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2013年5月 4日 (土)

「やらせ会見」にしか見えない安倍首相記者会見

トルコ・アンカラでの安倍首相の記者会見。


モスクワからの記者会見を含めて、すべての日程が日本での放送時間帯を軸に設定されている。


また、NHKは5月5日の国民栄誉賞授与式を盛り上げるために松井秀樹氏の帰国をトップニュースで報じる。


国家総動員法が施行されたかのような状況だ。


イスタンブールでの記者会見。


安倍晋三氏は冒頭発言を終えたあとの質疑応答においても用意されていた原稿を読み上げた。


原稿なしに発言したのは、TBSの記者が改憲について質問したときだけだ。


この質問なら安倍氏も原稿なしに発言できる。


すべての質問があらかじめ首相側に通告されていたかのような記者会見である。


タウンミーティングや電力会社の公聴会などでは、こうした手法は「やらせ」として批判の対象になる。


「やらせ」であるなら、フリーの質疑応答であるかのような偽装はやめた方が良い。

インドを取材したNHKの大越健介は、言葉の端々に、日本は内向きの対応から脱却すべきだと繰り返す。


日本のTPP参加の正当性を擦り込む発言であることは明白だ。

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日本の空気が著しく淀み始めた。


参院選まで残すところ2ヵ月半だ。


メディアは安倍自民党礼賛のまま、参院選に突入する構えである。


参院選で改憲勢力が参院3分の2を占有すると、日本の国のかたちが書き換えられる。


憲法第96条を改正して、憲法改正の発議要件を衆参の3分の2から衆参の過半数に変えるとの提案が示されている。


NHKもテレビ朝日も他のテレビ局も、他国において憲法が何度改正されているかの比較だけをやり始めた。


情報操作、議論の誘導である。


何回変えたかよりも、発議要件、改正要件を比較するべきだろう。


特に日本の場合、国会での議席数の多さが民意の厚い支持を意味していないから、国会議員の過半数は、民意の反映という視点で見れば著しく薄い意味しか持たない。


だからこそ、衆参の3分の2以上での賛成による発議で適正なのである。


この点は、これまでも触れてきた。

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メディアは憲法論議を要約して、


「憲法の内容についてはさまざまな意見が噴出するから、まずは96条の改正問題」


と説明する。


そして、憲法の内容については9条改正に焦点を当てる。


9条は軍隊の保持を禁止しているが、自衛隊は紛れもない軍隊だから、条文を現実に即した形で変更した方が良いと考える国民は少なくない。


この意味に限定するなら、憲法を変えても構わないとする意見が多数を占めてもおかしくはない。


現行憲法の条文は現実との矛盾をはらむものだから、この矛盾を取り除こうとか、あるいは、日本国憲法はGHQ主導で編纂されたものだから、自主憲法に書き換えるべきだなどの言葉が投げ掛けられる。


思わず勧誘されかねない釣り文句だ。詐欺的商法と非常に似ている。


客をおびき寄せるもっともらしい宣伝文句を使い、客をテーブルにつかせてしまう。


そのうえで、当初の話とはまったく違う商談を強要するのだ。

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NHKは政党討論会には多数の出席者を招かぬのに、憲法論議のときだけ多数の出席者を並べるのはなぜだろうか。


それは、出席者が多ければ多いほど、論議が拡散するからだ。


収拾がつかなくなるのは目に見えている。


強調するのは、ただ、他国では憲法の規定をしばしば変更しているのに、日本では一度も変更していないことだ。


憲法改正を容認するべきだとの方向への誘導である。


その可能性を広げるには、憲法改正の発議要件を緩和することが必要だと話をつなげる。

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つまり、憲法の内容については、意図的にまとまった論議を導かずに、憲法改正の発議要件の緩和については、これを認めるべきだとの方向に論議を誘導しているのである。


しかし、憲法改正案を発議するハードルを下げるのは、憲法改正案を発議するためだ。


結局は、その内容が問題になる。


この点について、出席者を増やして、意図的に論議の拡散を狙うのにも理由がある。


それは、自民党憲法改正草案に国民の関心を引き付けないことだ。


参院選までは、自民党憲法改正草案の中身ではなく、ただひたすら、憲法改正発議要件の緩和だけに話題を絞り込む。


内容の論議をする場合は、できるだけ出席者を増やして、論議が拡散するように仕向ける。


こんな策略が執られているようだ。



しかし、実際に憲法改正案が発議されることになるなら、その可能性があるのは、現時点では自民党憲法改正草案だけだ。


国会の議席配分を見れば明白だ。


そうであるなら、テレビでの討論会は、自民党憲法改正草案の検討会にするべきだ。

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