ終焉していないとの見立てを示してきた。
実際、8月入り後、日本円は反落し、日本株価が急反発した。
その理由として私が提示してきたのは、米国経済の基調が、景気回復=金融緩和縮小の方向にあり、この方向感が残存するのであれば、ドル高=円安=日本株高の基本構図が残存する可能性が高いというものである。
米国経済の基本風景は、毎月発表される雇用統計の数値に振り回される。
景気が強いとのメッセージになる数値が発表されれば、米国経済は強いとの市場観測が支配的になる。
逆に米国景気は弱いとのメッセージになる数値が発表されれば、米国経済は弱いとの市場観測が支配的になる。
統計数値は振れるものだから、その予測は不可能に近く、市場観測は右に左に振れやすいのだ。
この短期の市場変動を予測することはできない。
数値を見て初めて反応できるものである。
しかし、そのなかで重要なのは、中期の基調をどのように判定するのかという視点だ。
中期の基調を、「経済は下向き=金融緩和の維持」と見るか、「経済は上向き=金融緩和の縮小」と見るかによって、基本判断が異なってくる。
この見極めが何よりも重要になってくるのである。
私の見通しの詳細は『金利・為替・株価特報』でご覧いただくこととして、今後の焦点は米国金融政策の変化である。
FRBのバーナンキ議長は来年辞任すると見られている。
その後任に誰が就任するか。
ローレンス・サマーズ氏とジャネット・イエレン氏の二人の人物が有力候補として浮上している。
私は、イエレン氏の議長就任が望ましいと思うし、そうなると予想している。
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