« 「やらせ会見」にしか見えない安倍首相記者会見 | トップページ | メディア報道を鵜呑みにしてしまう日本人 »

2013年5月 5日 (日)

教育で大事なのは個人の尊重と多様な価値観許容

「こどもの日」に因んで教育に関する考察が行なわれるが、私たちは民主主義の根幹に置かれる個人の尊厳、思想・良心の自由の尊重を改めて重視しておかなければならない。


日本の敗戦後、日本の統治のあり方は根本から修正された。


現行憲法の制定に際してGHQの意向が強く反映されたのは事実である。


しかし、そのことは現行憲法を改正するべきであるとの主要な論拠にはなり得ない。


憲法制定に誰が主導権を持ったのかが大事なのではなく、憲法の内容が良いものかどうかが大事なのだ。


自分たちで決めた憲法でも内容が悪ければ改正するべきだし、自分たちでない人が制定に深くかかわったとしても、内容が良いなら改正する必要はない。


誰が制定に深く関与したかどうかにこだわる姿勢は、形式主義の弊害そのものである。

人気ブログランキングへ

民主主義において何よりも重視されなければならないことは、個人の尊厳の尊重、思想・良心の自由、そして政治的自由の尊重である。


伝統や文化を守り、育てることは大事だが、それは国家権力によって上から強制するものではない。


個人の自由な意志によって、自発的に守り、育ててゆくべきものである。


教育基本法は教育における憲法のような存在であるが、現行法は安倍政権下で2006年12月に公布・施行されたものである。


安倍氏によって教育基本法の根幹は著しく改変された。


旧教育基本法と現行法の違いはその前文によく表れている。


旧法の前文


われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。


 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。


 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。



現行法前文


我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。


 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。


 ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

人気ブログランキングへ

教育の民主化は戦後民主化の骨格のひとつである。


現行法と旧法の前文の違いは第二段落に明確に表れている。


旧法が


「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」


としているのに対し、現行法では、


「我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。」


とされた。


「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」



「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期する」


に書き換えられた。


「真理と平和」が「真理と正義」に変えられ、新たに「公共の精神」が加えられたことが主要な変更点である。


また、


「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育」



「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育」


に書き換えられた。

人気ブログランキングへ

同時に、教育の目的を定めた第一条の条文が次のように書き換えられた。


旧法


第一条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身とも健康な国民の育成を期して行われなければならない。



現行法


(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。



「個人の価値をたつとび、自主的精神に充ちた」の具体的記述が削除された点に大きな特徴がある。


要約すると次のことが言える。


第一は、「個人の価値」よりも「公共」が優先される懸念が強まった。


第二は、「普遍的で個性豊かなもの」が排除され、「伝統」が押し付けられる懸念が強まった。

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第561号「国家による教育統制に突き進む安倍政権の誤り」
でご購読下さい。



2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く

価格:1,785円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

消費税増税 「乱」は終わらない 消費税増税 「乱」は終わらない

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:同時代社
amazonで詳細を確認する

国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す!

価格:1,000円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:青志社
amazonで詳細を確認する

日本の独立 日本の独立

価格:1,800円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

売国者たちの末路 売国者たちの末路

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

知られざる真実―勾留地にて― 知られざる真実―勾留地にて―

価格:1,890円 通常配送無料

出版社:イプシロン出版企画
amazonで詳細を確認する

消費税のカラクリ 消費税のカラクリ

価格:756円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

戦後史の正体 戦後史の正体

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:創元社
amazonで詳細を確認する

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土

価格:798円 通常配送無料

出版社:筑摩書房
amazonで詳細を確認する

日米同盟の正体~迷走する安全保障 日米同盟の正体~迷走する安全保障

価格:798円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

検察崩壊 失われた正義 検察崩壊 失われた正義

価格:1,365円 通常配送無料

出版社:毎日新聞社
amazonで詳細を確認する

検察の罠 検察の罠

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

「主権者」は誰か――原発事故から考える 「主権者」は誰か――原発事故から考える

価格:525円 通常配送無料

出版社:岩波書店
amazonで詳細を確認する

原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:鹿砦社
amazonで詳細を確認する

« 「やらせ会見」にしか見えない安倍首相記者会見 | トップページ | メディア報道を鵜呑みにしてしまう日本人 »

反戦・哲学・思想」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 教育で大事なのは個人の尊重と多様な価値観許容:

» 麗しき初夏の蒼天に恵まれた日本国だが、今そこにある危機は着実に世界を脅かし続けている。気を引き締めて国難に対処する粘り強い姿勢が戦後レジームからの脱却につながるのだ。 [高橋央の『日本社会白書』]
@font-face { font-family: "Arial"; }@font-face { font-family: "MS 明朝"; }@font-face { font-family: "Century"; }@font-face { font-family: "Century"; }@font-face { font-family: "@MS 明朝"; }@font-face { font-... [続きを読む]

» A9962 ◎■ 教育で 理解許容が 大事なは 個人尊重 多様価値観 〔QT 植草一秀@uekusa_kazuhide 様〕 [アルデバランの 夢の星]
何時も有り難うございます。今後ともどうぞよろしくお願いします。 [続きを読む]

« 「やらせ会見」にしか見えない安倍首相記者会見 | トップページ | メディア報道を鵜呑みにしてしまう日本人 »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ