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2013年4月11日 (木)

産業利権対民営化利権の争い激化する競争力会議

産業競争力会議が利権争いの巣窟と化している。


米国と連携して米国資本による日本収奪に加担していると見られる日本経済新聞は、産業競争力会議を通じて、米国資本が巨大利得を得る方向に議論の誘導を試みている。


その一端が4月9日付紙面に登場した。


編集委員の清水真人氏によるコラム記事


「「竹中ペーパー」が首相に迫る規制改革の踏み絵」


である。


清水氏は産業競争力会議が二つの派閥に分裂していると指摘する。


第2回会合で、


「科学技術振興費の拡充」を主張した東レ会長の榊原定征、コマツ会長の坂根正弘、みずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博、東大教授の橋本和仁のグループと、


これに反対する竹中平蔵、楽天社長の三木谷浩史、ローソン社長の新浪剛史、サキコーポレーション社長の秋山咲恵らのグループに、


内部が二つの派閥に分裂していることを指摘する。


もちろん、日本経済新聞の清水氏は、竹中支援勢力である。

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日経新聞の清水真人は竹中らの主張を、「予算増額の検討に際しては、政府を肥大化させないよう各省から相応のスクラップを提供すべき」として、官僚の焼け太りを阻止する正論として紹介する。


同時に清水は、「アベノミクス戦略特区」と公営事業の運営権を民間に売却する提案を示す竹中グループに与する。


清水は、政府出資の官民ファンドなどを通じて特定産業を支援するような官主導の成長戦略は「国家資本主義」だと批判する竹中の主張を紹介する。


そして、企業に自由を与え、体質を筋肉質にしていく規制改革などの自由化路線が成長戦略の一丁目一番地だとする意見を紹介する。


コラム記事の場を使って、竹中グループの代弁を行い、竹中御用記事にまとめあげている。


政府主催の会議を使って産業界が補助金行政を引き出そうとするのは言語道断だが、竹中グループが主張する「経済特区」と「政治事業運営権の民営化」もピュアな政策提言ではない。


「民営化という名の利権」が渦巻いていることを見落とせない。


「補助金行政の主張」が悪で、「特区と民営化規制の主張」が善であるとの見立てはあまりにも表層的に過ぎる。


清水記者がすべてを承知の上で竹中グループに与しているのか、裏側を知らずに単に乗せられているだけなのかは分からないが、この種の論議を行う場合に、「民営化利権」の問題を見落とすことは許されない。

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「民営化利権ビジネス」のビジネスモデルの原型は旧社会主義国にある。


中国やロシアにおいては、「民営化利権ビジネス」が巨大な富を生み出す「打ち出の小槌」として機能してきた。


日本においても、明治時代の官業払下げが巨大財閥を生み出す原動力となったことがよく知られている。


「北海道開拓使官有物払下げ事件」なども、政府による官業払下げが巨大利権であることを物語る事例のひとつである。

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ここで留意が必要なことは、小泉竹中政治時代の民営化も、またこの例外ではなかったことだ。


小泉竹中政治時代の民営化は三つしかない。


住宅金融公庫の廃止、道路公団の民営化、郵政民営化である。


この三つがいかなる目的で、誰の利益のために実行されたものであったかを検証する必要がある。


住宅金融公庫はバブル崩壊で収益源が減少した銀行界が住宅ローンビジネスを奪い取るために実施された施策である。


政府系金融機関のなかで、唯一といってよい存続が必要であった住宅金融公庫が廃止された。


国民のための廃止ではない。銀行業界のための廃止だった。


住宅金融公庫がなくなったために、多数の庶民が住宅ローンを組むことができなくなった。


銀行は中小零細企業の従業員や経営者が申し込む住宅ローンを無情に拒絶している。


他方で、存在意義がなくなった日本政策投資銀行や国際協力銀行などの公的金融機関は肥大化して存続された。財務省などの最重要天下り先であるからだ。


東京大手町の大手町ファイナンシャルシティに行って、日本政策投資銀行などの政府系金融機関のオフィスを見て来てもらいたい。


官僚は自分たちの福利厚生の引き上げには余念がないのだ。

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高速道路は政府の管理下に置いて、無駄な経費を完全に排除するべきだが、高い道路料金を認めたままで民営化すれば、巨大利権が私物化されるだけである。


本来、高速道路は順次無料化して、その管理は明確に政府の監視下に置いて、国会のチェックを受けられる形にするべきものなのだ。


「民営化」の名の下に巨大な利権が官僚や政治家の懐に転がり込んでいる。


そして、その典型例が郵政民営化であった。


竹中氏が主導した郵政民営化は、日本郵政グループが保持する、郵便貯金、簡易保険、巨大不動産の利権を外国資本が収奪するためのものであった。


国民のための施策ではない。外国資本が巨大利得を得るためのプログラムであった。


「かんぽの宿不正売却未遂事案疑惑」は、その断片として、かんぽの宿が不正に特定の資本に払い下げられようとした事案である。

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産業競争力会議に提示される、「経済特区」と「官営事業運営権の売却」の提案は、まったく同じ図式のなかで示されるものである。


国民に利益をもたらすものではなく、外国資本が日本の富を収奪するための方策であることを明確に認識する必要がある。

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