都市市民には一人半票しか与えないアベマンダー
衆院定数に違憲判決、選挙無効判決を受けて、安倍政権は0増5減の区割り変更法案を提出している。
6月26日までの今国会中に衆院での3分の2以上の賛成による再可決を実現するには、今月26日までに衆院を通過させなければならない。
そのためには、今週中に審議を始める必要がある。
22~24日に参院予算委員会が開催予定で、全閣僚が出席する必要がある。区割り法案の審議には総務相の出席が必要で、区割り法案の審議入りが来週にずれ込むと、審議入りは25日以降になる。
こうなると、今国会の会期中に衆院再可決のシナリオが崩れることになる。衆参両院での可決が困難な場合への備えとして、この可能性を確保しておきたいというのが安倍政権の戦術である。
野党は0増5減の区割り法案の審議入りに反対しているが、自公両党は衆院政治倫理・公選法改正特別委員会への付託を強行した。
野党は反発して審議拒否で対応している。
0増5減の区割り法案は、1票の格差を1対2に縮小させるものでしかない。
国勢調査によって、たちどころに2倍の境界線を越えてしまう区割り変更である。
日本国憲法によって参政権は一人一票で保証されているのであるから、区割りは抜本的に変更するべきである。
21増21減の案がすでに提示されており、より抜本的な区割り変更を行うべきである。
大都市に住む住民は、半人前にしか扱われないという制度は、根本的に欠陥制度と言わざるを得ない。
政権および政権与党は、自分たちに都合のよい制度しか構築しようとしない。
19世紀初頭、米国マサチューセッツ州のゲリー知事が、自分の所属する政党に有利なように選挙区を区割りし、選挙区の形がいびつになった。そのひとつが、サラマンダーと呼ばれる両生類に似ていたため、特定の政党や候補者に有利なように選挙区を区割りすることを「ゲリマンダー」と呼ばれるようになった。
0増5減法案は、安倍晋三氏が自民党に有利になるように、1票の格差を2倍に維持しようというもので、「アベマンダー法案」と呼ぶべきものである。
正々堂々とした政治を行うなら、21増21減法案を提示するべきだ。
しかし、安倍氏は正々堂々とした政治を行うタイプの政治家ではない。
「うそつかない!TPP断固反対!ぶれない!日本を耕す自民党」
のポスターを貼り巡らせて総選挙を戦っておきながら、3ヵ月後には平然とTPP交渉参加を表明する、ペテン師的な手法を多用する政治家である。
この安倍政権に堂々とした政治手法を求めるのは無理である。
しかし、野党は審議拒否戦術を採用したが、すぐに崩れるだろう。
日本維新の会などは、すでに0増5減法案に賛成する可能性を示唆し始めている。
「維新」という名称そのものがペテンであって、「日本新撰組の会」の名称に変更するべきだ。
今次通常国会は6月26日が会期末。
第23回参議院通常選挙は7月8日に公示、7月21日投開票になる可能性が高い。
この選挙の前に、選挙不正を防ぐための手立てを講じておかないと、昨年12月の総選挙同様、比例代表選での投票集計で大規模な不正が行われるとの疑惑を払拭できない。
投開票過程の完全可視化、機械集計のあとに、完全手作業での開票結果確認作業を工程として組み込むべきである。
このような措置こそ、超党派で結束して決定するべきだ。
選挙事務を丸投げされる企業に対する法外に高い手数料を削減して、手作業での開票作業にかかる費用を捻出するべきだ。
その参院選の改選議席数は121。
比例代表が48、選挙区が73議席だ。
非改選議席は、自公両党で58、自公+みんな維新で69 である。
参院過半数は122である。
したがって、自公で過半数を確保するには、自公が64議席を確保する必要がある。
自公+みんな維新が過半数を確保するには、この4党で53議席を確保すればよいということになる。
選挙区は、1人区が31、2人区が10、3人区が3、4人区が2、5人区が1で、合計73議席である。

反自公勢力が結集しなければ、自公が31の1人区選挙区で大勝する可能性が高くなる。
参院選の勝敗が決まるのは、基本的に1人区である。
仮に自公が1人区で30議席を確保し、2人区以上の16の選挙区で1人ずつ議席を確保すると、選挙区で46議席を確保することになる。
比例代表選挙での獲得議席を20とすると、自公両党で獲得議席数は66になり、自公の与党が参院過半数を制覇することになる。
この可能性が浮上している。
みんな・維新は2人区以上の選挙区で選挙協力を進めており、2人区以上の選挙区で1人ずつ当選者を出して、他方、比例代表で15の議席を確保すると、みんな・維新両党で31議席を確保することになる。
この場合、自公+みんな維新で97議席を確保することになり、非改選の69議席を加えると、自公+みんな維新で166議席を占有することになる。
参院定数の3分の2以上の議席数は162議席以上であり、上記のケースでは、自公+みんな維新の4党で参院の3分の2以上の議席を占有することになる。
公明党は憲法改正に積極的ではないが、民主党議員のなかには憲法改正積極派議員が存在する。
つまり、今後の成り行きによっては、憲法改正賛成勢力が参院3分の2を占有してしまう可能性は十分に浮上しているのだ。
冷静に考えると、極めて大きな危険が差し迫っているということになる。
続きは本日の
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