« 安倍晋三自民党に本当は逆風が吹き始めている | トップページ | 平野貞夫元参院議員新著『小沢一郎謀殺事件』 »

2013年6月22日 (土)

原発事故の深刻さ認めず再稼働に突き進む自民党

自民党の高市早苗政調会長が6月17日の講演で原発の再稼働について、


「東京電力福島第一原発事故で死者が出ている状況ではない」


と発言した。


高市氏は18日に、


「誤解されたなら、しゃべり方が下手だったのかもしれない」


と釈明し、その後に発言そのものを撤回した。


これが自民党の政策策定責任者である政調会長である。


東京新聞の本年3月11日報道記事の見出しは、


「原発関連死789人 避難長期化、ストレス 福島県内本紙集計」


http://goo.gl/FUOsU


である。


原発関連死が福島県内だけで789人に達していることがすでに報道されているのだ。

人気ブログランキングへ

そして、6月19日付の福島民報には次の記事が掲載された。


「放射線の影響否定 甲状腺がん診断確定12人に」


http://www.minpo.jp/news/detail/201306068849


記事には次のように記述されている。


「東京電力福島第一原発事故を受けた県の県民健康管理調査の検討委員会は5日、福島市のコラッセふくしまで開かれた。2月の報告以降、18歳以下で甲状腺がんの診断が「確定」した人が9人増えて12人、「がんの疑い」が8人増えて15人になったとする結果が報告され、新たに就任した星北斗座長(県医師会常任理事)は会議後の記者会見で「現時点で、放射線の影響とは思えない」との見解を示した。」


ここで重要なことは、甲状腺がんの診断が確定した人が9人になったこと、「がんの疑い」が15人になったこと、である。


医師会常任理事で座長の星北斗氏が「放射線の影響と思えない」との見解を示したことに対する信憑性はない。


原発事故との関連を断定する明確な判断根拠は存在しないからだ。


福島県在住の子どもたちに、甲状腺異常、甲状腺がんの発症が増えているという「事実」が重要なのである。

人気ブログランキングへ

評論家の板垣英憲氏はブログ記事のなかで次の指摘を示す。


「現場の原発施設に投入された作業員は、すでに2万~3万人と言われている。このうち、体調が悪くなって、東北大学医学部付属病院や福島県立医大に送り込まれて、そのまま帰ってこない作業員は、最低でも3000人を上回ると見られている。死者は、全国の大学医学部で不足している解剖の検体に供されたり、あるいは、家族も知らないうちに闇から闇へと人知れず始末されているという。」


これが事実だとすれば重大なことだ。


私が著書にも記述したことであるが、3月14日午前11時1分、福島第一原発第3号機が大爆発を引き起こした。この爆発によって7人の作業員が負傷したと報じられたが、この負傷者がその後にどのような事態に陥ったのかは、まったく報道されていない。


福島第一原発第3号機はMOX燃料を使用する原子炉である。


この3号機が爆発したのであるから、強毒性のストロンチウムなども飛散した可能性が高い。


7人の作業員の負傷の程度、その後の経緯は極めて重大な意味を持つが、私の知る限り、その後の報道がない。

人気ブログランキングへ

原発が過酷事故を引き起こした際の日本政府の対応は、万死に値するものであった。


3月11日の大地震、大津波によって、東電福島第一原発が全所停電に陥った時点で、その後の事態推移は完全に予測されていた。


電源の復旧が実現しない限り、メルトダウン・水素爆発・水蒸気爆発・メルトスルーなどの惨事が発生するリスクが高まることは明白だった。


したがって、3月11日夕刻の段階で、最悪の事態を想定した安全確保策が講じられる必要があった。


具体的に言えば、周辺住民の避難強制である。


原発から半径50キロ、あるいは、米基準並みに80キロ圏内の住民を避難させるべきだった。

人気ブログランキングへ

ところが、日本政府が取った行動は、何と、3キロ圏内住民の避難だった。


それすら、枝野幸男氏は「予防措置」、「念のための措置」などという妄言を吐いていたのである。


「予防措置」、「念のための措置」であったなら、この時点で50キロ、80キロ圏外への避難が行なわれるべきであった。百歩譲っても20キロ圏外への避難が必要だったはずだ。


電源復旧は進まず、事態は想定された悪いケースを辿る。


その結果、3月12日午前44分に避難エリアが半径3キロから半径10キロに拡張された。


こんな時間に避難勧告を出せば、パニックが発生するのは火を見るよりも明らかだ。


福島第一原発から4キロの地点にある双葉厚生病院の混乱の様子を福島民報の次の記事が伝えている。


http://goo.gl/gIB0B


未明の避難指示命令が引き起こしたパニックは想像を絶するものがある。


原発周辺の病院に対する、安全確保への配慮を欠いた避難指示によって、多くの入院患者が命を奪われた。


これも、原発事故関連死のひとつである。

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第597号「ロイターオンライン調査で政策評価「生活」が第二位」
でご購読下さい。


2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ)

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く

価格:1,785円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

消費税増税 「乱」は終わらない 消費税増税 「乱」は終わらない

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:同時代社
amazonで詳細を確認する

国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す!

価格:1,000円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:青志社
amazonで詳細を確認する

日本の独立 日本の独立

価格:1,800円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

売国者たちの末路 売国者たちの末路

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

知られざる真実―勾留地にて― 知られざる真実―勾留地にて―

価格:1,890円 通常配送無料

出版社:イプシロン出版企画
amazonで詳細を確認する

消費税のカラクリ 消費税のカラクリ

価格:756円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

戦後史の正体 戦後史の正体

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:創元社
amazonで詳細を確認する

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土

価格:798円 通常配送無料

出版社:筑摩書房
amazonで詳細を確認する

日米同盟の正体~迷走する安全保障 日米同盟の正体~迷走する安全保障

価格:798円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

検察崩壊 失われた正義 検察崩壊 失われた正義

価格:1,365円 通常配送無料

出版社:毎日新聞社
amazonで詳細を確認する

検察の罠 検察の罠

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

「主権者」は誰か――原発事故から考える 「主権者」は誰か――原発事故から考える

価格:525円 通常配送無料

出版社:岩波書店
amazonで詳細を確認する

原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:鹿砦社
amazonで詳細を確認する

« 安倍晋三自民党に本当は逆風が吹き始めている | トップページ | 平野貞夫元参院議員新著『小沢一郎謀殺事件』 »

福島原発炉心溶融」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 原発事故の深刻さ認めず再稼働に突き進む自民党:

» 欺瞞にみちた戦後レジームが勝手に決めた世界遺産なるものに狂喜する負け犬敗戦国家の日本だが、かかる思考停止した奴隷根性をやめることが戦後体制の総決算なのではないか。 [高橋央の『日本社会白書』]
@font-face { font-family: "Arial"; }@font-face { font-family: "MS 明朝"; }@font-face { font-family: "Century"; }@font-face { font-family: "Cambria Math"; }@font-face { font-family: "@MS 明朝"; }@font-face { font-family: "ヒ ...... [続きを読む]

» Mrシャラップ人道大使上田関連、「国連・拷問禁止委が代用監獄等日本の人権に不合格」6年前の記事をpdfにしました。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 「2007年6月22日 日本の人権に“不合格”」でググっても、この記事は現在まだ全然出て来ません。クリップ保存していたのをpdfにしてご紹介しておきます。 代用監獄 長時間取り調べ 相次ぐ冤罪 国連・拷問禁止委で報告書酷評 日本の人権に“不合格” 1年以内の返答要求 突きつけられた勧告 法相は消極姿勢 不適正な難民認定 入管の処遇未整備 無視なら「国際的非難」「常任理事国目指す国が…」←pdfにしました。  今回、Mrシャラップ人道人権大使上田の日本の恥・国辱スキャンダルと6年前の国連・拷問禁止委... [続きを読む]

« 安倍晋三自民党に本当は逆風が吹き始めている | トップページ | 平野貞夫元参院議員新著『小沢一郎謀殺事件』 »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ