ウソをつき、騙し、主権者の利益を踏みにじる政治
「ウソをつく政治」、「国民をだます政治」が横行している。
政治が著しく劣化している。
政治を外から見つめ、批評精神をもって政治の誤りを正すべきメディアが、権力に迎合して政治権力の太鼓持ちに堕している。
これがメディアの劣化だ。
両者があいまって政治の劣化が加速し、これを正す動きがなくなれば、国自体が滅びゆくことになる。
いま、日本の政治はその危機に直面している。
2009年の総選挙で野田佳彦氏は「天下りとわたりの根絶」を訴えた。
同時に、「天下りとわたりの根絶」を実現せずに消費税を増税しないことを明言した。
その野田佳彦氏が「シロアリ退治なき消費税増税」を強硬に推進して、対立政党である自民党・公明党と手を組んで消費税増税の法律を成立させた。
明らかな国民に対する背信行為である。
野田氏は「衆院任期4年間の消費税増税はやらないと言ったが、衆院任期後の増税までは否定していない」と述べて、公約違反ではないと言い張った。
しかし、「シロアリを退治しないで消費税をあげるのはおかしい」と明言したことについての説明は示していない。
このような「詐欺師的な」政治を主権者である国民が容認してしまうことが政治の劣化をさらに加速させる結果を生み出す。
この意味では主権者である国民も、日本政治の劣化に責任を負っている。
安倍晋三氏は選挙の際に、TPPに対する慎重姿勢を明示した。
自民党の選挙ポスターには、
「うそつかない! TPP断固反対! ぶれない! 自民党」
と明記された。
(1)「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
(1)の公約事項は、
「例外品目を設定し、「聖域」を設けることができなければTPPには参加しない」
という意味だ。
主権者国民にとっては、「前提とするとかしないとか」などの、言葉の綾などはどうでもよいこと。最終的に結果として、例外品目を聖域とできるかどうかが問題になる。
特定の品目を聖域とするのは農家を守るための方策ではない。日本の国のあり方を守るための方策だ。この点も勘違いしてはいけない。
前提うんぬんの話は、交渉プロセスの話であって、主権者国民にとって影響が生じるのは、あくまでも結果として、どのような決着になるのかである。
したがって、安倍氏が責任を持つべきことは、あくまでも最終的な結果である。
ところが、安倍氏の姿勢はまったく異なる。
自民党の政権公約の一字一句の言葉の綾をかいくぐって、交渉に入るときにすべての関税を撤廃するとしないなら、交渉の結果として、すべての関税を撤廃することになっても公約違反にはならないとする姿勢が示されている。
この姿勢が、「詐欺師まがい」であることが問題なのだ。
政治が「かけひき」だけのものになることが「政治の劣化」なのだ。
政治にとって何よりも大事なことは「信頼」である。
「信なくば立たず」こそ政治の真髄を示す言葉だ。
日本の政治である以上、また、日本が国民主権を根本原理に位置付けている以上、政治は日本国民の意思を反映するものでなければならない。
沖縄の基地問題が論じられているが、安倍晋三氏の軸足がどこに置かれているか。
ここが問題である。
沖縄県民が総意として、普天間の辺野古移設に反対している。
沖縄県選出の国会議員もすべて、普天間の辺野古移設に反対している。
そして、沖縄県民だけでなく、日本の国民全体においても、普天間の辺野古移設に反対する人は間違いなく過半数を超えているだろう。
そうであるなら、日本の主権者を代表する政治、政府は、普天間の辺野古移設に反対するべきである。
ところが、安倍晋三氏は、いま強引に辺野古への移設を強行しようとしている。
その理由はただひとつ。米国が命令しているからだ。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第537号「日本農業の競争力強化をTPP参加の口実にするな」
でご購読下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 予想通りの政策決定・市場反応だが評価は時期尚早 | トップページ | 最高裁トップが外国政府に判断仰ぐ「属国の作法」 »
「安倍晋三新政権」カテゴリの記事
- ハゲタカの手先に成り下がっている安倍政治(2017.12.03)
- プーチン武蔵「一本勝ち」に終わった日ロ首脳会談(2016.12.17)
- 急坂を転げ落ち始めた安倍政権(2016.11.25)
- 安倍ジョンイル所信表明と既得権支配維持の方策(2016.09.27)
- 安倍政権の凋落に歯止めがからない気配濃厚(2016.02.05)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: ウソをつき、騙し、主権者の利益を踏みにじる政治:
» TPPは、農業問題でもなければ、関税問題でもない~その2 [たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ]
TPPとそのISD条項の危険性については、エントリー<TPPは、農業問題でもなければ、関税問題でもない>で書いた。 http://takashichan.seesaa.net/article/331719759.html?1363525111評論家の田岡俊次氏は、先日パックインニュースで、次のようなことを言っていた…... [続きを読む]
» 休日の浅草、川田龍平氏に遭遇する [インターネット政党 「ネット des 新党」のブログ]
6日の土曜は家族サービスも兼ねて浅草に行ってまいりました。
午前から昼過ぎにかけてはなかなか陽気もよく、雷門界隈はけっこうな人だかり。その中で並々ならぬ気合いの持ち主がおりまして、その方が参議院議員・川田龍平氏でした。
ひょんな所で、僕は川田龍平氏...... [続きを読む]
» 【家電】日本発・世界のヒット商品:パナソニック、サリーを洗える全自動洗濯機 [政治経済ニュース・今私の気になる事]
◇停電にも対応、省エネ配慮 色鮮やかな伝統衣装サリーをまとった女性が行き交うインド。サリーはおしゃれ着と同時に普段着でもあり、洗濯の回数は多い。インドの洗濯機は普通、水流の強さごとに「標準コース」「ソフトコース」の2種類の洗い方を用意しているが、消費…... [続きを読む]
» 主権者国民を馬鹿にしている東京電力の記者会見を見るにつけ、このバッタ企業を一刻も早く解体せねばならぬと痛感するが、それが戦後レジームからの脱却につながるのだ。 [高橋央の『日本社会白書』]
@font-face {
font-family: "Arial";
}@font-face {
font-family: "MS 明朝";
}@font-face {
font-family: "Century";
}@font-face {
font-family: "Century";
}@font-face {
font-family: "@MS 明朝";
}@font-face {
font-... [続きを読む]
« 予想通りの政策決定・市場反応だが評価は時期尚早 | トップページ | 最高裁トップが外国政府に判断仰ぐ「属国の作法」 »