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2013年8月13日 (火)

消費税増税見送りが円高・株安を招くという風説

2013年4-6月期のGDP速報値が発表された。


前期比年率経済成長率は2.6%だった。


今回のGDP統計が大きく報じられているのは、安倍政権が消費税増税の判断基準としてこの統計数値を活用することを表明してきたからだ。


消費税法附則(平成二四年八月二二日法律第六八号)
第十八条


には、次の条文が置かれている。


(消費税率の引上げに当たっての措置)


第十八条  消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。


2  税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。


3  この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

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第3項にある表記がポイントである。


「経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」


消費税増税の施行決定に際しては、


「名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し」


「施行の停止を含め所要の措置を講ずる」


と表記されている。


この条文を踏まえて、安倍晋三氏は、昨日発表された2013年4-6月期のGDP統計の数値を判断材料として、消費税増税施行の是非を判断するとしてきた。

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しかし、法律には、どこにも2013年4-6月期のGDP統計で判断するなどとは記載されていない。


もとより、GDP成長率の四半期別成長率は振れが大きい。


081313081313


1四半期の数値で消費税増税の是非を判定するという方針そのものがおかしかった。


安倍晋三氏がこの方針を示したのには理由がある。


2013年4-6月期の経済成長率が高くなる細工を施したうえで、この数値を消費税増税の判定基準に活用することを決めたのだ。


その細工とは、2012年11月から2013年4月にかけて展開された、いわゆる「アベノミクス」騒動による円安・株高効果と、13兆円の超大型補正予算効果である。


補正予算の執行は2013年度入りまでずれ込んだ。


この効果が最大に発揮されるのが2013年4-6月期だ。


「アベノミクス」の実態は、金融緩和宣言と大型補正予算編成の二つだ。


金融緩和宣言が日本の長期金利低下をもたらし、日本円を下落させ、日本株価上昇をもたらした。


金融緩和宣言=長期金利低下=円安=株高


の連動関係が2012年11月から2013年4月にかけて現実化した。


これに加えて、13兆円の超大型補正予算が編成された。


この補正予算に伴う支出が2013年4-6月期のGDPを増大させ、GDP成長率をかさ上げさせる。


こうした「細工」を念頭に置いて、2013年4-6月期のGDP成長率を見て消費税増税を判断するとの方針が提示されたのである。


一種の「やらせ」であり、ある種の「偽装」である。

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これだけの「細工」を施した割には、発表数値はあまりにも低かった。


人為的な「細工」によるGDP成長率かさ上げの効果を差し引いた、実体としての日本経済の成長基調が弱いことが示されたわけだ。


財務省は消費税増税の実現に懸命である。


日銀総裁に就任した黒田東彦氏は、日銀に身を置いていることも忘れたかのように、消費税増税推進の旗を振り始めた。


日銀に就職しても心はまだ、完全に財務省にある。


財務省OBとして日銀総裁の職にあたることは極めて不健全である。


財政当局の利害に基いて金融政策を運営することが、ハイパーインフレなどの悲劇を引き起こす原因になる。

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財務省はあらゆるルートから、消費税増税推進の世論操作を強めている。


消費税増税を決定しなければ、円高になるとか、これが「アベノリスク」になるなどの、世論誘導が活発に展開されている。


不正で不当な消費税増税は先送りして、仕切り直しをするべきだ。

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現状では、三つの案が提示されている。


第一は、予定通り、2014年4月8%、2015年10%に消費税率を引き上げるというもの。


第二は、2014年4月に8%にするが、10%への引き上げを2016年10月に1年先送りするというもの。


この変形バージョンとして、8%への引き上げを2015年4月、10%への引き上げを2016年10月とする、増税スケジュール全体を1年先送りするというものがある。


第三は、税率引き上げを1年に1%ずつ、5段階で実施するというもの。

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