予想通りの政策決定・市場反応だが評価は時期尚早
月刊日本4月号が販売されている。
亀井静香 TPP参加は亡国への道だ!
東郷和彦 米国で高まる日本不信
稲村公望 マハティールに見捨てられる日本
ロナルド・モース 日本は自殺するのか
【TPP—アメリカの狙いとは】①医療
今村 聡 TPPは医療と國體を破壊する!!
の各寄稿論文が掲載されている。
私は同誌に「植草一秀の月刊・経済時評」を連載している。
第24回寄稿の4月号タイトルは
「売り渡される日本」
である。
普天間、原発、TPP、集団的自衛権で、米国にひれ伏す外交を展開する安倍政権の危うさを指摘した。
これまで指摘してきたように、TPPで米国資本が標的にしている最重要分野は、
1.農業
2.医療
3.かんぽ・共済=金融・保険
の3分野である。産業競争力会議が主導する、農業と医療の経済特区の推進は、日本における米国代理人が推進する猛毒の施策である。
国民を死に至らしめる毒は、できるだけ早期に切除しておく必要がある。
さて、日銀が金融緩和政策を決定した。
黒田氏の言うところの「量・質ともに次元の違う金融緩和」政策だ。
新体制の日本銀行が打ち出す新機軸の政策と金融市場の反応については、
『金利・為替・株価特報』2013年3月29日号に記述した。
<目次>
1.【新刊紹介】『金利・為替・株価大躍動』刊行のお知らせ
2.【概観】株価動向を決定する最重要因子
3.【為替】ドル高は持続するか
4.【金融政策】追い込まれる黒岩田日本銀行
5.【金利】陰極まれば陽に転じる金利
6.【欧州】キプロス波乱とユーロの変調
7.【株価】高値波乱領域に入るNY株価
8.【政局】陸山会裁判の闇と一票の格差
9.【中国・金】最強のパフォーマンス示す金投資
10.【投資戦略】カギを握る円ドルレート
日銀が提示した新機軸の政策と市場の反応は、上記レポートに記述した内容と驚くほどの一致を示している。
詳しくは、拙著
もご高覧賜りたいが、短期的な金融市場の反応は、予測記事通りに、金利低下=円安=株高という、国民の多数から歓迎されやすいものになっている。
各種メディアは、2%のインフレ率の達成は容易でないと強調するが、この判断は誤りである。
現に、2008年7月に日本の全国消費者物価前年比上昇率は+2.3%にまで上昇した。現実にインフレ率2%超えは実現しているのである。
このときの物価上昇は原油価格の上昇によってもたらされた部分があるが、物価水準そのものはガソリンや灯油などのエネルギー価格を含むものであり、物価上昇率が2%を突破したという事実が否定されることにはならない。
2009年にかけて物価上昇率が急落したのは、サブプライム金融危機の拡大に伴い、円高が進行し、同時に原油価格が急落したことも影響している。
為替レートが急激な円高に振れたのは、2000年から2008年にかけて、ファンダメンタルズの推移に反して、日本円が実質的に円安方向に振れたことの反動でもあった。
すでに、現在の為替レートは購買力平価よりも円安に振れていると判断され、激しいインフレが進行しない場合には、円高方向への反動を警戒しておかなくてはならない。
日銀はマネタリーベースや長期国債、ETFの保有額を、今後の2年間で2倍に拡大するとした。
また、金融調節の操作目標をこれまでの短期金融市場金利からマネタリーベースに変更する。
マネタリーベースについては、年間60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融調節を行うとした。
昨年末のマネタリーベースは138兆円で、この方針で金融調節が実行されると、マネタリーベースは今年末には200兆円、平成26年末には270兆円まで拡大することになる。
また、日銀の国債保有残高を日本銀行券の発行残高の範囲内に抑制するという「銀行券ルール」についても、一時的に停止することを決めた。
財務省が得意とし、多くの失敗を招く原因となってきたところの、いわゆる「兵力の逐次投入」の弊害を踏まえ、黒岩田日本銀行は、最初の金融政策決定会合で手持ちのカードを一気に切る選択を示した。
この判断自体は間違いではないが、市場に過剰な期待を与えた分だけ、日本銀行が追い込まれたと言える。
日本銀行が新たに買い入れる国債の金額は、国の新規財源国債の金額を上回ることになる。
実質的に国債の日銀引受けが行われるのと同等の経済効果が生じることになる。
世の中にうまい話は存在しない。
旨みの裏側には、必ず苦みや痛みが生じるのである。
レポートにも記述したように、黒岩田日本銀行の新機軸の金融政策運営の評価を定めるには最低でも5年の時間を要することを忘れてはならない。
続きは本日の
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