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2013年5月15日 (水)

仰天!TPP事前協議を日本勝利だとする安倍政権

安倍政権はアジア諸国に対しては非礼で強硬な姿勢を示すが、米国に対しては何も言えない。


弱腰、屈辱の外交姿勢である。


ひれ伏す外交。言いなりになる外交である。


これを対米従属、対米隷属という。


4月27日付の琉球新報に掲載された日本近現代史研究者でオーストラリア国立大名誉教授のガバン・マコーマック氏に対するインタビュー記事に記されたマコーマック氏の次の言葉が、正鵠を射ている。


http://goo.gl/NyWfC


「日本はジャパン・ハンドラー(日本の政策に影響を与える米国の知日派官僚ら)を通じて米国の国益にかなう政策をくみ取り、実行してきた。一方でその屈辱的な国の在り方は正当化せねばならず、安倍首相は勇ましい姿勢や国家賛美の姿勢を通し、実態を覆い隠そうとしているのだろう。


『ねじれ国家体制』を最も体現していると言える。その結果が今回の式典だ」


今回の式典とは、沖縄を切り捨てること、米軍の駐留継続を認めることによって日本が主権を回復した4月28日に、これを記念するために安倍政権が実施した式典のことである。


国会審議が行われているが、日米地位協定、TPPに関する安倍晋三氏の答弁は、安倍氏の対米隷属姿勢を鮮明に示すものである。


他方で、日本の侵略戦争に対する歴史認識などについては、これまでの政府見解を素直に肯定せず、外交的な摩擦を引き起こしている。

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TPPの日米事前協議について、安倍政権は驚くべき答弁を示した。


日米事前協議内容は、日本が米国に一方的に譲歩し、米国の要求を丸呑みしたものである。


それを安倍政権は、日本が交渉によって、大きな果実を獲得したものであると答弁したのだ。


冗談も休み休みにしてほしいというのが、事実を知るほとんどの国民の反応であろう。


日米事前協議で決定されたことは何か。


この内容が日本政府の発表資料には記載されていない。


米国が発表した資料にだけ記載されているのである。


具体的に重要な事項だけを取り出すと次の三つになる。


1.日本政府はアメリカとの協議において、日本車の輸入関税はTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止されることに合意した。

 

2.日本政府は、簡易許可手続き(PHP)すなわち日本に輸出される米国車に対してより簡単で時間のかからない認証方法での輸入台数を二倍以上にすることを一方的に決定して通告した。

 

3.日本政府は、日本郵政の保険に関して、民間の保険会社に日本郵政と平等な競争条件が確保され、また日本郵政の保険が適切なビジネス経営(非公営)の下で運営されていると日本政府が決定するまでは、いかなる新規のあるいは修正されたがん保険及び単独の医療保険を許可しない、ということを一方的に通告した。


この内容のどこが日本の勝利になるのだろうか。

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甘利明担当相の答弁によると、米国の自動者関税が将来撤廃されることを勝ち取ったということらしい。


ものは言いようである。


上記の一番目の事項は、自動車関税の引き下げを、


「他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止される」


ことを決めたものであって、関税引き下げ措置について、米国の輸入自動車が、すべての品目のなかで最大に優遇される(関税引き下げを先送りする)ことを決めたものなのである。


これに対して、日本が「聖域化」を求めている


米、麦、牛肉、乳製品、砂糖


については、何ひとつ具体的な取り決めが行われなかった。

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安倍政権がこれらの五品目については、関税を維持することを確約するなら、米国の自動車関税が将来撤廃されることは成果になるかも知れない。


しかし、そのような確約を安倍氏は示していない。


安倍氏が発言するのは「聖域なき関税撤廃を前提とはしない」ということだけで、「結果として聖域なき関税撤廃を絶対に受け入れない」とは、一度も発言していないのだ。


明らかに、ペテンの姿が示されている。

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さらに、上記三項目のうちの第二と第三は、米国の内政干渉要求を、何の抵抗もせず、しかも、「日本政府が一方的に決定して通告した」とまで表現されて、提示したものである。


これを国辱外交と言わずして何と言えるのか。


カツアゲした悪ガキがいて、説明を求めたら、この悪ガキが、


「こいつが、一方的にカネを差し出すことを決定して、カネを差し出してきた」


と説明しているようなものだ。


しかも、カツアゲされた少年に話を聞くと、この少年も、


「自分の方で一方的にカネを差し出すことを決定して、カネを差し出したもの」


と説明しているのと変わらない。

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