メディアが誘導した選挙結果と希望の光沖縄・東京
参院選の結果は、懸念された通りのものになった。
投票率は52.6%と、戦後3番目の低いものになった。
121人の改選議席のうち、自民党が過半数を超える65を獲得した。公明党は11。
自公の与党が76の議席を確保し、非改選議席の59と合わせて135議席を占有することになった。
参院過半数は122であり、自公は衆参両院で過半数議席を確保した。
自民党単独では115議席で、自民党単独での衆参過半数確保は実現しなかった。
みんな、維新が獲得した議席数はそれぞれ8で、自公みんな維新での獲得議席数は92。非改選議席の70を合わせた議席数は162であり、ちょうど参院3分の2を上回った。
自公みんな維新が結託すると憲法改正の発議も可能になる。
公明党は96条改定に慎重だが、政権与党から離れてまで反対する可能性は低いだろう。
公明党の参院議席数は20であり、この20が脱落しても、民主党参院議員59名のなかの20名が96条改定に賛成すれば、96条改定発議が可能になる。
懸念されるアベノリスクは現実のものになった。
野党の獲得議席は、
民主が17、
みんな8、維新8となる一方、
共産が8議席を確保し、社民が1、沖縄社会大衆党が1議席を確保した。
無所属では東京で立候補した山本太郎氏と岩手の平野達男氏が当選した。
生活、みどり、大地、緑の党は議席を獲得できなかった。
参院選の基本構造は次のものである。
1.低投票率
2.組織票の強い自民、公明、共産が好成績を収めた。
3.重要争点において与党勢力に対峙する勢力が分立状態で選挙に臨み、議席を大幅に減少させた。
投票率の低さは、マスメディアによって誘導された面が強い。
その方法は、主要争点隠しである。
これは、昨年12月の総選挙と共通する事象である。
原発・憲法・TPP+消費税・辺野古が本来の参院選五大争点であった。
いずれの問題も、国の命運を分かつ重要争点である。
しかし、メディアはこれを「ねじれ」、「景気」にすり替えた。
過去半年の円安・株高だけが強調され、「アベノミクス」を評価するかしないかの選挙であるかのように偽装された。
同時に、日本政治の安定のために、「ねじれ解消」が必要であるとの「刷り込み」が執拗に展開された。
自公圧勝予想が繰り返し報道され、反与党陣営の諦めが誘発されるとともに、勝ち馬に乗る行動も誘発された。
多くの選挙区で、反・自公みんな維新勢力の立候補者が共産党だけになった。
この状況が共産党に有利に作用した。また、5大争点に反対する姿勢がもっとも鮮明だったのが共産党であった面も否定できない。
低投票率のなかで、組織票の固い共産党が伸びた面もある。
他方、5大争点に反対する勢力である、生活、社民、みどり、大地、緑の党は、基本方針を共有しながら、多党分立となり、主権者に対するアピール力が弱まるとともに、投票が分散して議席を取りこぼした。
5大争点に反対する主権者勢力としては、誠に残念な結果になった。
本来、野党勢力の中核であるべき民主党は、基本政策において、自民党とほとんど違いのない存在に変わり果てた。
私は、今回の参院選で民主党には投票しないことを基本原則にすることを提唱したが、この方向での成果は得られた。
民主党は大惨敗し、参院選後の分裂が強く期待されるところである。
日本政治の時計の針は一気に20年巻き戻された。自民党一党支配の時代に戻ってしまった。
さらに、今後の憲法改定論議によっては、日本政治の状況が70年前に巻き戻される可能性がある。
安倍晋三氏が推進する憲法改定は、日本国憲法を大日本帝国憲法に回帰させる試みである側面が極めて強いからである。
日本政治はまさに史上最大のリスクに直面することになった。
このなかで、今後に向けての救いとなる一条の光を示したのが、東京における山本太郎氏の当選と、沖縄における糸数慶子氏の当選である。
このなかに、日本政治刷新に向けての大きなヒントが隠されている。
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